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乳ガンの診断結果について

[管理番号:4609]
性別:女性
年齢:42歳
初めまして。
不安で一杯で、色々なサイト
をみていたら、こちらのページに出会いました。
田澤先生よろしくお願いいたしました。
病理の結果
ER:陰性、score 0
PgR:<10%弱陽性、score2、ALLred
score3
HER2>10%軽-中等度陽性、score2+
Ki-67:81.5%と書いてあるのですが、医師からは、浸潤ガンでした。
とだけの説明であとは近日中に大きい病院へ紹介してくれる事になっています。
私としても、色々聞きたかったのですが、きっと医師も照会先の医師と話が違ってもと考えての事かと思い聞けませんでした。
照会先の病院に行く前に、今の状況を把握したいと必死に色々調べたのですが、なかなか分かりやすい答えにたどり着けず、悶々としています。
母も乳ガンの闘病中なので、いつか自分も…と頭にはありましたが、まさか…という気持ちも大きく、まだ小学生の子供がいるので、ここで病気に負ける訳にはいかず、前向きに考えていきたいのですが、実際の状況はこの報告書からいくといかがでしょうか?しこりの大きさは1センチ弱と言われています。
治療方針として、田澤先生の、お考えも教えて頂ければと思います。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
了解しました。
まずは基本的な所から
○治療 治療は局所療法(手術、放射線)と全身療法(ホルモン療法、化学療法、ハーセプチンなどの分子標的薬)に明確に分けてください。
     最も重要なことは「局所療法」と「全身療法」に相互関係無です。
     例)「全摘(局所療法)したから、化学療法(全身療法)は要らないというのは誤り」だということ。つまり、局所療法で何を選択しても全身療法の選択とは無関係である。
○ステージは予後と関係し、サブタイプは治療法と関係する。
 
 1.ステージ
   質問者はステージ1です。(腫瘍径が1cm弱だから、リンパ節転移は無さそうなので推測です)
   ステージ1は「サブタイプ(後術)が何であれ」予後良好です。
 2.サブタイプ
   質問者は(ER陰性なので)PgRが弱陽性とはいえ、ホルモン療法が効きにくいタイプと言えます。
   HER2が2+なので、これからFISH法で判定しなくてはなりません。
(FISH法が最終判定となります)
   2-1 FISH陰性の場合 luminalB(Ki67=81.5%と高値であるため)として化学療法の適応があります。
   2-2 FISH陽性の場合 luminalB(HER2陽性)というタイプとなり、抗HER2療法(ハーセプチン+化学療法)の適応があります。
   ♯FISHが陽性にしろ陰性にしろ化学療法が必須となりますが、浸潤径≦5mmとなると適応が無くなるので(質問者は腫瘍径が小さいようなので)その可能性は残ります。
○つまり、質問者は「早期であり、予後良好」であることは間違いありません。
 ただし、(術後)治療は「サブタイプによって決まる」ので(早期だからと言っても)化学療法が必要となりそうです。(浸潤径≦5mmを除く)
「治療方針として、田澤先生の、お考えも教えて頂ければと思います。」
⇒上記通りです。
 まずは「局所療法」
  手術は(腫瘍径が小さいので)乳房温存術(部分切除)を選択します。(MRIで最終確認は必要)
  温存手術を選択した場合には「術後照射も必須」となります。
 次に「全身療法」(術後補助療法)
  上記通り(FISHの結果によって)2-1もしくは2-2となるでしょう。
  ♯ただし、ER陰性でPgR弱陽性となっているので、手術標本で再確認をした方がいいでしょう。(FISHも針生検標本では行わず、手術標本で再度HER2を調べてから行った方がいいとは思います)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日、診断結果について質問させて頂いた者です。
とても、わからやすい説明を頂きありがとうございました。
早期ガンと、予後も良好と回答の中に田澤先生が記して下さっていたことで、凄く気持ちが落ち着きました。
ただ…次の不安と迷いが出てきてしまい、
夜も眠れず日々過ごしています。
あれから紹介された病院に行き、マンモグラフィーとCT検査を受けました。
CTでは転移は無いと言われました。
来週エコーで、
5月初旬にシンチ、下旬にMRIが予定されています。
治療自体は、手術、抗がん剤、放射線と一通りやらなければいけないのは、自分でも少しずつ気持ちの中に受け入れられる様にはなりつつあります。
でも手術自体は6月下旬か7月でなければ順番が来ないようで、私としては、今年の1月は自己検診でもしこりには気づかなかっただけかもしれないのですが、無かったとしたら、進行の早い腫瘍なのでは?と不安が大きく、今何か治療に入ることは出来ないのか?と医師へ聞いた所、術前の科学療法もあると言われました。
私の場合は、
腫瘍が1センチ弱、ホルモン等の詳細は前回の内容ですが、ki67が81.5パーセントと高値だったのが、とても気になっています。
術前に、抗がん剤をやるとすれば半年位は抗がん剤をやってから手術、放射線の順にスケジュールは組まれるのでしょうか?
手術から治療を始めるとしたら、治療のスケジュールはどんな流れになるのでしょうか?
進んでしまうのではないかと、とても不安です。
私のケースでは、治療を抗がん剤から始めるか、それとも2ヶ月位待つことになっても手術をしてから次の治療に入って行くのが主流なのか、2ヶ月位はこのままでも、
気にする事は無いのでしょうか?田澤先生の治療方針を教えて下さい。
宜しくお願い致します。
(田澤先生の病院も手術は混んでいますか?遠方な為、受診は厳しいかもしれませんが、これから治療を進めていく上で考えてみたいと思ったので。)
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
重要なことは「術前抗がん剤の適応」は(現状では大きいため、温存手術ができない場合に)「小さくして温存」というものです。
それ以外の理由で「術前抗がん剤を行う事」は私なら決してありません。
○質問者はHER2 2+でFISH検査待ちかもしれませんが、「たとえFISH陽性=HER2タイプ」であっても、(それは)「術前抗がん剤の理由とは決してなりません」
「私のケースでは、治療を抗がん剤から始めるか、それとも2ヶ月位待つことになっても手術をしてから次の治療に入って行くのが主流なのか」
⇒上記理由により
 手術先行であるべきです。
「2ヶ月位はこのままでも、気にする事は無いのでしょうか?」
⇒あくまでも早期なのです。
 
「田澤先生の治療方針を教えて下さい。」
⇒腫瘍が小さいのだから…
 手術先行以外に考えられません。