[管理番号:4168]
性別:女性
年齢:70歳○カ月
初めまして70歳妻の乳がんについて質問させていただきます。
28.11.○○ A乳腺クリニックで 乳がん検診のエコー検査にて左乳頭横(中央より1cm)
のところにしこりはないが黒い影(大きさ2×4mm)を発見、乳腺2か所に針生検実施
28.12.○ 医院より夫婦で来るよう連絡あり.検査結果の説明
「左乳腺の針生検2本とも腫瘍組織を含んでいる。
◎クロマチンの増量した卵円形核を有
する比較的小型の細胞が拡張した数本の乳管内で ◎papillary,tubular,cribriform patternをとっています。
「Nuclear atypia:1」に相当
これは非浸潤性の乳がんでステージ–0」乳房温存手術が必要といわれた。
初期のため放
射線は必要なし。
入院2日
28.12.○○ A医院の紹介でB-県立病院(第二診)
マンモグラフィー異常なし、エコー検査で見つからず、A医院のエコーを見診ながら
約10分後に黒い影(1.5×2.0mm)を発見 手術が必要,術後は放射線治療25-30回が必要
1/○○-MRI.1/○○–CTの検査指示あり、入院は5日間
※患者本人は現在しこりもないエコーでもなかなか発見できないような状態で即手術の説明を受けて動転し不安に陥っています。
(参考–妹が今年2月に乳がんで死亡。)また検査当日は検診の多くの人が生検を行っており万一間違いがあるのではとも思っています。
①今の状態で即手術が必要なのでしょうか
②現在の状態で定期的に(例えば3.6.9.12)経過診察は可能でしょうか
急に大きくなって悪化-ステージが進む、また反対に小さくなることはあるのでしょうか。
A医院⇒B 病院(エコーで小さくなっている感じがしている。)
③放射線治療、MRI.CTの必要性について
④生検-A医院のみで判断,再検査はできるのでしょうか
寝る間もないほど忙しい先生に対して無知で失礼とは思いますが
患者本人がパニックになっていますので是非共御回答くださるようお願いします。
先ほど送信の病理診断の内容に漏れがありましたので◎のところに追加送信させていただきます
大変失礼しました。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
乳癌と診断されてショックな気持ちは十分理解できます。
ただ、誤解を恐れずにコメントすれば…
質問者(の奥さま)は大変な幸運だったと思います。
○検診エコーで「4mmの病変」を、(このQandAで登場する多くの医師達とは異なり)組織診断で確定診断つけてくれたこと。
世の中の医師が皆、このようであれば、このQandAの質問も半分になるかもしれません。(それ位、診断で躓いて困っている人が多い事を質問者にも理解して欲しいと思います)
○早期発見早期治療
これに勝る治療はありません。
質問者(の奥さま)は、この段階で治療をすれば、「ほぼ根治」という状況です。
ここで「代替療法」や「健康療法」に逸れてしまったら、絶対に後悔します。
治療に「早すぎる」などありません。
「※患者本人は現在しこりもないエコーでもなかなか発見できないような状態で即手術の説明を受けて動転し不安」
⇒気持ちは解りますが…
治療に「早すぎる」ことはありません。
(今は早期で小さいけれど)癌は進行性なのです。
「できるだけ早期で、できるだけ小さい」内に、「手術で摘出する」
それ以上の治療はないのです。
「①今の状態で即手術が必要なのでしょうか」
⇒勿論、緊急性はありませんが…
「早すぎる」などは決してありません。
♯発酵食品やワインではないのだから「熟成させる」必要等全くありません。
「②現在の状態で定期的に(例えば3.6.9.12)経過診察は可能でしょうか」
⇒全く無意味です。
「癌と診断」されているのに「経過観察」とは???
「癌が成長する姿」を見て何がいいのですか???
○冷静になりましょう。
「 急に大きくなって悪化-ステージが進む、また反対に小さくなることはあるのでしょう か。」
⇒決して「後戻り」はしないのです。
いずれ、「取り返しがつかない」状態が来ます。
「③放射線治療、MRI.CTの必要性について」
⇒温存手術であれば、「MRIでの拡がり診断は必須」です。
CTは全く無駄な検査です。(遠隔転移を想像する事自体、全くナンセンスです)
「④生検-A医院のみで判断,再検査はできるのでしょうか」
⇒?
確定診断はついています。「再検査など不要」です。
質問者様から 【質問2】
田澤先生 様
先日はお忙しい中、大至急ご回答いただきありがとうございました。
今回のがんが発見されたことは、先生の大変幸運だったとのご意見をいただき
大変喜んでおります。
先送りせず早急に手術をする決心がつき感謝しております。
手術治療するにあたって不安がありますので、回答直後で大変申し訳ありませんが
再度質問させていただきます。
1.針生検について
がんの大きさ 2×3mm(米粒小)のところに太い針(約2mm)で2本採収
病理診断「2本とも非浸潤乳管がん腫瘍を含む・・・・・腫瘍細胞が拡張した数
本
の乳管内で・・・」<2本の針で数本の乳管>が確認できるのか無知のため
不安に
つき再度ご意見願います。
2.治療方法について
A医院( 開業20年以上、今回の担当者は経験5年、手術時は院長立合)
全身麻酔 手術0.5時間 入院2日
小さな初期がんのため
センチネルリンパ節生検 不要
術後-放射線治療 不要
B病院(Aからの紹介 担当医師 20年)
○センチネルリンパ節生検は同時に行う。
手術時間 1.5時間 入院5日
○術後の放射線治療 25+5=30回実施--これは基本
○再発防止のためホルモン療法-を検査陽性の場合 5年 実施
MRI7検査は1/○○実施予定, CT検査は中止の申出します。
※A医院、B病院で方針が異なりますので治療の必要性についてご意見願います。
①センチネルリンパ節生検について
②術後の放射線治療について
③再発予防のためのホルモン療法について
3. B病院はセカンドオピニオンではないが、もしA医院で治療することに問題は
ないでしょうか、また、B病院への話し方についてアドバイス願います。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
治療にすすむことを幸いに思います。
「がんの大きさ 2×3mmが確認できるのか」
⇒大丈夫です。
針生検前のエコー画像があれば(おおよその位置から)周辺の乳腺の状況を参考に「針生検の瘢痕」を確認することはできます。
○病変ギリギリで取ろうとする(マージンをつけない)ことが無い限り、全く問題ありません。
♯ この場合、むしろ「病変ギリギリでなく、大きめに切除して(その代わりに)術後照射の省略」の方がいいと思います。
「※A医院、B病院で方針が異なりますので治療の必要性についてご意見願います。」
「①センチネルリンパ節生検について」
⇒(原則としては必要ですが…)
さすがに、この病変では「不要」です。 99.9999999%転移は考えられません。
病変が「小さい」非浸潤癌であることに、加え「グレード1(低異型)」だから
「②術後の放射線治療について」
⇒これも(原則としては必要ですが…)
手術標本で「数ミリ以下」で「低異型度非浸潤癌」で「十分に大きく切除」
この3項目が確認できれば、実際「省略してもOK]と思います。
「③再発予防のためのホルモン療法について」
⇒そもそも「非浸潤癌」であれば、不要です。