[管理番号:3471]
性別:女性
年齢:29歳
江戸川病院 乳腺外科
田澤先生御中
初めまして娘29歳(既婚)の乳がん手術後の治療の件でご意見を伺いたく連絡させて頂きました。
結婚してもうすぐ1年 子供をと思っていたので、
念のため【母(63歳)である私が8年前と1年前に乳がん(トリプルネガテイブ)で1回目部分切除
2回目全摘(2回とも左胸)】ということもあり子宮がん・乳がんの検査をうけて判明いたしました。
手元に正確な資料(娘が持っている為)がないため数値が不完全で申し訳ございません。
ステージ1b 浸潤癌
大きさ 0.7cm
ホルモン 陽性 (多分A)
ハーツ- 陰性
リンパ節 転移なし
Ki67 数値がはっきりわかりませんがスピードの遅い癌である。
4月に検査 5月末に温存で手術 7月から放射線30回(8月(中旬)日で終了)
放射線の治療が終わりホルモン治療をするかで迷っております。
私の事もあるので、オンコタイプDxの検査をして
25という数値がでました。
主治医は若いのと結果が中リスクなので5年ホルモンを飲んでから子供をつくれば?
と言われたのですが、娘はとりあえず1人 子供をつくって授乳が終わってからホルモン治療をしたい。
田澤先生のご回答には先に妊娠・出産・授乳後にホルモン治療とのご意見が多いようですが、
娘の場合でも大丈夫でしょうか?
主治医はホルモン治療をするなら今でないと産んでからでは遅いと。
又、放射線が終わって直ぐに妊娠(出来るかわかりませんが、)しても大丈夫でしょうか?
再発率を下げるためにも授乳後必ずホルモン治療をした方が良いのでしょうか?
子宮がんの検査では大丈夫でエコーで排卵もあると婦人科で言われたそうです。
お忙しいと思いますがご回答を頂ければ幸いです。
宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
このQandAで気づいたことがあります。
それは、「ホルモン療法をしてから妊娠出産」という頑なな考え方をしている医師が多いという事です。
「ホルモン療法を早くしておかなければ(何となく)こわい」という「知識不足」が原因にあると単純に思います。
また「治療を優先させた方が無難」という極めて(根拠の無い)「日本人的 無難主義」も背景にはありそうです。
「主治医は若いのと結果が中リスクなので5年ホルモンを飲んでから子供をつくれば?」
⇒上記コメント通りです。
「妊娠出産を先行させる」ことより「治療優先とした方が無難」という考えから言っていると想像します。
「娘はとりあえず1人 子供をつくって授乳が終わってからホルモン治療をしたい。」「娘の場合でも大丈夫でしょうか?」
⇒その通りです。
妊娠出産することで「予後の悪化」はありません。
「放射線が終わって直ぐに妊娠(出来るかわかりませんが、)しても大丈夫でしょうか?」
⇒大丈夫です。
「再発率を下げるためにも授乳後必ずホルモン治療をした方が良いのでしょうか?」
⇒pT1b(7mm), pN0, luminalA
そもそも「無治療」でも再発超低リスクです。
ただ、ホルモン療法が有効なタイプである以上、(理由がなければ)ホルモン療法をするべきです。
♯ホルモン療法を始めてみて、副作用が強ければ無理しなくてもいい程度ですが…
質問者様から 【質問2】
田澤先生
母の質問に対してお忙しい中 早急なお返事ありがとうございました。
先生のご意見 とてもうれしく思います。
以下病理組織検査が分かったので、送らせて頂きます。
右乳房部分切除:3.8×3.6×1.9cm 皮膚なし
部位:右乳腺内側下方
個数:1個
大きさ:0.7×0.6×0.4cm(T1b)
組織型:浸潤性乳管癌・硬癌
核異型度:核異型2、核分裂数1で核異型度1
組織学的異型度:構造異型3で、組織学異型度2
脂肪識浸潤:f あり
乳管内進展:経度
衛星結節:なし
切除断端:陰性。
乳頭側断端まで1.0cm
脈管浸潤:陰性(ly0.v0)
Ki67 labeling index:16%
エストロゲンセプター(ER):陽性 10%以上 高度
プロゲステロンセプター(PgR)境界線 5~10%未満 中等度
HER2遺伝子(FISH):1.4 増幅なし
Oncotype DX:Recurrence Score Result 25
10-Year Ridk of Distant Recurrence Tam Alone 17%
ER Score 8.0
PR Score 5.1
HER2 Score 8.4
リンパ節転移なし。
主治医の先生は、ホルモン治療をすれば、2パーセント上乗せ(96%→98%)と
なり、するかしないかの判断は本人にまかせるということになりました。
今 ホルモン治療をしないと出産してからでは効果はない。
しない場合は、再発しないよう神様に祈るしかないとのことです。
放射線は、別の病院で治療しておりましたが、放射線の主治医の先生は、オンコの17%がひっかかるので、2年ホルモンを飲んでから妊娠を
考えたらどうですかと言われました。
手術した乳腺クリニックの看護師長さんに相談したところ、先に期間を
きめて妊活、出産を考えた方がよいとの意見でした。
上記のデータを見て頂いても先生のご意見に変わりはございませんでしょうか?
もし、今から妊活に入り、直ぐに妊娠するとは限らないので、どれぐらいの期間を見てできなかったらホルモン治療にはいったほうがよいでしょうか?
お忙しいと思いますが、ご返答をよろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「上記のデータを見て頂いても先生のご意見に変わりはございませんでしょうか?」
⇒勿論です。
前回の回答そのままです。
(以下、前回の回答)
このQandAで気づいたことがあります。
それは、「ホルモン療法をしてから妊娠出産」という頑なな考え方をしている医師が多いという事です。
「ホルモン療法を早くしておかなければ(何となく)こわい」という「知識不足」が原因にあると単純に思います。
また「治療を優先させた方が無難」という極めて(根拠の無い)「日本人的 無難主義」も背景にはありそうです。
「もし、今から妊活に入り、直ぐに妊娠するとは限らないので、どれぐらいの期間を見てできなかったらホルモン治療にはいったほうがよいでしょうか?」
⇒これについての答えはないでしょう。
私見では…
2~3年でしょうか。