[管理番号:3251]
性別:女性
年齢:38歳
田澤先生
初めて質問させていただきます。
先日、妻が乳房のしこりの件で乳腺クリニックの検診を受け、針生検の結果、右乳房に2つの乳がんが発見されました。
現在分かっている内容は以下のとおりです。
・1つ目 solid tubular carcinomaがみられる。
中~小型の充実性
胞巣を作り、部分的にscirrhousとなっている。
核grade=1(2+1)。
1つ目は、大きさ6mm。
妻には認識がなく、検診によって発見されたものです。
・2つ目 invasive ductal carcinomaがみられるが、浸潤は小さく、DCIS成分が目立つ。
核grade=1(1+2)。
2つ目は、今回の検診で見てもらいたかった場所です。
約半年前から認識、生理中のみしこりが固くなる状態かつ痛みがあったため、乳がんとは思わなかったのですが、今回の検診で乳がんであることが判明しました。
医師のカルテ上は17~18mm、ただし領域一部不明瞭との記載があり、実際に先生からも20mm以上あるかもしれないと言われました。
針生検の結果を聞きに行った際、肝臓と脇下のエコー検査、脇下の針生検、腫瘍マーカー用の血液検査を実施。
エコーの結果では肝臓転移は認められず。
脇下は、ごく小さいが疑わしいかもしれない箇所があるため、針生検を実施して1週間の結果待ち。
この箇所は初回検診時のエコー検査でも確認し、写真が残っていますが、かなり小さいため、初回の針生検は見送ったとのこと。
今回も大丈夫だとは思うが、乳がん判明後でもあり念のため検査とのことでした。
全体を通して、ステージは2ではないかとの発言がありました。
1週間後に、血液検査の結果、サブタイプが判明するため、そこで今後の対応方針の検討に入るとのこと。
医師の感触としては、手術+抗がん剤またはホルモン治療等が必要。
かつ、浸潤性で腫瘍の大きさを考え、
30年40年後の人生を考えれば、抗がん剤治療をした方がよいのではないかとのことでした。
治るための治療をしましょうとの発言をうれしく感じました。
ここで質問ですが、
・妻の状態は早期と考えてよいのでしょうか。
両方とも浸潤性ということで非常に不安です。
・遠隔転移、リンパ節転移をしている可能性はどの程度あるのでしょうか。
・最近はどの病院も非常に混んでおり、診察・手術の予定が入りづらいとのことですが、予約を入れ、診察が始まるまでの間に病状がどんどん進行してしまう可能性はどの程度あるのでしょうか。
・妻は2人目の子供を妊娠した際、卵巣嚢腫が発覚。
2年前(出産1年8か月後)に腫瘍マーカーの値が急上昇したこともあり、右卵巣および卵管を摘出しております(腫瘍マーカーは手術後に正常に戻りました)。
今回の乳がんは卵巣手術によるホルモンバランスの乱れが起因していると考えるべきでしょうか。
今後の乳がん検診とともに、卵巣関連のチェックも継続していくべきでしょうか。
ちなみに、今年の3月に卵巣関連の定期検診を実施した際の腫瘍マーカーはCEA:0.6、CA19-9:6.3、CA-125:13.4でした。
・病院での検査、手術までに日常生活で気を付けることはありますか。
1週間後の結果、病院での診断・手術結果を待てばよいことは十分認識しつつも、子供も小さい中、夫婦ともども不安が非常に大きく質問させていただきました。
ちなみに妻は喫煙なし、アルコールもほとんど飲まず、家族にもガンり患者はいません。
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「6mmの浸潤癌」と(全体として20mmを超えるかもしれないが)「非浸潤癌を主体とした癌」ですね。
明らかな早期癌です。
こう言う状況で(無駄な)「肝臓超音波」や「腫瘍マーカー(全く無意味)」を施行することで、質問者に余計な心配をさせているように思えて残念です。
ただ無用な被爆を避けている(どこかの大学病院や癌センターみたいにCTや骨シンチをしていない)配慮が感じられ、その点は評価します。
○ただ「腋窩の細胞診(針生検とありますが、細胞診の誤りですよね?)」は不要なことです。
転移が疑われるリンパ節でなければ「いずれセンチネルリンパ節生検で評価すべき」なのです。
「かなり小さい」とか「今回も大丈夫だとは思う」というコメントからも『何故、そうまでして細胞診する必要があるのか?』とても疑問に感じます。
「医師の感触としては、手術+抗がん剤またはホルモン治療等が必要。かつ、浸潤性で腫瘍の大きさを考え、30年40年後の人生を考えれば、抗がん剤治療をした方がよいのではないかとのこと」
⇒全く根拠がありません。
サブタイプも不明なのに「抗がん剤を持ちだしている」ことに「大変な違和感」があります。
担当医に「(単純に)抗がん剤が好き」だとか「若年者には抗ガン剤をすべきという(根拠の無い)考えがある」としたら、無責任なコメントと言えます。
「・妻の状態は早期と考えてよいのでしょうか。両方とも浸潤性ということで非常に不安です。」
⇒早期です。
「浸潤癌」は通常のことです。(非浸潤癌で見つかる方が稀なのです)
「・遠隔転移、リンパ節転移をしている可能性はどの程度あるのでしょうか。」
⇒遠隔転移の可能性はありません(無駄な骨シンチなどしないようにしてください)
リンパ節転移は「画像所見」からは「可能性が低そうです」
ただし、「画像(超音波)で転移の可能性が低い」と思っても「5%以下にセンチネルリンパ節で陽性とでる」ので、こればかりは手術後でないと解らないことです。
「診察が始まるまでの間に病状がどんどん進行してしまう可能性はどの程度あるのでしょうか。」
⇒心配ありません。
乳癌は「進行が早くは無い」癌です。
「今回の乳がんは卵巣手術によるホルモンバランスの乱れが起因していると考えるべきでしょうか。」
⇒無関係とは言えませんが…
直接の関係はありません。
癌の発生には「様々な要因」があり、「コレとコレ」みたいな単純なものでは無いのです。
「今後の乳がん検診とともに、卵巣関連のチェックも継続していくべきでしょうか。」
⇒乳癌と関連づける必要はありません。
婦人科の医師の意見に従いましょう。
「・病院での検査、手術までに日常生活で気を付けることはありますか。」
⇒無駄な検査(特に被爆を伴う 骨シンチ、CT,PETの類)はさせないようにしましょう。(断りませしょう)
日常生活では特にありません。
質問者様から 【質問2】
以前、乳腺クリニックで乳がんと診断され、その後、9月上旬に右乳房のの全摘手術をしました。
簡単な結果は以下の通りでした。
・病理学的浸潤径は2.9センチ×1.3センチと0.8×0.7センチの2か所。
大きい方は、 カルテに非浸潤の成分が比較的多量にみられると記載されていました。
・腋窩リンパ節への転移あり、転移数は2/17個、いずれもレベル1。
腋窩郭清済み。
・リンパ管への浸潤はあるが、広範囲ではない。
・組織学的グレードは3(詳細データを持っていませんが、カルテで見えた合計スコアは 8でした)。
・Ki-67は25%。
・ER 100%、PgR 95 %、HER2 陰性(1+)。
ルミナールAと考えられるが、グレードが高いため、オンコタイプDXを進められ、自分たちも納得したうえで治療方針を決めたいと考えたため、オンコタイプを実施しました。
10月中旬に受け取った結果はスコア14の低リスクに分類されるとのことでした。
再発率はホルモン治療のみで10%、ホルモン治療+抗がん剤で12%という結果でした。
この結果を受け、主治医からは以下の提案をうけています。
・抗がん剤は上乗せ効果がないため、推奨しない。
・放射線治療(胸壁と鎖骨の周辺)も検討の余地があるが、微妙なところ。
最近のガイドラインではリンパ節転移4個未満、浸潤径5センチ未満でもでも、実施効果があると考えられている。
そこで質問ですが、
1. 基本的なオンコタイプDXの見方ですが、リンパ節転移(1~~3個)ありの場合、再発率10%は5年治療した後、5年間(=10年間)のの数値ということでよいのでしょうか。
2. 抗がん剤は、せっかくオンコタイプで低リスクと分かったこともあり、主治医の意見を信じ、やらない方向で考えていますが、問題はないでしょうかはないでしょうか。
3. 放射線治療について、正直なところ、どうしたらいいかわかりません。
田澤先生のご意見をお聞かせいただけないでしょうか。
また、やるとした場合、どこを対象としてやればいいのでしょうか。
以上、よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「1. 基本的なオンコタイプDXの見方ですが、リンパ節転移(1~~3個)ありの場合、再発率10%は5年治療した後、5年間(=10年間)の数値ということでよいのでしょうか。」
⇒単純に、「5年再発率」です。
「2. 抗がん剤は、せっかくオンコタイプで低リスクと分かったこともあり、主治医の意見を信じ、やらない方向で考えていますが、問題はないでしょうか」
⇒その通りです。
全く「上乗せ」ありません。
「3. 放射線治療について、正直なところ、どうしたらいいかわかりません。田澤先生のご意見をお聞かせいただけないでしょうか。」
⇒「4個以下」で「全摘、郭清」しているのだから不要です。