[管理番号:2307]
性別:女性
年齢:31歳
初めまして、いつもこのサイトで大いに勉強させていただき、また頑張ろうという励みにもさせていただいております。
昨年末12月に、右非浸潤性乳がんと診断されました。
今日までに2回の手術をしておりますが、来週にもまた手術を受けることになってしまいました。
現在までの経過をまとめますと
2015.2しこりを発見し、近所の乳腺科にいくと
8ミリの乳腺嚢胞とのこと。
中にもやもやがあり、濃縮嚢胞かもと念のため細胞診をしたところクラスⅡ。
3ヶ月ごとに経過を見ていくことになりました。
その後の細胞診でクラスⅢが2回続いたため、こちらから申し出て2015.11に摘出生検を行いました。
その結果、2センチの非浸潤ガンでした。
グレード1、ホルモン陽性の大人しいガンとのことでしたが、ずっと病院に行っていたのに見落とされ(言い方は悪いですが…)、きっと最初からガンだったのだろうと思うと、医者に言われるまま経過観察を続けていたことを後悔しています。
前回、二ヶ所断端陽性でしたので、今年から病院を移り、エコー、MRIなどを経て2016.1.○に温存手術を行いました。
その結果、思ったより広範囲にガンが広がっており、頭側断端陽性とのこと。
また来週の月曜日に、温存で再手術です。
今回の病理では、非浸潤ガンだったものの、前回見られなかったコメド
壊死や、石灰化、背景乳腺にはADH、乳管過形成などが見られると記載してありました。
前回の嚢胞が最大病変だと思っていたのですが、なんだが悪性度が強くなっているような気がして恐ろしいです。
グレードは記載されていませんでした。
主治医は全摘でなく、温存で大丈夫とのこと。
主治医を信頼したいのですが、前の病院で、1年間ガンを放置してしまったこと、短期間の内に続く手術、最終診断がなかなか決まらない毎日に家族共々精神的にも参ってしまい、様々なことに疑い深くなっています。
とても長くなってしまいましたが、3つ質問があります。
①コメド壊死が見られたことから、コメドタイプなのでしょうか。
(最初の摘出生検の病理ではノンコメドと記載されてしました。
今回は、『異型細胞は乳頭状、篩状となって増殖し、一部コメド壊死、石灰化を伴う』と記載してありました。)
コメドタイプは悪性度、再発率や浸潤する可能性が高いとネットや本で見て心配です。
②来週手術予定のまだとりきれていない部分が浸潤している可能性は高いのでしょうか。
ずっと非浸潤ガンと言われていたので、もし浸潤していた時のことを考えると怖くて仕方ありません。
③ADH、乳管過形成が見られますが、全摘ではなく温存で大丈夫なのでしょうか。
また温存した場合、これは術後の放射線で対応できるものなのでしょうか。
私自身は出来れば温存でいきたいですが、再発率が高くなるのであれば、全摘もしかたないかと思います。
本来なら、主治医に聞くことなのですが、前回の診察でまた手術しましょうといわれ、動揺して聞きはぐってしまいました。
勉強不足ですので、勘違いしてることがたくさんあるかもしれません。
また、分かりにくい文章で申し訳ありません。
お忙しいところ大変、大変恐縮ですが、お答えを頂ければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「しこりを発見し、近所の乳腺科にいくと8ミリの乳腺嚢胞 クラスⅡ。その後の細胞診でクラスⅢが2回続いたため、こちらから申し出て2015.11に摘出生検 その結果、2センチの非浸潤ガン」
⇒困った「医師」ですね。
結局「癌だった」のに細胞診3回とも「クラス5(せめて4)がだせない」とは…
その程度の精度では「その医師の細胞診の精度があまりにもお粗末」と言わざるを得ません。
このような程度の医師が日本中に沢山いて、それ故不利益を被っている人が全国に沢山いることを想像すると、とても悲しく思います。
「医者に言われるまま経過観察を続けていたことを後悔しています。」
⇒正に、その通りです。
これが、このブログを読んでいる多くの方の教訓としてもらえればいいと思います。
「前回、二ヶ所断端陽性でしたので、今年から病院を移り、エコー、MRIなどを経て2016.1.8に温存手術を行いました。その結果、思ったより広範囲にガンが広がっており、頭側断端陽性とのこと。また来週の月曜日に、温存で再手術です。」
⇒大変でしたね。
再々温存は、あまり見ないケースです。
「今回の病理では、非浸潤ガンだったものの、前回見られなかったコメド壊死や、石灰化、背景乳腺にはADH、乳管過形成などが見られると記載」
⇒最大病変が他にあったということですね。
「嚢胞が最大病変だと思っていたのですが、なんだが悪性度が強くなっているような気がして恐ろしいです。」
⇒気持ちは解りますが…
さすがに、「再温存で、最大病変が他にある」というのは考え過ぎです。
「①コメド壊死が見られたことから、コメドタイプなのでしょうか。(最初の摘出生検の病理ではノンコメドと記載されてしました。」
⇒コメドタイプとなります。
あくまでも「最大病変(大きさでは無く、程度のこと)」が最終診断となるのです。
「今回は、『異型細胞は乳頭状、篩状となって増殖し、一部コメド壊死、石灰化を伴う』と記載してありました。)コメドタイプは悪性度、再発率や浸潤する可能性が高いとネットや本で見て心配です。」
⇒それはあくまでも「放っておけば(もしくは不完全な治療であれば)」というだけの話です。
きちんと治療すれば「何ら問題ありません」
非浸潤癌のグレードなど全く気にする必要はありません。
「②来週手術予定のまだとりきれていない部分が浸潤している可能性は高いのでしょうか。」
⇒それはありえません。
さすがに「再温存で最大病変を逃している」ことはありえません。
「ADH、乳管過形成が見られますが、全摘ではなく温存で大丈夫なのでしょうか。]
⇒無論、これらの拡がりを確認した上での温存なのだから問題ありません。
「温存した場合、これは術後の放射線で対応できるものなのでしょうか。」
⇒乳管過形成は気にしなくていいですが…
ADHは(小さいだけで)実態は癌なので、もうしも広範囲に(ADHとして)断端陽性ならば、「照射でなく」手術で切除すべきです。
質問者様から 【質問2】
先日はすぐに回答を下さりありがとうございました。
不安だったことに対してしっかりと、丁寧に答えて頂き、少し気持ちに余裕を持つことができました。
また、自分の現状も理解できてきた様に思います。
申し訳ありませんが、もう1つ質問をさせて下さい。
再々手術になったことに対して、先生は『広がりを正確に把握しているから温存でも大丈夫』
とおっしゃって下さいました。
しかし、私は癌の診断がつく前から今まで、一度もマンモグラフィーを受けていません。
転院してからMRIは撮りましたが、生検を受けたあとだったためか、うまく広がりが確認できていなかった様でした。
私が今疑問に思っていることは、再手術の病理でADHや石灰化を伴うと記載されていたのに、再々手術の前にマンモグラフィーはとらなくていいのだろうかということです。
エコーもしていません。
私の主治医はMRIにもうまく写らない広がりをどのようにして把握しているのだろうかと素人としてはとても疑問です。
経験則でしょうか…
過去のQ&Aを拝見していると、田澤先生は、石灰化があるときには必ずマンモグラフィーで広がりを確認し、術中にもレントゲンで確認をし、取り残しがないようにしておられるとのこと。
(間違っていたらすみません)
田澤先生は手術前の患者さんには、このように丁寧に詳しく手術内容を説明されているんですね。
私もこのような詳しい説明を主治医からされていたら、色々な不安が解消されていたのにと思いました。
私の手術はもう来週に迫っていますが、田澤先生のお答えを参考にさせて頂きながら、疑問やや不安に思っていることは、主治医にきちんと確認をしようと思います。
大事な自分の体のことですもんね!(日曜日に入院、翌日手術なので、もしかしたら当日まで主治医に会えないかもしれませんが…)
お忙しい中、本当にありがとうございました。
また相談させて頂くことがあるかもしれません。
その時はどうぞよろしくお願いいたします。
寒くなりますので、どうぞご自愛下さい。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「私が今疑問に思っていることは、再手術の病理でADHや石灰化を伴うと記載されていたのに、再々手術の前にマンモグラフィーはとらなくていいのだろうかということです。エコーもしていません。」
⇒それは大問題です。
おそらく、今回の「再再温存」では「断端陽性方向だけを大きめに切除」すれば大丈夫だろうという考え方をしているようですが、
○石灰化があり、それが病変の拡がりと一致すると考えるのであれば、「石灰化の範囲をマンモグラフィーで確認し、それを実際の乳腺に投影し、さらに術中に標本マンモで確認」しなくてはいけません。
更に、「術者が自分で超音波をしない」というのは「手術をするものとして、あるべき姿ではない」と思います。これは「普段から技師さんに超音波をしてもらう習慣が生んだ悪癖」と言えそうです。
超音波では解り難いとは予想されますが、「病変らしいエコー像がないか、確認はすべき」と思います。
「私の主治医はMRIにもうまく写らない広がりをどのようにして把握しているのだろうかと素人としてはとても疑問です。」
⇒おそらく、「再温存の病理標本のマップ」から、「断端陽性となっている方向を大きめに切除」という捉え方だと思います。
基本的には「それでもいい」のですが、(繰り返しますが)「石灰化の情報」や「エコー所見」も参考にすべきなのです。
「石灰化があるときには必ずマンモグラフィーで広がりを確認し、術中にもレントゲンで確認をし、取り残しがないようにしておられるとのこと。」
⇒その通りです。
「石灰化」は「マンモグラフィーでしか解らない」ので当然(術後ではなく)「術中に確認すべき(常識だと思いますが)」なのです。
質問者様から 【質問3】
以前、非浸潤癌の再再温存手術を行うことになり、そのことについて相談させて頂いた者です。
その節は本当にありがとうございました。
無事手術を終え、先日病理結果がでました。
残っていた部分も非浸潤癌で、全て取り切れたとのことでした。
病理が出るまで、やはり不安で仕方なかったのですが、田澤先生から頂いたお言葉を心の支えとし、大丈夫と自分に言い聞かせてきましたので、ようやく一息つけたような感じです。
再来週からは25回の放射線治療が始まります。
主治医からその際、ホルモン療法をするか否か決めましょうと言われました。
(ホルモンレセプターはどちらも+だそうです。)
主治医は、非浸潤癌なのだからデメリットを考るとホルモン療法はやら
なくてもいいのではという考えだそうです。
私もやらなくてもいいので
あればやりたくないのが本音です。
しかし、私が服用を悩んでいる理由として
①癌の広がりが大きかったことと、何度も手術をしたこと。
全部合わせると5センチほどの広がりだと思います。
②コメド壊死があり、中間グレードDCISだったこと。
③これから先の人生が長いこと。
(平均寿命まで生きるつもりでいます。)
④今のところ結婚や出産の予定がないので、今のうちに少しでもリスクを下げるため服用したほうがいいのではないかという気持ちがあること。
⑤婦人科系が強いわけではなく、月経困難症があったり、最近も不正出血があり、婦人科にかかったこと。
念のため体癌の検査をして現在結果待ちです。
上記の理由があり、服用するメリットとデメリットを考えても自分では答えが出せないのです。
乳癌治療は時に自分で決断しなければいけないことも多く、難しいですね。
非浸潤癌は根治する可能性がとても高いということは頭では理解しているのですが、乳癌全体の2~3%である(現在はもっと多いのでしょうか?)若年性乳癌になってしまったという事実が、またマイノリティ側になって再発してしまうかもしれないという不安につながっているのだと思います。
話は戻りますが、他の方のQ&Aを拝見していると、田澤先生は、非浸潤癌の時には基本的にホルモン療法はすすめていらっしゃらないと存じております。
私のような状況でもやはりホルモン療法は不要だと思われますか?
また、以前先生のブログにある、石灰化3部作を拝見しました。
その際、非浸潤癌のAさんにはホルモン療法をすすめていたように記憶しているのですが、あれは1つのモデルケースとして捉えればいいのでしょうか?
またまとまりのない文章になってしまいました。
長々と書いてしまいましたが、ホルモン療法をしなくても大丈夫と田澤先生に背中を押して欲しいのだと思います。
他の方と同じ様な質問をしてしまい申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「残っていた部分も非浸潤癌で、全て取り切れた」
⇒これは幸いでした。
おめでとうございます。
「主治医は、非浸潤癌なのだからデメリットを考るとホルモン療法はやらなくてもいいのではという考えだそうです。」
⇒私も、その考えです。
副作用(ご本人の自覚するものと、子宮体癌のリスク)と効果(対側乳癌の発生抑制)のバランスからは「非浸潤癌であれば」勧めません。
「①癌の広がりが大きかったことと、何度も手術をしたこと。全部合わせると5センチほどの広がりだと思います。」
⇒考慮する必要はありません。
「②コメド壊死があり、中間グレードDCISだったこと。」
⇒これも全く無関係です。
「コメド壊死を伴う非浸潤癌」は(放っておくと)比較的早く浸潤癌になってしまうことが問題なのであり、「手術してしまえば、どうでもいいこと」です。
「再発とは全く無関係」です。
「③これから先の人生が長いこと。(平均寿命まで生きるつもりでいます。」
⇒非浸潤癌だから、当然「乳癌死はありえません」
大丈夫です。(ホルモン療法をしなくても)
「④今のところ結婚や出産の予定がないので、今のうちに少しでもリスクを下げるため服用したほうがいいのではないかという気持ちがあること。」
⇒そもそも「再発リスク」自体がありません。
対側乳癌に対しては「検診をきっちりやること」です。
⑤婦人科系が強いわけではなく、月経困難症があったり、最近も不正出血があり、婦人科にかかったこと。
念のため体癌の検査をして現在結果待ちです。
「若年性乳癌になってしまったという事実」
⇒そもそも「若年性乳癌」が予後が悪いという概念は、今はありません。
更に質問者は「非浸潤癌」なのだから、「気にする必要無し」です。
「田澤先生は、非浸潤癌の時には基本的にホルモン療法はすすめていらっしゃらない」
⇒その通りです。
実際に「江戸川病院では、非浸潤癌でホルモン療法をしている方は一人もいらっ
しゃらない」のです。
「私のような状況でもやはりホルモン療法は不要だと思われますか?」
⇒「私のような状況」というような「特殊な状況」とは全く思いません。
もちろん、不要です。
「非浸潤癌のAさんにはホルモン療法をすすめていたように記憶」
⇒「術後3部作」ですね。
術後療法として「サブタイプ」も含めて、「ホルモン療法」を紹介するために、そのような展開としてしまいました。
近々「修正」しないといけませんね。
ご指摘ありがとうございます。
質問者様から 【質問4】
以前にも手術や術後治療について相談させて頂いた者です。
今後の様々なことに不安でいっぱいだった時、温かい言葉をたくさんかけて下さり、本当にありがとうございました。
今年2月に温存手術、放射線を経て半年が経ち、やっと落ち着いた生活を取り戻してきたところです。
術後は無治療で3ヶ月ごとに病院に通い、触診などをしてもらっています。
2ヶ月程前から、傷口より4センチくらい離れたところにビーズのような小さいかたまりがあることに気づきました。
動く感じのしこりでは
なく、念入りに触ると指に感じるようなものでした。
2ヶ月の間にかたまりは少し大きくなって、痛みもあり腫れているように感じたので、つい先日の定期健診の際、主治医にエコーで確認してもらったところ水が溜まっているとのこと。
そのままで大丈夫ということで何もせず帰宅をしました。
術後しばらくして嚢胞ができるのは、体質や手術の影響でしょうか?
私の乳がんは一年ほど嚢胞と誤診されていたので、また嚢胞?と大丈夫だろうかと不安があります。
3ヶ月後にもう一度エコーしましょうとのことでしたが急に大きくならない限りは様子見で大丈夫でしょうか。
エコー像が怪しい感じではなかったので、細胞診などはしなかったのかなと勝手に思っています。
また、嚢胞を大きくさせないために自身でできることはないのでしょうか。
小さなことも気になってしまいますが、あまり気にしすぎず、普通の生活を送りたいと思っています。
お忙しい中恐縮ですが、どうぞよろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「傷口より4センチくらい離れたところにビーズのような小さいかたまりがあることに気づきました」
⇒手術後にできたのであれば、脂肪壊死に伴う「脂肪融解(脂肪の溶けたもの)」の可能性も高そうです。
いずれ「内容が液体」であれば「水であろうと脂肪であろうと」気にする必要はありません。
「急に大きくならない限りは様子見で大丈夫でしょうか。」
⇒上記コメント通りです。
心配ありません。
「嚢胞を大きくさせないために自身でできることはないのでしょうか。」
⇒原因が何であれ…
何もありません。