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妊娠後の乳癌

[管理番号:7450]
性別:女性
年齢:38歳
病名:
症状:

お世話になります。
今回は妊娠後の乳癌についてと、検診の内容についてお伺いしたくて投稿しました。
私は2年半前に子供を出産しました。

今もまだ授乳をしています。
一年前にマンモ、エコーともに異常なし、
先日のエコーも異常なしでした。
先生はご存知ないかもしれませんが、
○○というサイトでも乳癌について勉強しています。

そちらでは、必ず検診ではマンモ、エコーの両方を受ける事を推薦しています。
片方だけだと不十分だとおっしゃっています。
マンモ、エコー、それぞれ得意分野、不得意分野があり、両方受けて互いに補うという事は理解しています。
いつもお世話になっている乳腺外科ではマンモの機会が変わり、授乳中は受けられないそうで、エコーだけの検診になってしまいますが大丈夫でしょうか。

また、先程のサイトで出産後2年~5年に乳癌になると予後不良だったり、進行癌でみつかる場合が多いというエビデンス?があると記載されていました。
幸い、今のところ検査でも異常がなしですが、私は出産後2年半しか経過しておらず、5年経たずに乳癌になったら早期に発見出来ないかもしれないという不安があります。
この話は本当なのでしょうか。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

今回、回答していて「あるあるQ]に入れることにしました。

「そちらでは、必ず検診ではマンモ、エコーの両方を受ける事を推薦」
→誤り。

 エコーの方が(術者により精度は「雲泥」ですが)圧倒的に優れています。
 閉経前(特に若年者)では所謂「高濃度乳腺」となり、マンモでは殆ど検出できません。

 何でもかんでも、「フルコース」をお勧めしても「費用対効果」が悪くなります。
 もしも費用が許すなら「造影MRI+US」の検診の方が圧倒的に優れているでしょう。

 最低限エコーさえすれば、殆ど「事足りる」のです。
 ★石灰化だけはエコーでは解らないので、(妊娠、授乳期以外なら)2~3年に1回はマンモも併用するといいでしょう。

「片方だけだと不十分だとおっしゃっています。」
→上記とおり。
 毎回マンモを併用する必要はないし、特に授乳中に併用する意味は「殆ど」ありません。

「マンモ、エコー、それぞれ得意分野、不得意分野があり、両方受けて互いに補う」
→これだと「対等」なように感じますが…

 実際は「対等」とはかけ離れています。
 石灰化は2-3年に1回のチェックでいいでしょう(エコーを毎年していれば)

「授乳中は受けられないそうで、エコーだけの検診になってしまいますが大丈夫でしょうか。」
→十分!(上記通り)
 ご安心を。

「また、先程のサイトで出産後2年~5年に乳癌になると予後不良だったり、進行癌でみつかる場合が多いというエビデンス?がある」
→誤り。
 大部分は「発見が遅れる(妊娠~授乳期には胸が張るので発見しにくいし、検診もサボりがちとなるため)」であり、「性質がどうこう」ではありません。
 ★かつて「妊娠出産が20歳代」の時代に、(その年齢で乳がんに罹患するのは)
「BRCA変異陽性の占める確率が高かった」という背景はあったと思います。
  ただ、現在は「妊娠期に乳癌になっている方」の年齢も上がっているので、そこまでの影響はないと考えられます。
 「妊娠期乳癌」などと「特別扱い」する必要は全くありません。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

妊娠後の乳癌
性別:女性
年齢:38歳
病名:
症状:

お世話になります。
お返事ありがとうございました。
先日ご相談した某サイトで勉強し、疑問に思ったことを質問させて下さい。

他のサイトの疑問点で申し訳ありません。

妊娠期から授乳期には乳癌になる事は極めて稀だというのは本当でしょうか?
この時期の乳癌は成長スピードが早いのでよっぽど大きなしこりがあるという事以外は受診しなくてよいとありましたが・・。

また、通常の乳癌のダブリングタイムが3カ月というのも本当ですか?
私は1カ月前に乳腺エコーをしてもらい、異常はなかったのですが、昨日自己触診をしたら左胸下に違和感がありました。
力を入れずにさーっと撫でるだけだと、違和感はないのですが、少し力を入れると違和感がありました。

再受診した方が良いでしょうか。
乳癌ではありませんか?
最後に、先生は半年に一度のエコーで早期発見出来るとおっしゃっていましたが、どれぐらい早期で発見できますか?
抗がん剤を使用せずに済むぐらいの早期で発見できますか?
乳癌にはならないためにはどうしたらいいですか?
沢山質問してしまい、申し訳ありません。

乳癌がとても怖いので疑問点にお答え頂き、勉強したく思います。
宜しくお願い致します

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「妊娠期から授乳期には乳癌になる事は極めて稀だというのは本当でしょうか?」
→無意味な情報

 実際は、まったく無関係です。
 ただ、「妊娠する年齢」と「乳癌のピーク」が離れているというだけのことです。
(10年前と比べると遥かに、近づいてきています)

「この時期の乳癌は成長スピードが早いのでよっぽど大きなしこりがあるという事以外は受診しなくてよいとありましたが・・。」
→誤り
 前回、回答した通りに生物学的な性格に違いはありません。

「また、通常の乳癌のダブリングタイムが3カ月というのも本当ですか?」
→乳がんの増殖スピードには(当然ながら)差があるので、これも無意味な情報です。

「私は1カ月前に乳腺エコーをしてもらい、異常はなかった」
「再受診した方が良いでしょうか。」

→100%不要。
 エコーを信じましょう。

「半年に一度のエコーで早期発見出来るとおっしゃっていましたが、どれぐらい早期で発見できますか?」
→前から言っているようにエコーは「術者によって雲泥」ですが…

 それでも、半年に1回であれば5mm程度で発見できるでしょう。

「抗がん剤を使用せずに済むぐらいの早期で発見できますか?」
→その可能性は十分あります。(浸潤径5mm以内なら、サブタイプにかかわらず抗がん剤をしないとすれば)

 ただ、(せっかく早期で発見しても)「小さすぎて針生検できない」などというような乳腺外科医にあたってしまうと(これらの医師は1cm以上でないと、針生検できないそうです)診断までに「若干」大きくなる可能性はあります。(それでも、早期だとは思いますが)

「乳癌にはならないためにはどうしたらいいですか?」
→予防は不可能です。

 現実には、「出来る限り早期発見をこころがける」しかないのです。(そのためには「半年に1回のエコー」ですよ)