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妊娠中の乳がんについて

[管理番号:8408]
性別:女性
年齢:35歳
病名:浸潤性乳管がん
症状:現在は自覚症状なし
投稿日:2020年3月23日

初めまして。

田澤先生が丁寧に、そしてわかりやすく解説してくださっているのを見て、ぜひ妻のことについてお聞きしたいと思い、質問させていただきました。

よろしくお願いします。

妻は妊娠中に乳がんが見つかりました。
妊娠中ですので、エコーでしか画像検査ができておらず、全身の検査は未だにできていません。
出産は来月始めです。

昨年末、左脇にかなり近いところにしこりを妻が自分で見つけ、
近くの乳腺外科でも、その後紹介された地元の大学病院でも、エコーで診てもらったところ、しこりは一番大きいところで1.5cmとの話でした。
大学病院ではセンチネルリンパに一つだけ転移ら
しいものがあり、検査したところ、がんと判明。
鎖骨周辺も全部見て、一つだけでした。

ただ、2月中旬に手術で取ってみたら、以下のような病理結果でした。

腫瘍 3.0cm×1.7cm×1.4cm
ホルモン受容体陽性
 エストロゲン 10%以上 軽度
 プロゲストロゲン 10%以上 軽度
HER2 陰性
リンパ節転移11個
 レベル1 10/15
 レベル2 1/2
 レベル3 0/0
悪性度 3
K i67 50~60%
脈管侵襲あり(血管もリンパ管も、というのは聞きましたが、どれくらいというのは聞いていません)

このような結果を踏まえて、先生にお聞きしたいことは以下のことです。

①エコーでの検査と病理結果はだいぶ違いました。
エコーでは、
リンパへの転移など、そんなに見つからないものなのでしょうか?

②出産後に治療を始めるのはおそらく4月末頃になる予定です。

手術後に2ヶ月半も放っておいたら、目に見える転移が出てきてしまいやすいでしょうか?
出産前に抗がん剤を使い始めることを
主治医からは提案されませんでしたが、必要ないでしょうか?

③出産後にCTを撮ってステージⅣとなった場合、ホルモン療法からに変更すると言われました。
自分で調べたところ、CDK4/6阻害薬のことなのかなと思っています。
この薬は、がんの成長を抑えるだけで、奏功は期待できないのでしょうか?私としては、抗がん剤で積極的な治療も試してみたいと思っています。

④妻の場合、エストロゲンもプロゲストロゲンも、軽度であるということは、ホルモン療法は効きにくいということですか?

よろしくお願い致します。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「①エコーでの検査と病理結果はだいぶ違いました。
エコーでは、
リンパへの転移など、そんなに見つからないものなのでしょうか?」

⇒稀にそのようなケースはあります。

「②出産後に治療を始めるのはおそらく4月末頃になる予定です。
手術後に2ヶ月半も放っておいたら、目に見える転移が出てきてしまいやすいでしょうか?出産前に抗がん剤を使い始めることを主治医からは提案されませんでしたが、必要ないでしょうか?」

⇒術後補助療法を慌てる必要はありません。
 抗がん剤を勧められるとは思います。(リンパ節転移の個数及びKi67=50~60より)

「③出産後にCTを撮ってステージⅣとなった場合、ホルモン療法からに変更すると言われました。
自分で調べたところ、CDK4/6阻害薬のことなのかなと思っています。
この薬は、がんの成長を抑えるだけで、奏功は期待できないのでしょうか?私としては、抗がん剤で積極的な治療も試してみたいと思っています。」

⇒遠隔転移の心配をする必要はそもそもありません。
 余計な心配をしないようにしましょう。

「④妻の場合、エストロゲンもプロゲストロゲンも、軽度であるということは、ホルモン療法は効きにくいということですか?」
⇒10%以上となっているから効くと思いますよ。

質問者様から 【質問2 】

ステージⅣの治療について
性別:女性
年齢:35歳
病名:浸潤性乳管がん
症状:自覚症状なし
投稿日:2020年4月9日

妻の妊娠中に乳がんが発覚し、術前にできる検査が限られていた中でエコーでは早期の乳がんであると診断され、手術をしました。

前回の質問で先生は遠隔転移の心配はいりませんと言っていましたが、出産後にやっとCTを撮ることができた結果、結局、肝臓に転移がありました。
他には転移なしでした。
それでも他の回答を見て、田澤先生を信頼していますので、お知恵を貸していただきたく、再質問させてください。

肝臓の転移は小さいものが10個くらい?だったそうです。

妻の場合は、最初の診断の時点で遠隔転移があり、ステージⅣだったわけですが、主に教えていただきたいのは、最初から転移している場合と、再発での転移の場合とでの違いについてです。

というのも、再発の方が、最初からの遠隔転移の場合よりも生存期間としては長いというのをネットで見たりしました。

その点で、まず疑問があります。

①私の印象としては、再発の場合は、再発予防で一度抗がん剤で叩いているにも関わらず再び出てきたとしたら(抗がん剤してないで再発してくるパターンもあるかと思いますが)、薬が効きにくい厄介な癌であるということではないのかな、と思っています。
一方、最初から遠隔転移があった場合は、それが小さいものであり、まだ試してないのでこれからの抗がん剤が効けば、(画像上だけだとしても)CRを狙えるので、必ずしも再発の方が生存期間が長く、最初の診断で遠隔転移があった場合の方が生存期間が短いということでもないのではと思っています。
そのような考え方は正しいですか?

また、主治医には、以前、遠隔転移があった場合はホルモン療法から始めるとの話がされていましたが、話し合った結果、抗がん剤からの治療になりそうです。
主治医の先生も、他の先生たちとの協議で、ホルモン療法からがいいか、抗がん剤からがいいか、どちらも考えられる、との話になっていたそうです。

私も、田澤先生の138回目のブログを読み、抗がん剤で「いい状態」を維持することを目指すことの良さが頭にあったので、主治医には患者側の意向としては抗がん剤をお願いし、その方向で進みそうです。

ただ、その点でも疑問があります。

②田澤先生は138回目のブログでは、再発治療に有効な抗がん剤として紹介していましたが、妻の場合は再発ではなく、最初の診断での遠隔転移ですが、その場合も同じように捉えてよいのでしょうか?

さらに、主治医の先生からは肝臓への転移が見つかる前は、dd
AC療法→パクリタキセルを提案されていましたが、肝臓への転移が見つかった後の抗がん剤パターンとして、FECを75%くらいにして、長く続けること(8~10回くらい?)を提案されました。

ここでも疑問があり、

③ステージⅣだとdd AC &パクリタキセルからFECに変えた方がいい理由が、スッキリと納得できません。
一度押さえ込むという目的であれば、強い抗がん剤の方がその目的には合うはずです。

そのときはあまり落ち着いて聞けなかったのですが、主治医の先生は、治療を長く続けることが大事なので、と言っていた気がします。
他の方の質問でもありましたが、抗がん剤で血小板などの減少のために治療をストップしなければいけなくなることは避けなければいけないので、なるべく持続可能な形で長く続けるため(あとQOLを保っていくため)なのかなと思っています。
そのような理解で合っているのでしょうか?

また、もう一つ疑問があります。

④ステージの違いで、なぜそんなに治療法が変わるのかについてもスッキリと納得できません。
ステージはあくまでも人が決めた線引きだと思います。
CTを撮る前の段階ではステージⅢCでしたが、ⅢCは目に見える転移はない、Ⅳは目に見える転移がある、
しかし、ⅢCでも目に見えない転移はすでにある可能性が高いわけですよね。
要はそれを抗がん剤で消し去れるかどうかが大きな分かれ道であるのではないかと考えていました。
だとしたら、ステージⅣでも抗がん剤で消し去ることができればいいわけですから、ガツンと強力な抗がん剤でやっつけることを目指したい、と思ってしまいます。
それはおすすめできないのでしょうか?

⑤原発巣は取ってあります。
ステージⅣでは一般的に手術はしないようですが、手術をして原発巣を取ってあることはポジティブに捉えてよいのでしょうか?

長くなりましたが、以上の件について、よろしくお願いします。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

肝転移とのこと。
お気持ちお察しします。

「妻の場合は、最初の診断の時点で遠隔転移があり、ステージⅣだったわけですが、主に教えていただきたいのは、最初から転移している場合と、再発での転移の場合とでの違い」
⇒本質的な違いはありません。
 便宜上AとBに分けると…

 A「術後の(時間が経ってからの)遠隔転移(再発)」もB「手術した時点の遠隔転移」も、「手術の時点で癌細胞が(遠隔)臓器に到達していた」という意味では同じです。
 一般論として「手術の時点で遠隔転移が(画像上)成立している」場合には「癌細胞の(遠隔臓器での)増殖速度が速い」という解釈となります。

「再発の方が、最初からの遠隔転移の場合よりも生存
期間としては長いというのをネットで見たりしました。」

⇒上記解釈はある程度当て嵌まるとは思います。(薬剤の感受性によって、その後の予後には個々で異なりますが、統計をとれば「そのような傾向となる」のは想像に難くありません)

「①私の印象としては、再発の場合は、再発予防で一度抗がん剤で叩いているにも関わらず再び出てきたとしたら(抗がん剤してないで再発してくるパターンもあるかと思いますが)、薬が効きにくい厄介な癌であるということではないのかな、と思っています。
一方、最初から遠隔転移があった場合は、それが小さいものであり、まだ試してないのでこれからの抗がん剤が効けば、(画像上だけだとしても)CRを狙えるので、必ずしも再発の方が生存期間が長く、最初の診断で遠隔転移があった場合の方が生存期間が短いということでもないのではと思っています。
そのような考え方は正しいですか?」

⇒質問者の考えも正しい。

 なので、全体でみれば A>Bとはなっても「薬剤感受性を考慮」すると
  (感受性のある)A≧(感受性のある)B>(感受性のない)A>(感受性のない)B となります。

「ホルモン療法からがいいか、抗がん剤からがいいか、
どちらも考えられる、との話になっていたそうです。」

⇒life-threateningではないということだと思います。

 もしも「肝転移がlife-threateningな状況」であった場合には(ホルモン療法からという選択肢はなく)「抗がん剤1択」となった筈だからです。

「主治医の先生からは肝臓への転移が見つかる前は、dd
AC療法→パクリタキセルを提案されていましたが、肝臓への転移が見つかった後の抗がん剤パターンとして、FECを75%くらいにして、長く続けること(8~10回くらい?)を提案されました。」

⇒これは、一般的なことです。

術後補助療法であれば「短期間だけ、なんとか我慢して乗り切ってくれ」となりますが、
 転移治療となると「短期間だけで終わり」ではないからです。
 やはり長期的な視野でいうと、「体に無理はさせない(QOLも勿論ですが、ダメージが大きくなり身体的に継続困難となることを避けるため)」となるからです。

「ステージⅣでも抗がん剤で消し去ることができればいいわけですから、ガツンと強力な抗がん剤でやっつけることを目指したい、と思ってしまいます。
それはおすすめできないのでしょうか?」

⇒上記回答と重なります。

 (「目に見えない転移があるかもしれない」を前提としているとはいえ)実際に「目に見えるものがあるのと、無いのとでは治療が異なる」のです。(薬剤の適応が全く異なります)
 例えば、「目に見えない転移を強く疑った」としても、(目に見える病巣が無い限り)標準療法しかできないのです。(だから短期決戦となります)

「⑤原発巣は取ってあります。
ステージⅣでは一般的に手術はしないようですが、手術をして原発巣を取ってあることはポジティブに捉えてよいのでしょうか?」

⇒勿論、その通り。

 私であれば(そもそも)転移巣がコントロールされていれば原発巣は積極的に切除します。(当院の腫瘍内科医は積極的に「手術依頼」してきますよ)

質問者様から 【質問3 】

前回の回答についてと今後の治療方針などについて
性別:女性
年齢:35歳
病名:肝転移
症状:自覚症状なし
投稿日:2020年4月27日

お世話になります。
3度目の質問ですが、よろしくお願い致します。

これまでの経緯を簡単に振り返らせていただきますと、
2020.1中旬 妻の妊娠中に乳がん発覚(妊娠中だったので全身の検査はできず)
2020.2中旬 手術で原発巣の切除
2020.4上旬 出産後のCTで肝臓への転移が発覚
2020.4下旬 FEC(エピルビシンのみ75%)スタート
 ※現在1回行ったところです。

前回の田澤先生からのお答えを受けて、再度質問させてください。

①薬剤感受性が高いA(再発)というのは、存在するのでしょうか?薬剤によってがん細胞を消し去ることができなかった(=薬剤感受性が高くなかった)から、再発してきたのではないのでしょうか?

②薬剤感受性とは、薬剤の種類によって違うのですか?例えば、
FECはあまり効かなかったけど、パクリタキセルはすごく効いた、ということもあるのでしょうか?だとすれば、①の「薬剤感受性が高いA」というのも納得できます。

③田澤先生は、再発転移の多くの方にベバシズマブとパクリタキセルのレジメンをお勧めしていますが、ベバシズマブとはどのような薬剤で、どんな効果が期待されるものなのでしょうか?
自分で調べてもいまいちわからず、主治医との今後の治療方針の相談の際にこちらから話を持ち出す上で知っておきたいと思っていますので、教えてください。

④妻はFECを8回行う予定ですが、私としてはFECの効果がどのような結果であっても(奏功していてもここでたたみかけるために)、次はベバシズマブとパクリタキセルを主治医にお願いしたいと思っています。
先生は、その選択はどのように思いますか?結局は副作用の出方次第でしょうか?

また、少し話が変わりますが、抗がん剤治療中の食事についても、お聞きしたいです。

多くの抗がん剤は、活性酸素によって酸化障害を起こして癌を死滅させるようですが、ビタミンCやEを多く摂取すると抗酸化作用によって抗がん剤の効果を薄めてしまうという話をネットで目にしました。
また、抗がん剤治療後の1週間は、ビタミンCやEの摂取は完全に断つのは良くないが控えた方がいい、というのも見たりしました。

このことが気になったきっかけは、EPR効果やDDSで有名な某大学の名誉教授の方が書いた本を読んだことでした。

もちろんそれだけで癌が治せるとは全く思っていませんが(その本にもそんなことは書いていませんが)、副作用を軽減できれば治療も効果的に続けられるし、次の抗がん剤まで何もしないよりは何かしらできることをしたい、と思ったからです。

多くの抗がん剤では大量の活性酸素で癌をやっつけると同時に、その活性酸素によって正常細胞も傷つけられてしまうので副作用が起きる、という話には納得したのですが、副作用の軽減のためにビタミンCやE、ファイトケミカルを摂っても、癌をやっつけるはずの活性酸素までもそれらによって消去することになってしまっては、治療効果が薄れるのではないか?と本を読んで疑問に思っていました。
しかし、そのことについては触れられていませんでした。

そんな中で、ネットで抗がん剤治療後1週間はビタミンCやEの摂取は控えた方が、という話を見て、実際のところどうなんだろう?と思ったので質問させていただきます。

⑤抗がん剤は、投与後どれくらいの間、効果をもったまま体に残っているのでしょうか?点滴後はもう体から排出されてしまって良いものなのでしょうか?それともある程度の間は体にとどまっていた方がよいものなのでしょうか?

⑥抗がん剤治療後1週間はビタミンCやEの摂取は控えた方がよい、というのは、医学的なエビデンスがありますか?

長くなりましたが、以上です。
いつもお忙しい中、感謝しております。
今回もよろしくお願い致します。

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

「①薬剤感受性が高いA(再発)というのは、存在するのでしょうか?薬剤によってがん細胞を消し去ることができなかった(=薬剤感受性が高くなかった)から、再発してきたのではないのでしょうか?」
⇒存在します。

 それは理論上ではなく「実際に」私は経験しているのです。

 例えば術後補助療法としてTC(docetaxel+cyclophosphamide)を行っていて3年後に再発(殆ど肝全体を占める)
 第1選択は(勿論)anthracyclineとなります。 これを行って(画像上)CRとなる人は最近も居ましたし、過去にも似たようなケースはあります。

 (画像上)CRとなれば…
  CDK4/6 inhibitor + Fulvestrant(+ LH-RH agonist)の登場となります。(もしも、これにも感受性が高ければ2年以上このままいけます)

「②薬剤感受性とは、薬剤の種類によって違うのですか?例えば、FECはあまり効かなかったけど、パクリタキセルはすごく効いた、ということもあるのでしょうか?だとすれば、①の「薬剤感受性が高いA」というのも納得できます。」
⇒上記通り。

「③田澤先生は、再発転移の多くの方にベバシズマブとパクリタキセルのレジメンをお勧めしていますが、ベバシズマブとはどのような薬剤で、どんな効果が期待されるものなのでしょうか?
自分で調べてもいまいちわからず、主治医との今後の治療方針の相談の際にこちらから話を持ち出す上で知っておきたいと思っていますので、教えてください。」
⇒(私基準で)最強の薬剤です。

 もう一つの横綱は(間違いなく)anthracyclineとなります。
 〇bevacizumab(+paclitaxel)のスゴイところは
  1.Anthracyclineが今一つ(の効果)であっても、(それをひっくり返す)効果が期待できる。
  2.(anthracyclineが副作用の点でやりにくい)高齢者にも、安心して使用できる。(副作用がマイルド)

 〇効果と副作用のバランスが圧倒的に高い
  Eribulinもバランスはいいですが、「副作用が少ない分、効果も(同様に)やや劣る」というイメージです。(eribulinがもの凄く効く人もいます)

「④妻はFECを8回行う予定ですが、私としてはFECの効果がどのような結果であっても(奏功していてもここでたたみかけるために)、次はベバシズマブとパクリタキセルを主治医にお願いしたいと思っています。
先生は、その選択はどのように思いますか?」

⇒賛成です。

「結局は副作用の出方次第でしょうか?」
⇒(副作用よりも)効果次第という面もあります。

 まずはvisionをもつことです。
 Anthracyclineで(画像上)CRとなった場合には、(そのまま)bevacizumab +
paclitaxelとしてもいいし、(もう一つの選択肢として)
CDK4/6inhibitor+Fulvestrant(+LH-RHagonist)もありです。
    〃        でCRまで行かなかった場合には、(是非)
bevacizumab+paclitaxelへ進みましょう。

「抗がん剤治療後の1週間は、ビタミンCやEの摂取は完全に断つのは良くないが控えた方がいい、というのも見たりしました。」
⇒根拠がない。
 それよりも「栄養に気をつけて、抗がん剤をやり遂げる事」に(意識を)絞りましょう。

「そんな中で、ネットで抗がん剤治療後1週間はビタミンCやEの摂取は控えた方が、という話を見て、実際のところどうなんだろう?と思ったので質問させていただきます。」
⇒根拠薄弱。

 抗がん剤を完遂する体力を重要視することです。

「⑤抗がん剤は、投与後どれくらいの間、効果をもったまま体に残っているのでしょうか?点滴後はもう体から排出されてしまって良いものなのでしょうか?それともある程度の間は体にとどまっていた方がよいものなのでしょうか?」
⇒代謝産物が副作用の原因となるので、水分を多めに摂取しましょう。

「⑥抗がん剤治療後1週間はビタミンCやEの摂取は控えた方がよい、というのは、医学的なエビデンスがありますか?」
⇒ありません。
 横道にそれないように気を付けましょう。

質問者様から 【質問4 】

今後の治療について
性別:女性
年齢:36歳
病名:転移性乳がん
症状:特になし
投稿日:2020年7月16日

お世話になります。

4回目の質問ですが、どうぞよろしくお願いします。

妻は8回計画のFEC療法(エピルビシンのみ75%に減量)の半分を終え、先日造影CTを撮りました。

結果としては、肝臓にあった10個以上の転移(たくさんあって主治医も正確にいくつか数えてないとのこと)が、目に見えるものは5つに減りました。

その残っている5つについてのみ大きさを比較すると、合計55.3mmだったのが32mmに縮小しました(縮小率42.1%、見えなくなった最低5個以上のものも含めれば、もっと縮小率は高いと思います)。

今週、後半の4回に入ったところですが、今後の治療方針についてお知恵を貸していただければと思います。

主治医からは、後半の4回終了後、
(1)すべて見えなくなっている。
 → ホルモン療法。

(2)残っている。
 → 心エコーして問題なければFECをもう2回。
それでも残っていればベージニオ。
と、提案されています。

私としては(1)の場合、いきなりホルモン療法では、ホルモン受容体の陽性度が低いことから心許ないと思っています。
そこで、

質問①前回の質問の時点ではCRでもベバシズマブとパクリタキセルと考えていましたが、副作用として血管痛がひどくなってきたことから(他の副作用は許容範囲内)、点滴でないベージニオ(田澤先生も勧めてくださりましたが)、または他の方のQ&Aを
見て思いましたが経口の抗がん剤でもいいのかなと思っています(どうでしょうか?)その場合、期間を決めて行った方が良いかと思いますが、維持し続けられた場合、それぞれの場合でどのくらいの期間行い、その後ホルモン療法のみに移行するのが良いでしょうか?

また、
②(妻の主治医が提案してくれているような)CR後にいきなりホルモン療法については田澤先生はどのように思いますか?

次に、
③(2)の場合について、私から、ベバシズマブとパクリタキセルをお願いしたいと主治医に伝えたところ、「それは後に取っておきたい。
一回使った薬は二回目はまず効かないので。」とのことでした。

乳がんプラザのQ&Aをすべて読んだわけではありませんが、これまで読んできてそのような印象は受けません。
使用済みの薬剤の再登場は効かないとは限らない、という認識で合っていますか?
主治医と田澤先生からのご意見が異なる部分ではありますが、私としては主治医も田澤先生もどちらも信頼しているので余計に迷います。

④前回の質問では(2)の場合、田澤先生からはぜひベバシズマブとパクリタキセルを、と回答いただきましたが、副作用の面も考慮して点滴のものはFEC後に一旦休み、そのとき肝がコントロールされていれば、放射線(第一候補はサイバーナイフ)で見えているものだけでも消し、その後にベージニオで維持しようと、今は考えています。
その選択はどうでしょうか?

⑤ただ、近隣のサイバーナイフを備えた病院のホームページを見たところ、転移性の肝の腫瘍は3個以内が適応との記載がありました。
もし、FEC終了後に3個以内になっていなければ適応になりませんが、ちなみに江戸川病院でのトモセラピーは、適応になる個数の制限はありますか?

最後に腫瘍マーカーについて教えてください。

妻はFEC開始前(多発肝転移が発覚してから)から縮小が確認された今まで一度も基準値を超えず、正常範囲内です。

参考までに数値は、
CEA 0.9(4月FEC前)→0.9(5月)→1.2(6月)→1.0(7月)
CA15-3 21(4月FEC前)→24(5月)→19(6月)→12(7月)

⑥多発転移があってもマーカーが基準値を超えてこないということは、妻の場合は、マーカーは進行具合の指標として機能していないと考えた方がいいのでしょうか?
それとも、一旦CRしたときの数値を妻の基準と捉えて、そこから例えば4月のときのような数字になってきたら、再発を疑う指標として考えていいのでしょうか?

たくさんの質問で申し訳ありませんが、今回もよろしくお願い致します。

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。

「質問①前回の質問の時点ではCRでもベバシズマブとパクリタキ
セルと考えていましたが、副作用として血管痛がひどくなってき
たことから(他の副作用は許容範囲内)、点滴でないベージニオ
(田澤先生も勧めてくださりましたが)

⇒血管痛がネックならば、ポートを考慮しては?

「経口の抗がん剤でもいいのかなと思っています」
⇒経口の抗がん剤は私は全く使いません。

 効果と副作用のバランスが極端に悪いため(効果が無いのに副作用が強い)

「維持し続けられた場合、それぞれの場合でどのく
らいの期間行い、その後ホルモン療法のみに移行するのが良いでしょうか?」

⇒抗がん剤(bevacizumab + paclitaxelもしくはeribulin)は3か月~半年が目安

CDK4/6阻害剤(palbociclib / abemaciclib)の効果は、まだまだ先が見えない(当院では2年半以上継続している人が沢山います)ので期限を切る必要がありません
(副作用は十分許容範囲)

「また、②(妻の主治医が提案してくれているような)CR後にいきなり
ホルモン療法については田澤先生はどのように思いますか?」
⇒CDK4/6阻害剤を併用する方が「標準(厳密には標準治療はありませんが…)」だと思います。

「ベバシズマブとパクリタキセルをお願いしたいと主治医に伝えたところ、「それは後に取っておきたい。」
⇒「後にとっておく」という考え方には私は100%反対です。
 敵は「小さいうち」の方が、「同じ量でも強い効果がある」
 そう思いませんか?

「一回使った薬は二回目はまず効かない」
⇒これが誤りであることは、(私の)経験上間違いありません。

 勿論、使っていて効果がなくなる(病勢が進行)まで使うと、再登場しても効きません。
 しかし、「効いている最中」で辞めれば、再登場で再度効果があります。(何度も経験しています)

「使用済みの薬剤の再登場は効かないとは限らない、という認識で合っていますか?」
⇒上記通り。

「副作用の面も考慮して点滴のものはFEC後に一旦休み、そのとき肝がコントロールされていれば、放射線(第一候補はサイバーナイフ)で見えているものだけでも消し、その後にベージニオで維持しようと、今は考えています。
その選択はどうでしょうか?」

⇒本当に副作用がきつければ、それがベストでしょう。

 ただし、もしも「血管炎」だけの話であれば(可能ならば)bevacizumab +
paclitaxelでcCRにもっていくことが理想です。
 ★ 同じcCRでも「局所療法(放射線)によるcCR]と「全身療法(抗がん剤)によるcCR]では意味合いが異なると思います。(放射線は2度は同じ部位に使えないということも考慮)

「ちなみに江戸川病院でのトモセラピーは、適応になる個数の制限はありますか?」
⇒それは放射線科医に直接聞いてください(放射線科は乳腺外科を通さずに、「直接」窓口があります)

「妻はFEC開始前(多発肝転移が発覚してから)から縮小が確認された今まで一度も基準値を超えず、正常範囲内です。」
⇒それは非常にいいことです。

 同じ画像所見であれば「マーカーが正常」の方が、コントロールしやすいことは実感しています。

「妻の場合は、マーカーは進行具合の指標として機能していないと考えた方がいいのでしょうか?」
⇒その通り。

「それとも、一旦CRしたときの数値を妻の基準と捉えて、そこから例えば4月のときのような数字になってきたら、再発を疑う指標として考えていいのでしょうか?」
⇒CA15-3は病状との相関はありそうです。

質問者様から 【質問5 】

今後の治療についめ
性別:女性
年齢:36歳
病名:多発肝転移
症状:特になし
投稿日:2020年11月17日

お世話になります。
5回目の質問になりますが、よろしくお願いします。

出産後に多発肝転移が発覚し、FEC(エピルビシンのみ75%の量)の治療をしていましたが、先日、予定通り10回を完遂することができました。

そして先日(11月上旬)、CTを撮り、結果を聞きましたが、画像上指摘できる転移はないとのことで、cCR(で合ってますか?)の結果を得ることができました。

とりあえず田澤先生のおっしゃるところの第一目標を達成することができて安心しました。
薬が効いているかどうか不安を感じることはありましたが、ここで勉強したおかげで治療方針で右往左往することはほとんどなく、第一目標達成のためのビジョンを持って治療に向かうことができました。
ありがとうございます。
ですが、まだ全く油断していません。

今後はベージニオ、ファソロデックス、リュープリンの治療で維持していくことになりました。

この治療で長期に維持できるのが理想ですが、最高の結果に期待しつつ、もしもの場合への備えをしておくために、再度質問させてください。

今回質問させていただきたいのは、以下の点です。

① 11月中旬にCTの結果を聞いた際、時期をずらして治療を始めることで副作用が出たときに何が原因かを見ることができるとのことで、その日にファソロデックスの注射を打ちました。

2本目を打ってすぐ、喉が腫れて?気道が狭くなって?一時呼吸困難のような状態になりました(なのでリュープリンは打ってません)。
10~15分ほどでおさまりましたが、アレルギー反応のような感じだと主治医も看護師さんも言っていました。
主治医も初めてで、製薬会社に聞いてみて次回のことを検討するとなっています。

田澤先生はこのようなご経験はありますか?

このことについて何かわかることがありましたら教えてください。

②そもそもファソロデックスは調べてみると、閉経後の薬剤というのがわかりました。
妻は36歳なので当然まだ閉経前ですが、適応外ですか?
でも、調べてはっきりとは未だにしていないのですが、ベージニオと併用することになっているのでしょうか?(勉強不足ですみません)

③今後、マーカーの動きがどのくらいになってきたら、再発を疑って検査をすべきでしょうか?
これまでのマーカーの動きは、
CA15-3
21(4月)→24(5月)→19(6月)→12(7月)→10(8月)→7(9月)→7(10月上旬)→6(10月下旬)?
CEA
0.9(4月)→0.9(5月)→1.3(6月)→1.0(7月)→0.9(8月)→0.9(9月)→0.8(10月上旬)→0.9(10月下旬)

④薬剤が効くと最初はマーカーが上がる人もいる、というのをどこかで見ました(ここで見た?のかもしれません)が、ベージニオは効いてくるまでに3ヶ月くらいかかるというのもどこかで見ました。

今後も当面は毎月マーカーを測定していくのだと思いますが、治療開始後、マーカーが一時的に上がっても3ヶ月くらいに元に戻っていれば、ベージニオで維持できているという認識をして良いのでしょうか?

⑤先程のマーカーの数値は、まだFEC10回目の後の数値は測定していないので、最終的なFEC後の数値はわかっていません。

次回、11月下旬に通院した時のマーカーの数値がFEC10回後の数値、つまり今後の再発を予測していく上で基準となる数値と捉えて良いのでしょうか?それとも、先日打ったファソロデックスの影響で一時的にマーカーが上がっている可能性も考えられるでしょうか?

⑥もしまた再発となったときは、再発の程度や場所等にもよるとは思いますが、次の薬剤はベバシズマブ+パクリタキセルでしょうか?それともエリブリンでしょうか?

以上です。
今回もよろしくお願い致します。

田澤先生から 【回答5】

こんにちは田澤です。

cCRおめでとうございます!
先ずは一旦いろいろ考える前に、そのことを実感してください。
【相撲で例えれば)土俵で(多少なりとも)押し込まれた状況から、立て直して「寧ろ有意」な状況になったということです。(何故、相撲に例える? 今「大相撲しているから?」)
癌を土俵際まで追い詰めたとはいいませんが、ここからは慌てずに「ジワジワ」と
様々な技をかけながら「いつかは、ガンを土俵の外へ追い払えるかもしれない」そのモチベーションが重要です。

「田澤先生はこのようなご経験はありますか? このことについて何かわかることがありましたら教えてください。」
⇒似たようなものはあります。
 アナフィラキシー症状なので、使わない方がいいでしょう。

「②そもそもファソロデックスは調べてみると、閉経後の薬剤というのがわかりました。
妻は36歳なので当然まだ閉経前ですが、適応外ですか?」

⇒化学療法閉経していますよね?
 それであれば問題ないのです。(Fulvestrantは勿論中止で、letrozoleへ変更となると思いますが)

③今後、マーカーの動きがどのくらいになってきたら、再発を疑って検査をすべきでしょうか?」
⇒マーカーが上がるまで待つと(質問者はもともと参考になりにくにから)遅くなるので、最初のうちは3か月に1回のCT(被爆を考えれば肝US)で画像診断しましょう。

「⑥もしまた再発となったときは、再発の程度や場所等にもよるとは思いますが、次の薬剤はベバシズマブ+パクリタキセルでしょうか?それともエリブリンでしょうか?」
⇒迷わず、bevacizumab+paclitaxelをしましょう。

質問者様から 【質問6 】

今後の治療について
性別:女性
年齢:36
病名:乳がん
症状:
投稿日:2021年5月18日

お世話になります。

6回目の質問になりますが、よろしくお願いします。

FECでcCRを得られた後、昨年11月下旬からベージニオ、フェマーラ、リュープリンの治療が続いています。

今回はマーカーについて質問させていただきたいと思っています。

主治医と妻は気にしていませんが、私一人がスッキリできないため、田澤先生の見解をお聞きしたいです。

これまでのマーカーの推移は以下の通りです。

CA15-3
21(2020年4月)→24(5月)→19(6月)→12(7月)→10(8月)→7(9月)→7(10月上旬)→6(10月下旬)→ 6(11月)→ 6(12月)→ 7(2021年1月)→ 8(2月)→ 8(3月)→ 9(4月)→ 10(5月)

CEA
0.9(2020年4月)→0.9(5月)→1.3(6月)→1.0(7月)→0.9(8月)→0.9(9月)→0.8(10月上旬)→0.9(10月下旬)→ 1.0(11月)→ 1.0(12月)→
1.1(2021年1月)→1.2(2月)→1.2(3月)→1.2(4月)→1.4(5月)

変わらずにステイする月もありましたが、今年に入ってから基本1ずつ上昇してきています(ベージニオを始めて半年でCA15-3が4の上昇です)

通常であれば、全く有意な上がり方でないのは承知しておりますが、CA15-3はFECの治療効果を反映して緩やかに低下したことを考えると、病状との相関があり、多発肝転移があった初発のときにも21だったことを考えると、普通の人よりも「1の重みが大きい」のではないかと思っています。
(1の重みが大きいと考えると、4の上昇が安心はできません)

薬剤による肝障害なのか?とも思いましたが、ASTやALTは基準値範囲内で10程度上がったり、元に戻ったりはありますが、上がり続けてはいないのでマーカーに影響しているとも考えにくいかな、と思いました。

解せないのは、CEAはFECの治療効果を全く反映せずにほぼ変わらなかったのに、多発肝転移があったときよりも高くなっていることです。
(下痢による炎症だからでしょうか?下痢はじわじわとひどくなってきたように感じます)

前回、田澤先生にも3ヶ月でCTで確認した方がいいとのアドバイスをいただきましたが、主治医ももともとその考えで、今年の2月にCTを撮ったところ、主治医から「どこに癌があったか、
さらにわからなくなった」とのお言葉をいただきました。

ですので、「次のCTは半年後でいいと思う」と言われています。

画像上大丈夫であれば、大丈夫。
この程度でマーカーの動きがあるとは言えない、と言われるであろうとは思いながらも、気になるので質問させていただきます。

①これからもっと上昇し始めてくるなど、再発の「兆し」である可能性も捨てきれませんか?

②(やや①と重なりますが)再発であれば、マーカーの上がり方が、もっと大きくなるはずですか?

③副作用で腹痛と下痢は毎日複数回ありますが、炎症で両方のマーカーが上がっている可能性もありますか?

④KL-6が、ベージニオを始めてからマーカーと同じように(連動するように)少しずつ上昇しています(まだまだ基準値は超えません)。
ベージニオで肺に炎症が少しずつ起きているから、KL-6も腫瘍マーカーも上昇している、という可能性はあるのでしょうか?

以上です。
長くなりましたが、今回もよろしくお願い致します。

田澤先生から 【回答6】

こんにちは田澤です。

「通常であれば、全く有意な上がり方でないのは承知しております」
⇒その通り、「どう考えても」全く有意な動きではありません。
 ご安心を。

質問者様から 【質問7】

ベージニオ使用中のca15-3について
性別:女性
年齢:38歳
病名:乳がん多発肝転移縮小後
症状:特になし
投稿日:2022年12月7日

お世話になります。
久しぶりの質問ですが、よろしくお願い致します。

妻は初発ステージ4からFECで一応のcCR(完全に跡形もなく、ではなく、はっきりと指摘できるものはなし、けど抜け殻のようなものは残っていた、と後から知りました)となり、

2020年11月からベージニオ、フェマーラ、リュープリンの治療を続け、2年が経過しました。

造影CTは半年ごとに撮影していて、直近は2022年8月に撮り、何も異常はなしでした(肝臓にあった抜け殻も2021年8月ですでに完全になし)。

田澤先生の仰るVisionをもった治療のおかげで、今に至ります。

はっきりと指摘できるものがなくなって2年経ち、そろそろ根治が見え隠れしてくる頃と考えてもよいのだろうか?と思っていたところで、質問したいことが出てきましたので、今回もよろしくお願い致します。

今回もマーカーについてなのですが、ca15-3は、この一年半ほどは、9~11の間でおよそ推移してきています。
ここ3ヶ月は9.5→9.8→12.3です。

もちろん、こちらで長らく勉強させていただいているおかけで、この動きからすぐ再発を疑うようなことはなくなりました。
それでも全く気にしないということはないのですが。

今回お聞きしたいのは、この3ヶ月だけのことでなく、ベージニオを
使っている期間で、じわじわと上がってきている印象なことです。

ベージニオ開始時はca15-3は6だったのですが、このじわじわと上がってきて、今は12になっていることは、分子標的薬を長く使用している影響があるからなのでしょうか?

管理番号10337の方に対しての回答で、「分子標的薬が影響しているよう」とのことでしたが、この方はベージニオを使い始めて間もなくのことであり、私の妻の場合はベージニオを使用して2年かけてのことであるので、同じ状況と考えて良いものなのか分からず、質問させていただきました。

よろしくお願いします。

田澤先生から 【回答7】

こんにちは。田澤です。

今回もマーカーについてなのですが、ca15-3は、この一年半ほどは、9~11の間でおよそ推移してきています。
ここ3ヶ月は9.5→9.8→12.3です。

もちろん、こちらで長らく勉強させていただいているおかけで、この動きからすぐ再発を疑うようなことはなくなりました。
それでも全く気にしないということはないのですが。

今回お聞きしたいのは、この3ヶ月だけのことでなく、ベージニオを使っている期間で、じわじわと上がってきている印象なことです。

ベージニオ開始時はca15-3は6だったのですが、このじわじわと上がってきて、今は12になっていることは、分子標的薬を長く使用している影響があるからなのでしょうか?
⇒この程度の動きは、まず気にしないのが一般的ですが(もし私自身の患者さんなら)指摘も勿論しません。

ただ敢えて理由を推測すると以下の可能性(あくまでも可能性です)となるでしょう。
1.そもそも病状ではなくabemaciclibやletrozole, LH-RHagonistなどの治療による薬剤性の(軽度)肝障害による影響
 ★抗がん剤中に肝機能の予備力低下により腫瘍マーカーが見かけ上上昇することは枚挙にいとまがありません。

2.じわじわと病状が悪化

現時点で上記2を想像する必要は無いと思いますが、もしも今後上昇して20代⇒30代となれば「あー、あれは前兆だったのか!」となります。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/12/15
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