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粘液性ガン

[管理番号:4339]
性別:女性
年齢:42歳
田澤先生
はじめてご質問させて頂きます。
11月中旬 精密検査でガンの疑いがあり針生検を実施
     結果,粘液産生のガンかもしれないが認められず。
12月末  ガンの可能性も否定できないため,細胞診とて該当部分
     を部分摘出(左乳房)。
1月中旬 病理の結果,粘液性ガンと診断。
 
<病理結果>
浸潤性の粘液性ガン(純型) PMBC-Aか-Bなのかは不明。
大きさ38mm(粘液性のエリアとして)
ER陽性(100)、PgR陽性(100)、HER2陰性 で ルミナールA
Ki67 2%(低)
脈管侵襲なし
断端陰性(断端5mm以内に粘液性ガン認められるが,その部分は乳管内
     に留まっている状況より陰性と判断された。)
 
<今後の治療方針>
放射線療法(5週間)およびホルモン療法(5年間)
 ・放射線は腋窩リンパ節にも照射予定
 
<質問内容>
今回,手術時はガンかどうか不明の状況であったため,センチネルリンパ生検は実施していません。
そのため腋窩リンパ節へ転移しているかどうかの病理診断の情報はありません。
その上で上記の治療方針で進めることになってます。
腋窩リンパ節へもし転移していたら,郭清しなくてよいのか不安です。
担当医は仮に転移していたとしても,放射線およびホルモン療法で治療可能と考えているとのことです。
上記の病理診断であれば,再度,センチネルリンパ生検および郭清(転移していた場合)するために手術しなくてもよいと判断されますでしょうか。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
それにしても
なぜ「針生検で診断ができなかったのか?」それらの医師の診断能力の欠如には頭が痛くなります。
「放射線は腋窩リンパ節にも照射予定」
「担当医は仮に転移していたとしても,放射線およびホルモン療法で治療可能」

⇒私は全く賛成しません。
 画像診断及び状況で「リンパ節転移無し」と考えるのであれば「(担当医自らが)責任をもって3カ月毎にエコーすべき」であり(放射線照射で逃げるべきではない) 逆に心配ならば「センチネルリンパ節生検すべき」です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

管理番号:4339
田澤先生
再度のご質問になります。
1.今回の手術では、病巣を切除(超音波の画像をもとに周囲1cmのマー
ジンをとって
 切除部位を決定)、乳房の整容のために切除部位を目立たなくするよ
うに周囲の
 脂肪を寄せてあるそうです。
そもそも、病巣をこのように取り除いた後でも、
 後日センチネルリンパ節はみつけられるものなのでしょうか?
2.センチネルリンパ生検の結果というのは、単にリンパ郭清をするしないの指標に
 用いるだけなのですか?
3.センチネルリンパ生検の陽性陰性で、全身への転移の目安になったり、その後の治療方針
 に影響する事はないのでしょうか?
4.また、このまま主治医の方針で進めるとして、リンパへの転移があった場合、
 今回の腋窩への放射線照射はリンパ郭清と同じ効力があるのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「病巣をこのように取り除いた後でも、 後日センチネルリンパ節はみつけられるものなのでしょうか?」
⇒病変の部位によります。
 上外側に腫瘍の部位がある場合には「腋窩へのリンパ管のルートが断絶」していることが考えられるので困難とはありますが、その他の部位であれば大丈夫であることが予想されます。
「2.センチネルリンパ生検の結果というのは、単にリンパ郭清をするしないの指標に用いるだけなのですか?」
⇒一番は「リンパ節に転移があるかどうかの判定」ですが、「もしも転移が存在した場合」には「転移したリンパ節を摘出する」という意味となります。
「3.センチネルリンパ生検の陽性陰性で、全身への転移の目安になったり、その後の治療方針 に影響する事はないのでしょうか?」
⇒センチネルリンパ節生検に1個転移している位では「全身への治療方針には無関係」ですが、万が一転移が存在していた場合に(追加郭清となった場合には)「複数のリンパ節転移がみつかることがあり、その場合には治療方針に影響を与えます」
 
「4.また、このまま主治医の方針で進めるとして、リンパへの転移があった場合、今回の腋窩への放射線照射はリンパ郭清と同じ効力があるのでしょうか?」
⇒同じではありません。
 基本的に放射線照射は(現にある癌細胞への)「治療」ではなく、「予防」目的なのです。
 ♯再発治療では、例外がありますが…