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粘液癌 トリプルネガティブ

[管理番号:5334]
性別:女性
年齢:30才
お忙しい中、ありがとうございます
先月乳癌とわかり先週温存手術を受けました。
数週間後病理結果が出るため詳しいことはわからないですが、
今のところ針生検で分かった内容は「粘液癌」のようです。
・年齢30歳
・粘液癌
・大きさ14mm×13mm×9mm
・リンパ節転移なし(手術時センチネルリンパ生検実施)
・グレード不明
・ki67 15%
・純型か混合型か 不明
・サブタイプ トリプルネガティブ
とだけわかっています。
お聞きしたい質問内容ですが。
1.「粘液癌」について調べると80%~90%近くの方がホルモン陽性でルミナールAかB。
他10%~20%程の方がHer2陽性と書かれており、トリプルネガティブの症例が一向にでてきません。
実際に今まで先生の患者さんで「粘液癌+トリプルネガティブ」のような方はいらっしゃったでしょうか?
2.ki67が低く「大人しい粘液癌」というのは理解でき、嬉しいことなのですが、おおよそ抗がん剤の効き目(上乗せ効果)はどの程度あるのでしょうか?
主治医に聞いたところ「効かないかもしれません、病理結果次第では抗がん剤使用も検討の余地が・・」という曖昧な答えでした。
田澤先生ならどのような処方をしていただけますか?
4.針生検と術後の病理結果とで、サブタイプが変わる(間違ってた)という事はどのくらいの割合であるのでしょうか?(特に粘液癌の場合)
(ki67は「さほど誤差は出ない」とQ&Aで拝見いたしました)
5.もしも
「純型+グレード1+抗がん剤未使用」と「純型+グレード1+抗がん剤使用」の場合の10年再発率と生存率を教えていただけないでしょうか。
6.「粘液癌は乳癌全体の5%で高齢の方が多い。
トリプルネガティブ
(乳がんの10%~20%)なのにki67も高くない」と、ことごとく一般の症例とあてはまらな過ぎて少し怖いのですが、私のような患者はやはり極少数ですか?このような患者には何か特殊な法則や兆候とかが過去にありましたか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
典型的な粘液癌は大人しいものが多いですが、(このメールを読むと)質問者が過剰に「組織型にこだわりすぎている」ようです。
物事はシンプルに考えましょう。
(病変全体の結果は出ていませんが、現時点の評価では)T1N0,StageⅠ
 早期であり(トリプルネガティブだから)化学療法が必要、そういうことです。(トリプルネガティブでも化学療法が不要なのは腺様嚢胞癌やある種の管状癌やアポクリン癌だけと考えるといいでしょう)
☆結果として抗癌剤が推奨となりますが、(抗癌剤をすれば、もしくは抗癌剤をしなくても)予後良好なのだから(リスクを回避するという意味で)化学療法をすべきです。
「1.「粘液癌」について調べると80%~90%近くの方がホルモン陽性」「「粘液癌+トリプルネガティブ」のような方はいらっしゃったでしょうか?」
⇒当然いらっしゃいました。
 私の症例数がどれくらいがか御存知ですか?(「比較的珍しい程度」で私自身が経験していない症例はないでしょう)
「2.ki67が低く「大人しい粘液癌」というのは理解でき、嬉しいことなのですが、おおよそ抗がん剤の効き目(上乗せ効果)はどの程度あるのでしょうか?」
⇒それは解りません。
 ただ、「そもそも早期」だから「上乗せはそれ程ない」と想像します。(1桁だとは思います。)
 ♯Ki67と上乗せの関係など(関係はありそうだな程度で)しっかりしたデータなど存在しません。
「田澤先生ならどのような処方をしていただけますか?」
⇒冒頭でコメントした通り・
 化学療法すべきです。(TC)
「4.針生検と術後の病理結果とで、サブタイプが変わる(間違ってた)という事はどのくらいの割合であるのでしょうか?(特に粘液癌の場合)」
⇒殆どありません。
 少なくとも「ER, PgRは殆ど変わらない」ことは確かです。
 ただ、HER2は(意外と)相違があることに最近気づいています。
  ♯上記は全て「他院」で針生検⇒「当院」で手術なので、(正直)「針生検の精度や検体処理の問題では?」と疑っています。(無論、確認しようがありませんが…)
「純型+グレード1+抗がん剤未使用」と「純型+グレード1+抗がん剤使用」の場合の10年再発率と生存率を教えていただけないでしょうか。」
⇒組織型のデータなど存在しません。
 浸潤径も不明なのだから、「手術病理が出るのを待つべき」でしょう。
「私のような患者はやはり極少数ですか?このような患者には何か特殊な法則や兆候とかが過去にありましたか?」
⇒ありません。
 考え過ぎです。
 物事はシンプルに考えましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

粘液癌 トリプルネガティブ
性別:女性
年齢:30歳
先日はお忙しい中ご回答ありがとうございました。
病理結果が出ました
・粘液癌
・浸潤経 20mm×17mm×14mm
・ly0 v0
・グレード2
・ki67 25%
・ER陽性 PgR陽性 HER2陰性  ルミナールB
とのことで、針生検とは違うサブタイプの結果が出ました。
今回お聞きしたい質問内容ですが。
1.針生検でトリプルネガティブと診断されているわけですが、最終的には病理結果のER陽性 PgR陽性 HER2陰性が正しいと考えてよいのでしょうか?
(診断が色々変わって、本当に陽性なのか・・・不安です)
2.今後の内分泌療法は「タモキシフェン5~10年+LH-RHアナログ2~3年」と言われたのですが、ki67が25%でルミナールBと記載してあったので、この場合抗がん剤は受けなくて大丈夫なのでしょうか?
3.純型か混合型かは記載されてないのですが、病理診断書に「浸潤部より乳頭側には、微小乳頭型の非浸潤性乳頭癌を認める」と記載してあったので、混合型という認識でよいのでしょうか?
4.診断結果から、治療を受けた場合と無治療だった場合の10年後の再発率と生存率を教えていただけないでしょうか?
5.放射線治療を受け終わった後の定期検診は何をどのくらいの頻度で受けたほうが良いのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「1.針生検でトリプルネガティブと診断されているわけですが、最終的には病理結果のER陽性 PgR陽性 HER2陰性が正しいと考えてよいのでしょうか?」
⇒そのようです。
 針生検の組織固定が悪かった(免疫染色の活性低下)としか考えられません。
「ki67が25%でルミナールBと記載してあったので、この場合抗がん剤は受けなくて大丈夫なのでしょうか?」
⇒そもそも「Ki67=25%をルミナールB」とする事自体が誤りです。(実際はグレーゾーンですが、Aよりです)
 本当に疑問ならOncotypeDXすべきです。
「混合型という認識でよいのでしょうか?」
⇒そのようですね。
 組織型を気にするのはお勧めしません(全く無意味)
「4.診断結果から、治療を受けた場合と無治療だった場合の10年後の再発率と生存率を教えていただけないでしょうか?」
⇒OncotypeDXしていないので、(あくまでも、ザックリですが…)
 再発率は14%程度、生存率は94%くらいです。
「5.放射線治療を受け終わった後の定期検診は何をどのくらいの頻度で受けたほうが良いのでしょうか?」
⇒ホルモン療法で3カ月に1回の通院しているわけですから…
 毎回(3カ月に1回)診察、超音波
 2回に1回(半年に1回)採血マーカー
 4回に1回(1年に1回)マンモグラフィー