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胸のしこり

[管理番号:2068]
性別:女性
年齢:51歳
先日、左胸の右上部にしこりを見つけ、生理直前で痛みもあったので、乳腺外科を受診し、マンモグラフィー、エコー、細胞診を受けました。
マンモとエコーの映像を見せていただきましたが、エコーでは横長楕円のはっきりとしたものが写っていました(マンモの映像は理解できませんでした)。
大きさは1.2cmということです。
乳がん検診は2年ごとにマンモを受けており、今年も3月末に受けましたが、結果は異状なしでした。
医師からは9か月ほどでこの大きさになった
こともあり、悪性の可能性は50%ぐらいといわれました(映像だけでは30%ぐらいかなといわれました)。
また、細胞診で中身を吸ったためか、その場所にあったしこりはなくなり、新たにその場所から1.5cmほど乳頭よりの乳輪の端ぐらいに記憶にはない5㎜ぐらいのしこりを見つけました。
このような場合、どのような可能性が考えられますか。
また、悪性の場合は治療方法はどのような選択肢がありますか。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「エコーでは横長楕円のはっきりとしたもの」「大きさは1.2cm」「9か月ほどでこの大きさになったこともあり、悪性の可能性は50%ぐらい」
⇒年齢を考えても気になります。
 「癌でない」としても「葉状腫瘍」も考えなくてはなりません。
 
「細胞診で中身を吸ったためか、その場所にあったしこりはなくなり、新たにその場所から1.5cmほど乳頭よりの乳輪の端ぐらいに記憶にはない5㎜ぐらいのしこりを見つけました。このような場合、どのような可能性が考えられますか」
⇒本当に「しこりが無くなる(もしくは、小さくなる)」のであれば「液体が関係=
嚢胞内腫瘍」の可能性があります。
 
「また、悪性の場合は治療方法はどのような選択肢がありますか」
⇒まずは「手術」です。
 術後の治療は、「腫瘍の性質=サブタイプ」によって決まります。
 
◎サブタイプとは?
組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
・エストロゲンレセプターの発現(ER)
・プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
・HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
⇒これらの組み合わせで
●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
 ♯luminalA(Ki67低値)ではホルモン療法単独を、luminalB(Ki67高値)には(ホルモン療法に加え)化学療法も行う事が多い
●HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常の抗癌剤の組み合わせを行う
●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行う
●トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
 ※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

前回はていねいにお答えいただきありがとうございました。
おかげ様で検査結果を聞きに行くまでに自分の考えをまとめることができました。
今回は、細胞診の結果をふまえたうえで、私の考えと医師のお考えが違うので、あらためて田澤先生のお考えをお聞きしたく、再度よろしくお願いします。
前回、自分でしこりを見つけて受診し、マンモ、エコー、細胞診を受けました。
細胞診は1.2cmのしこり一つから2つの検体を取り出したようです。
1つ目の細胞診所見は以下の通りです。
円柱上皮細胞1+、赤血球3+、白血球±、紡錘形細胞1+、その他は
すべて-
「標本は血液成分が多く厚層塗抹で観察が困難です。
裸核細胞を認めます。
導管円柱上皮細胞を認めます。
この標本上には悪性が疑われる異型細胞は認めません。
不充分な判断となります。
臨床所見照合の上再検査してください。」
2つ目の所見は以下の通りです。
円柱上皮細胞±、赤血球2+、白血球±、その他はすべて-
「導管円柱上皮細胞は少数です。
この標本上には悪性が疑われる異型細胞は認めません。
出現細胞少数のため、不充分な判断となります。」
上記の結果でした。
私は結果を聞く前から摘出生検を決めていましたので、その旨を医師に伝えましたが、
『嚢胞を持っている方は多く、多数個持っておられる方もいる。その都度摘出していたら乳房全摘ということにもなる。』
というお話しで、
今回の結果から、3か月後のマンモ、エコーで経過を見るといわれました。
細胞診の結果の精度から摘出生検を希望したのですが、経過観察といわれ不安です。
今の段階で他に意味のある検査はありますでしょうか?
それとも3か月後のマンモ、エコーでの経過観察でよいのでしょうか?
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「不充分な判断となります。臨床所見照合の上再検査してください」「出現細胞少数のため、不充分な判断となります」
⇒この結果をもってして(検査前の)「悪性の可能性も50%ある」とのコメントとの整合性がありません。
 「細胞診で不十分な結果(検体不適性)」なのだから、(悪性の可能性が50%あるなら)次なる検査をすべきです。
「細胞診の結果の精度から摘出生検を希望したのですが、経過観察といわれ不安です。」
⇒質問者が正しいと思います。
 「摘出生検すべき」と思います。
 
「今の段階で他に意味のある検査はありますでしょうか?それとも3か月後のマンモ、エコーでの経過観察でよいのでしょうか?」
⇒「嚢胞内腫瘍」なのであれば、「摘出」すべきだし、(そうでないなら)針生検すべきです。