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Micropapillary pattern

[管理番号:6075]
性別:女性
年齢:44歳
12月(中旬)日、乳癌(粘液癌)告知。
1月(下旬)日に左乳腺全摘出手術を行いました。
(乳頭乳輪温存)
転移なし、ステージ2b
術後、1回目の診察時の病理検査結果では、リンパ管侵襲(+)となっているが、Ki67が20%なのでホルモン療法のみで治療をやっていくとのことでした。
腫瘍部のPURE or MIXは、その時点ではまだ出ていなかったのですが、MIXでもホルモン療法でとのことでした。
しかしながら、2度目の診察時に腫瘍部の追加病理結果にて、
micropapillary patternを認めたため、抗がん剤治療を先にやることを勧めると主治医に言われました。
抗がん剤のやるやらないは、次回(3月(上旬)日)の外来時までに考えて来てくださいとのことでした。
抗がん剤を使うことで健康な細胞にも悪影響があるので、抗がん剤治療が不安で仕方ありません。
病理検査の結果は下記内容です。
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ER(+) 80% proportion score 4 + intensity score 3 = 7 PgR(+)80% proportion score 4 + intensity score 3 = 7
HER2 score 0
Ki67 index 20%
腫瘍径:浸潤部 3.3 X 3.8 X 2.5cm pT2
乳管内進展含む癌部 3.3 X 4.5 X 2.5cm
組織分類 mucinous carcinoma 波及度 gf
リンパ管侵襲 ly(+) 静脈侵襲v(-) 断端(-) SNB(0/2)
癌部にリンパ管侵襲があり、粘液pool内にmicroapillary patternを認め, 胞巣の外側縁に線状の陽性を示し
腺管内腔面には、陰性のpseudoacinar formationの像を認めました。
WHO分類上では粘液の多い TypeA のpure typeのmucinous
carcinoma に分類されるが、
文献的にmicropapillary variantのmucinous carcioma、
mucinous carcinoma with micropapillary patternといった
概念があり
リンパ管侵襲やリンパ節転移を来たしやすいとされている。
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質問1)
micropapillary patternとは、微小乳頭がんのことなのですか?
私の腫瘍は、粘液癌と微小乳頭癌のMIXということでしょうか?
micropapillary patternのため、体にはまだ見えない癌細胞が散っているかもしれないといわれました。
質問2)
病理検査の結果、田澤先生の見解も抗がん剤治療(タキサン系とアンスラサイクリン系を四回ずつ3週間おき)を必要としますか?勧めますか?
質問3)
リンパ管侵襲+micropapillary patternの場合、ホルモン療法(タモキシフェン+リュープリン)のみでは再発や転移の確率が高くなるのでしょうか?
質問4)
抗がん剤をやる場合は、6月頃からと考えてもおりますが、もっと早く始めたほうが良いのでしょうか?
術後なのでそれほど急がなくても大丈夫ですか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
「○○しやすい」みたいな言葉に踊らされずに「サブタイプに応じた術後療法」を行うべきです。
「質問1)micropapillary patternとは、微小乳頭がんのことなのですか?」
⇒違います。
 あくまでも「微小乳頭状配列を認める」というだけの話です。
「私の腫瘍は、粘液癌と微小乳頭癌のMIXということでしょうか?」
⇒これも違います。
 病理レポートの『粘液の多い TypeA のpure typeのmucinous carcinoma に分類される』と記載があります。
 これは「純粋型の粘液癌」という意味ですよ。
「micropapillary patternのため、体にはまだ見えない癌細胞が散っているかもしれないといわれました。」
⇒何を根拠に??
 不要な心配をしないように気を付けましょう。
「質問2)病理検査の結果、田澤先生の見解も抗がん剤治療(タキサン系とアンスラサイクリン系を四回ずつ3週間おき)を必要としますか?勧めますか?」
⇒ルミナールAだから…
 ホルモン療法単独です。
「質問3)リンパ管侵襲+micropapillary patternの場合、ホルモン療法(タモキシフェン+リュープリン)のみでは再発や転移の確率が高くなるのでしょうか?」
⇒違います。
 ルミナールAでは「化学療法による上乗せ」は小さく、「ホルモン療法単独で再発リスクは低い」と思います。
 どうしても心配ならば、OncotypeDXしましょう。
「質問4)抗がん剤をやる場合は、6月頃からと考えてもおりますが、もっと早く始めたほうが良いのでしょうか?」
⇒(私なら)抗癌剤自体勧めないので、このQには回答できません。