[管理番号:1052]
性別:女性
年齢:23歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
マンモトーム生検の結果、良性の乳腺症と診断されました。
また、摘出についてですが主治医の先生にお話ししたところ、今はまだ悪性の可能性は低いので、手術のリスクを考えると、経過観察で大丈夫だと思う(望むなら摘出も可能)とのことでした。
結果の報告書をいただきました。
【針生検】
臨床経過及び所見
FAないしMPなど、なにか増殖性病変を考えます。悪性除外の為CNB
1.右乳腺生検
Indeterminate.Atypical intradactal epithelial proliferation(AIDEP).CNB.
所見
判定区分 鑑別困難
推定組織型 ADH. DCIS(cribriform type)
所見 篩状構造を示す異型上皮増殖性病変が見られます。
【マンモトーム生検】
臨床経過及び所見
右乳房腫瘤
CNBでADHだったので、US-MMTで検査しました。
画像上はFAやduct papilloma tosisなどを考える所見ですが、悪性も否定しきれません。
1右乳腺生検(吸引生検)
Normal or benign.See description. US-VAB.
所見
判定区分 検体適正 良性
推定組織型 不明
所見 Ductal hyperplasia
Apocrine hyperplasia
これは、リスク病変なのでしょうか?
よく分からない言葉ばかりで、、、
診断結果の解説をして頂けたらと思います。
長々とすみませんが、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
これから私が「私の解釈」をコメントしますが、質問者が「私と担当医のどちらを信じるのか」は当然お任せします。
なぜ、「このような前置き」をわざわざ記載しているのかというと、「過去に、私が回答した内容」について批判された経験からです。
私は「報酬を受け取っている訳」でもないし、「非常識なことを言って、質問者を脅かして喜ぶような非常識な人間」ではありません。
純粋に「乳腺外科医」として「間違っている(と私が思っている)診療を見過ごせない」だけです。
ご本人が「担当医を信頼している」のであれば、それはご本人の選択の自由であることを付けくわえさせてもらいます。
●まず私が見過ごせない内容
1.右乳腺生検
Indeterminate.Atypical intradactal epithelial proliferation(AIDEP).CNB.
所見
判定区分 鑑別困難
推定組織型 ADH. DCIS(cribriform type)
所見 篩状構造を示す異型上皮増殖性病変が見られます
正直、この内容には驚きました。
前回の「質問」では「針生検で異型細胞が見つかり」という表現でした。
私は、てっきり「もっと、軽い所見」を思い浮かべていました。
この「針生検の所見」では『摘出生検の絶対的適応』があります。
私であれば、『一瞬の迷いも無く』摘出します。
「篩状構造を示す異型上皮増殖性病変」:これは「線維腺腫や乳腺症などの純粋な良性病変」では決して「ありえない所見」です。
推定病変が「ADH. DCIS(cribriform type)」となるのも頷けます。
♯ADH:atypical ductal hyperplasia(異型乳管過形成)は「小範囲なだけの(実態は)癌」です。
トップページの「ADH」や「ADHと鑑別困難」を参照してください。
DCIS(cribriform type):ductal carcinoma in situ 非浸潤癌の「篩状タイプ」です。
非浸潤癌は「癌細胞が乳管内に留まった状態」であり、「篩状」とは「癌細胞が乳管内に増殖している様子を表して」います。
★この所見と「マンモトーム生検での所見:Ductal hyperplasia, Apocrine hyperplasia」があまりにも乖離します。
(担当医に失礼を承知で解釈すると)「マンモトーム生検で病変部の中心部を外している」となります。
最後に
間違いの無い事実は『針生検の所見(明らかに癌が疑うべき所見)とマンモトームの所見(全く異型がない)に大きな乖離が存在する』ことです。
これの解釈なのですが…
①(担当医に失礼ですが)マンモトーム生検で病変(の中心部)を外している
②腫瘍自体は良性病変(乳腺症)だが、(たまたま)「針生検が当った部位だけ」に癌(もしくは前癌病変)が存在していた
この2つしかあり得ない事になります(検体の取り違いは除外します)
★私は①を危惧して、敢えて(ご本人に不安を与える事になることは承知の上で)「リスクがある」とコメントしました。
(質問者の)御家族から「診察もしないで、不安にするようなことを言いやがって」みたいな批判をされるかもしれない事は承知の上です。
「自分の身を守るのは自分しかない」のです。
私が「専門家としてコメントできる」のはここまでです。