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エコー下マンモトーム生検、結果待ちです。

[管理番号:3930]
性別:女性
年齢:48歳
初めまして。
出産経験のない主婦です。
乳腺症?乳ガン?と自分の症状と同じものはないか…乳腺・乳ガンサイトを廻り、こちらへ辿り着きました。
田澤先生の経験豊富な的
確なアドバイスQ&Aを見ながら、
私も少しは希望持てるのかな?な気持ちになれました。
私も少し質問させて下さい。
48年、ガン検診は受けておらず月1のセルフチェックのみでした。
硬いしこりを感じた事はありませんでした。
1年半くらい前から右胸にだけチクチクとした痛みを感じてはいましたが、それほど気にしていませんでした。
ガンは痛みがないものと浅い知識ですが信じていたので。
今年の春くらいになり、右胸の外側の表面(皮膚)がボコボコしているのに気付きました。
痛みも前より強くなったように思い、不安になりました。
それでも乳腺症にある症状だと信じたい思いで…ですが10月に入り不安は増す一方でモヤモヤする日々で、たまらず、どうであれスッキリした方がいいと覚悟を決め診察を受けに勤務地のある市民病院の乳腺外科を受診しました。
診察前にマンモと超音波の検査を受け診察を待ちました。
飛び込みだったので予約患者さんが終わるまで長い緊張感を味わいながら待ち、いざ診察。
触診をし画像を見ながら説明をして下さいました。
超音波で左右を見比べて欲しいと言われ、左は脂肪も乳腺も綺麗に映っており膿疱が1個ありましたが問題なしとの事。
比べて右は乳腺があるべき場所が黒くモワっとしていて『この辺に悪いものがありそうです。』と。
診断結果として〈右胸に腫瘤が認められ悪性が疑われます〉との事でエコー下でのマンモトーム生検を受ける事になり、先日受けて来ました。
10日後の結果待ちです。
初診の際に主治医より『何か聞きたい事はありますか?』と聞かれましたが動揺で何を聞いて良いのかも分からず、これが悪性だとした場合、どれくらいの状態ですか?と聞くのが精一杯でした。
超音波画像を確認しながら、1番大きな所で3センチくらいなので2aです。
との回答でした。
長くなってしまいましたが質問です。
①マンモトーム生検の結果でどこまでの内容が分かるのでしょうか?こちらのQ&Aでよく出てくるルミナールABやki67?と言ったものも分かりますか?それともそれらは手術で取り除いたものからしか分からないのでしょうか?
マンモトーム生検でどこまで分かるのか教えて下さい。
その際、私から主治医にどんな事を確認しておくべきでしょうか?
②手術となった場合、全摘を希望すると思います。
長年、当たり前にあった物がなくなるのは怖いですし悲しい事ですが、私にとっては温存し取り残しがあるかも不安と再発・転移を心配して過ごす事。
抗がん剤の副作用で苦しい思いをする事の方が気が滅入ります。
今と変わらず仕事をし家事をしの生活を望みます。
ですが全摘をしても抗がん剤をしなくてはいけない場合もガンの種類や性質によってはあるのでしょうか?教えて下さい。
ご多忙な中、似たような質問が過去にありましたらすみません。
過去を遡って読んではおりますが、
結果が出る前に先生のご意見を頂きたいと思いまして質問させて頂きました。
どうぞ宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
癌の可能性が高いとの事、お気持ちお察しします。
痛みとは無関係ですが、やはり定期検診を受けずに「自己検診のみだと、(自分の体の事とはいえ)異常に気付きにくい」ようですね。
「①マンモトーム生検の結果でどこまでの内容が分かるのでしょうか?こちらのQ&Aでよく出てくるルミナールABやki67?と言ったものも分かりますか?それともそれらは手術で取り除いたものからしか分からないのでしょうか?」
⇒マンモトーム生検で解る事は
 1.組織型、核グレードなど
 2.ER, PgR, HER2
 
 ♯Ki67は、そもそも「病変全体で評価すべきもの」なので、(マンモトーム生検などで調べる医師もいますが)『手術標本で測定するべき』です。
  また「最大浸潤径」や「リンパ節転移の有無(個数)」も手術標本でしか確定しません。
 よって、ルミナールタイプかどうかは解りますが「Aなのか、Bなのか」は(Ki67が必要なので)「手術後」でないと解りません。
「②手術となった場合、全摘を希望」「全摘をしても抗がん剤をしなくてはいけない場合もガンの種類や性質によってはあるのでしょうか?教えて下さい。」
⇒質問者は完全に勘違いしています。
 ○治療は「局所療法」と「全身療法」に完全に分けてください。
 局所療法:「A.乳房温存+放射線」もしくは「B.乳房全摘」
 全身療法:「ホルモン療法」「抗ガン剤」「分子標的薬」♯全身療法はサブタイプ(ER, PgR, HER2, Ki67)で決まります。
 ここで『局所療法としてAを選択してもBを選択しても(サブタイプによって決まる)全身療法の選択とは無関係』なのです。
 ♯つまり(局所療法として)「全摘を選択」しても(仮に温存を選択しても)
      ルミナールAならば ホルモン療法単独
      ルミナールB(HER2陰性)ならば ホルモン療法+抗癌剤
      ルミナールB(HER2陽性)ならば ホルモン療法+抗癌剤+ハーセプチン
      トリプルネガティブならば 抗癌剤
 上記を行うのです。
 
     
 
 

 

質問者様から 【質問2】

以前「エコー下マンモトーム生検結果待ちです」で質問させて頂きました。
その節は、解りやすく説明して頂き、ありがとうございました。
その後、悪性と分かりすぐにでもお礼を兼ねて再質問をしたい所でしたが…制限のあるコーナーですので過去のQ&Aを読み返す事にして術後の結果が出たら再度、質問させて頂こうと…この日を待っておりました。
病理診断にて迷う所があり、先生のご意見を聞かせて頂けますでしょうか。
12月、浸潤性乳管癌で全摘+センチネル生検にてリンパ節郭清しました。
[術後病理診断]
癌の大きさ3、9cm T2
リンパ節転移16個中5個 N2
遠隔転移 M0
脈管侵襲 ly2 v1
核異型度 1
ER 陽性、PgR 陽性、HER2 陰性
ki67は術前では20~30%
(↑に関しては手術病変では調べていないとの事でした。
理由は切除してすぐ・1日経過後・更に数日後と調べる段階でも数値が変わってしまう?ので、ホルマリン?の保存状況でも変わり正確な数値とは言えないから参考までにしか見ていない、術前と同じ病変だから…との説明)
私としては、こちらのQ&Aで術後の病理診断で補助療法は判断するもの。
何よりki67の%でルミナールタイプが確定される!と思っていたので、術前の%でルミナールAと判断して良いものか?
主治医からの補助療法としては放射線とホルモン療法は必須とし、
抗がん剤は本人の判断に委ねるとの事。
抗がん剤も一応勧める理由としては、リンパ節転移が4個以上だった事と、強いてあげるならly2である事で抗がん剤を+するのもありです。
との説明でした。
私個人としては、抗がん剤は出来るならやりたくありません。
辛い副作用に耐えてまで数%しか上がらない生存率を取ろうと思えないず。
抗がん剤を上乗せしたら再発しないなら覚悟して耐えますが、
抗がん剤をしたら再発しない訳で
はないのだから…と思ってしまうと言うか、単純に抗がん剤に対して辛いイメージしかないからですが…
でも、私が唯一の判断材料としていた手術病変でのki67が分からない事で、ルミナールAで抗がん剤の上乗せ効果がないと判断して良いのか?
先生でしたら、どう判断されますか? 抗がん剤を勧めますか?やはりki67の数値がないと…でしょうか?
ここで勉強しているつもりです
が、いざ判断!となると分からなくなります。
宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
(術前針生検の標本でKi67を調べて)手術標本でKi67を調べない施設が意外に多い事は、このQandAで回答している中で気づいていました。
理由は質問者の担当医が言っている様な(要は、標本の扱いが雑だから染色ムラがでて値が不正確になるとのコメントです)理由だったり、「術前にサブタイプを決めたい」という欲求から術前針生検でKi67を調べてしまうと、手術標本で再度調べた際に「サブタイプの変更が起こる可能性」が出てしまうため、(その説明をするのも厄介なので)術前だけで済ましているようです。
「私が唯一の判断材料としていた手術病変でのki67が分からない事で、ルミナールAで抗がん剤の上乗せ効果がないと判断して良いのか?」「先生でしたら、どう判断されますか? 抗がん剤を勧めますか?やはりki67の数値がないと…でしょうか?」
⇒私は決して「術前針生検の標本でのKi67」ではサブタイプを決めません。
 それでは、このケースではどうするか?
 それはOncotypeDXしかないでしょう。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

前回の質問から日を空けずの投稿になり貴重な一枠を使わせて頂き申し訳ありません。
治療や仕事継続などの決断が迫られており再度となる事、お詫びします。
先生の回答に少し残念な気持ちでした。
術前診断ではT2N0M0と、明らかなリンパ節転移は認められないとの事で2Aでしたので進行ガンではあっても、まだ早期の部類だと思って良いのか、ホルモン90%陽性でホルモン療法のみでいけるのかな…の期待で手術に挑みました。
本当は、先生に手術をお願いした
いと思い、ここで勉強させて頂いていましたが手術は数ヶ月待ちとの回答もあった事で、
乳癌は何より手術!と思い、早くに手術を受けられる地元を選びました。
勿論、全ての病院で手術標本でのサブタイプ診断をされるものと信じていましたので…
ですが術後診断では、ki67の数値が分からず困惑状態で。
まさかのリンパ節転移5個だった事。
それにより放射線治療が必須になった事、更に抗がん剤治療までもが選択肢に挙がって来た事で動揺しかありませんでした。
なので、そんな事あるのか?と、先生に縋る思いで質問させて頂きました。
ですが…『オンコタイプをしかないでしょう』のお答えに
これからの治療費も掛かっていく上、抗がん剤も選択したら今の仕事を継続することは無理ですので無収入になります。
とても保険の利かないオンコなどする余裕のない者は、どうしたら良いのでしょう。
手術標本でki67が分からない者は、どうしたら…
前回お知らせした病理診断だけで放射線+ホルモン療法のみ選択する事は危険なのでしょうか?完治は望めないのでしょうか?
私がこちらのQ&Aを拝見するようになった昨年10月以降では、『浸潤径やリンパ節転移
に関わらずルミナールAでは抗がん剤の上乗せ効果はなし』との回答に記憶しておりました
が、3Aとなった事で3Aの方々の質問を読み返してみたら、『ルミナールAでもリンパ節転移4個以上では抗がん剤適用です』の回答があり、混乱状態で、どう判断したら良いのか分からなくなりました。
勉強してるつもりで自分のいい様に解釈しているだけかも知れないと余計に分からなくなってしまいました。
リンパ節転移5個、ly2である事は、NG1であっても悪性度はかなり高いと認識すべきなのでしょうか?
放射線+ホルモン療法のみの場合と、抗がん剤上乗せをした場合とでは、どれくらいの違い(生存率、再発率)が出るのでしょうか?
私の場合、先生でしたら迷うことなく抗がん剤上乗せを提示されますか?
すみません。
動揺して何をどう解釈していけば良いのか、いっぱいいっぱいになっていて…
先生の患者でもないのに都合の良い事ばかりお尋ねして申し訳ありませんが、どうぞお導きをお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
治療方針に「絶対のガイドライン」などありません。
ご本人が混同されているのが、「ルミナールAには(リンパ節転移の個数に関係なく)抗癌剤によるbenefitがない(SABCS 2015)」と、「ルミナールAでもリンパ節転移4個以上なら化学療法は必要(St.Gallen 2015)」のことを言っていますよね?
確かに解釈は難しい。
我々乳腺外科医はSt. Gallenが開催されてから、その方針に強く影響されてきました。しかし、あくまでも「提言」であって「絶対的なガイドライン」ではありません。
SABCSでのデータがでたり、実際にOncotypeDXで「リンパ節転移4個以上でも、low
riskには化学療法によるbenefitがない」様子をみてしまうと、私の中の基準も変化するのです。
ただ、Ki67だけでluminalAと判断することには「一抹の危うさ」があります。
だから、「リンパ節転移4個以上」の場合には、「ある程度の確実性」が欲しいのは事実です。
解り難いなら以下に例を出します。
①リンパ節転移無なら…
 Ki67が20-30ならば、「実際にOncotypeDXをすればlow~intermediate riskとなる可能性=luminal Aである可能性が高い」という、「ある程度アバウトな感覚」
で「化学療法は不要」と方針もだせますが…
これが②リンパ節転移4個以上となると…
 やはり、St.Gallen(2015)の提言も頭をよぎるので、①のように「ある程度アバウトな感覚」は許されなくなります。
 その意味では「もしもKi67単独での判断ならば、20以下」、それ以上なら「OncotypeDX」の力を借りたくなるのです。
これでお解りになりましたか?
○結論として、やはり質問者に対して私が(術後のKi67 の値もなく、OncotypeDXの結果もないのに)「化学療法は不要です」とコメントすることは無責任に感じるのです。