Ｑ．貧乳でもマンモグラフィーを受けられるか？痛いのか？　乳癌検診は何歳から受けたらいいのか？

［管理番号:11］
性別：女性
年齢：23歳
私はいわゆる貧乳なのですが、マンモグラフィーは普通に受けられますか？
また、マンモグラフィーは痛いと聞くのですが、どれくらいの時間がかかり、どの程度の痛さですか？
それから、今は健康なのですが、何歳ぐらいから乳癌検診を受けたらいいのでしょうか？
よろしくお願いいたします。

Ａ．回答

こんにちは。
田澤です。
ご質問ありがとうございます。
日常診療で大変良く聞かれる質問であり、多くの方が知りたいと思っている内容です。
それでは、「マンモグラフィーの実際」と「乳癌の罹患年齢」について説明し、最後に「回答」いたします。
※回答だけみていただいても結構ですが、時間の余裕のある時には是非、「マンモグラフィーの実際」と「乳癌の罹患年齢」についても御一読ください。

マンモグラフィーの実際

［撮影］
・放射線技師さんが片方ずつ乳房を引っ張り圧迫板で挟み、レントゲン撮影します。
・左右それぞれで方向を変えて（斜めと横）2枚ずつ、計4枚撮影します。
・1枚の撮影あたり、10秒程度の圧迫を行い、4枚全て撮影するのに慣れた技師さんなら5～6分で終了します。
［痛み］
・圧迫板で挟まれている10秒間に痛みを感じるのですが、（無論個人差がありますが）一般に乳腺が小さい場合、引っ張り出し圧迫固定する際に、より強い力を必要とするので痛みが強い傾向があります。
［禁忌］
・妊娠中は他のレントゲン検査同様、禁忌となります。疾患によっては、その緊急性を優先し「腰にプロテクターをあてて、放射線遮蔽を行いつつ」行うこともありますがマンモグラフィーに緊急性はあり得ません。
※授乳中は乳腺濃度が上昇し、撮影条件が悪く（診断能が低下する）なりますが、禁忌ではありません。
［被曝］
・マンモグラフィーの被爆線量は0.1mSv/回程度であり、これは自然放射線（食品や大気、大地や宇宙船からの放射線）の1カ月分にもならず、100回施行してもCT検査1回分にもなりません。

乳癌の罹患年齢（乳癌と診断される年齢）

2010年の日本のデータから見ますと、一年間で乳癌と診断された76041人に占める割合は
・29歳以下（0～29歳まで） 0.4%
・30歳代（30～39歳）　　　5%
・40歳代（40～49歳）　　　18%
このデータを見ると、20歳代までは非常に少ないことがわかります。30歳代から増え始め、40歳代で一気にピークを迎えます。
※　データの詳細は「乳癌プラザ」の「乳癌の現状」に載せています。

回答

「貧乳でもマンモグラフィーは受けられるか？」
⇒受けられます。
小さくて撮影できないということはありません。　実際、「女性化乳房」といって男性でも撮影することがあります。
「どの位、時間がかかり、どの程度の痛さなのか？」
⇒（時間にかんして）10秒程度の圧迫を左右2方向ずつ、計4回行いますので、圧迫されている時間は計40秒程度となります。姿勢変換なども含め検査終了までは5分程度です。（放射線技師さんの技量で多少の差はあります）
⇒（痛みの程度にかんして）「痛みの種類」としては、たとえば採血検査で注射針を入れられると「鋭い痛み」がありますが、それとは異なり「ジワーっと圧迫される痛み」です。「痛みの程度」にかんしては個人差が大変大きくて何ともいえませんが「我慢できる程度」と考えて差し支えないでしょう。
「何歳くらいから検診を受けた方がいいのか？」
⇒30歳からでいいでしょう。
前述の「乳癌の罹患年齢」を見てもらうとわかりますが、20歳代では乳癌はかなり稀です。※実際の診療でも20歳代の乳癌は相当少ないです。
●ただ、ご家族や近親者に乳癌や卵巣癌（子宮癌ではありません）が多い場合には20歳代後半でも検診してください。
遺伝性乳癌かどうかを「遺伝子検査」して確かめる必要は必ずしもありませんが、検診を「早い時期から、きちんと」する意識は必要です。
※遺伝性乳癌については、「乳がんプラザ」の「乳癌の原因」の中の「遺伝性乳癌の検査」、「遺伝性乳癌卵巣癌」、「遺伝性乳癌卵巣癌」、「HBOCでの癌検診」などを参考にしてみてください。
 

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