[管理番号:8498]
性別:女性
年齢:51歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年5月1日
田澤先生、いつも参考にさせていただいております。
私もとても悩んでいるので、質問させてください。
私は2010年2月 右胸温存手術をしました。
その後、放射線、ホルモン治療を続けている中、2015年8月に1.3センチの胸骨傍リンパ節転移が見つかりました。
主治医に、胸骨傍リンパ節転移は遠隔転移と同じ扱いになる、もう完治を望むことは出来ない、手術も不可能だと言われました。
失意のどん底で出来る限りの最高の治療をしたいと希望しましたところ、定位放射線後ホルモン剤をトレミフェンに変えて治療を続けることになりました。
ホルモン治療で効く薬がなくなったら、抗がん剤になりますと言われました。
次第に腫れは大きくなり、2018年12月には4.8センチまで大きくなってしまいました。
薬を変えて、フェソロデックス+イブランスになりました。
白血球(好中球)がとても低くなってしまうため、すぐにフェソロデックス+ベージニオに変わりました。
2019年12月、また少し大きくなっていました(5cm)。
胸骨への浸潤も指摘されました。
2020年4月の最新の検査では、更に少し拡大しているとのことでした。
幸いそれ以外の再発転移は未だありません。
4年8ヶ月も胸骨傍
リンパ節と闘っているのです。
質問①時間は経ってしまいましたが、領域リンパ節転移のみということで、治癒を目指す治療は可能ですか?
質問②胸骨傍の固い石のような塊が不快でたまりません。
また皮膚に赤みも出ており、いつか飛び出してQOLが下がるのではと心配です。
たとえ
治癒を目指せないとしても、取り除いていただきたい気持ちが強いです。
手術できる可能性はありますでしょうか?
質問③根治目的が無理な場合、アフィニトールでもう少しねばるのと、すぐに抗がん剤に切り替えるのと田澤先生ならどちらにしますか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「life threateningでないものは、できるだけホルモン療法で粘る」みたいな、治療方針のようですね。
その気持ちも理解はできますが、
(最初に見つかった)1.3cmを放射線⇒(その当時はpalbociclibが無かったので)ホルモン療法単独 まではいいですが、その後大きくなるなら、「抗がん剤」を早めに投与すべきだったのでは?
〇私であれば
放射線⇒(今ならpalbociclibがありますが、当時は無かったので)⇒抗がん剤
(画像上CRを狙い、最低3か月~6か月)⇒ホルモン療法としたことでしょう。
「質問①時間は経ってしまいましたが、領域リンパ節転移のみということで、治癒を目指す治療は可能ですか?」
⇒抗がん剤未治療なわけだから…
(いきなり根治と言わず)抗がん剤により(画像上)CR⇒(その状態を)長期維持
上記を狙いましょう。
「質問②胸骨傍の固い石のような塊が不快でたまりません。
また皮膚に赤みも出ており、いつか飛び出してQOLが下がるのではと心配です。
たとえ治癒を目指せないとしても、取り除いていただきたい気持ちが強いです。
手術できる可能性はありますでしょうか?」
⇒抗がん剤が第1選択であることは間違いありません。
現時点(胸骨浸潤した5cm)では手術適応はありません。
「質問③根治目的が無理な場合、アフィニトールでもう少しねばるのと、すぐに抗がん剤に切り替えるのと田澤先生ならどちらにしますか?」
⇒私はEverolimusを使うことはありません(効果と副作用のバランスが非常に悪いため)
「何故、抗がん剤を使わないのか?」 誠に理解に苦しみます。
質問者様から 【質問2 】
胸骨傍リンパ節転移の治療について
性別:女性
年齢:52
病名:乳癌
症状:胸骨傍リンパ節転移
投稿日:2020年10月19日
No.8498
2回目のご相談です。
前回は丁寧な回答ありがとうございました。
田澤先生のことをもっと早く知っていればと悔まれました。
その後、抗がん剤が第一選択と理解しましたが、期限のない治療と思うと怖がりな私はなかなか決心がつかず、アフィニトールで治療していました。
しかしやはり今月の検査で胸骨傍リンパ節が更に増大していることがわかりまり、次の診察で主治医に言って、抗がん剤に変更してもらうつもりです。
田澤先生のおっしゃるように、画像上寛解を目指して、最善の抗がん剤をしたいと思います。
そこで相談です。
田澤先生だったら抗がん剤は何をどのような順番で使いますか?
主治医は優しい薬→辛い薬 のタイプですが、私は効く薬がしたいのです。
ご助言いただければ大変参考になります。
よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは田澤です。
「田澤先生だったら抗がん剤は何をどのような順番で使いますか?」
⇒抗がん剤未施行ですよね?
それであれば、まずはKey drugであるanthracycline と taxaneが軸になります。
Anthracycline(EC)⇒taxane(paclitaxelに分子標的薬であるbevacizumabを併用)
★ 上記だけでも「相当な」効果が期待できます。
十分な効果(できればcCR)が得られたら、(ここで抗がん剤は休止して)CDK4/6阻害剤(palbociclib or abemaciclib)で維持を考えます。
★★もしも上記(EC⇒paclitaxel+bevacizumabで不十分なら、eribulinも行いましょう)
質問者様から 【質問3 】
胸骨傍リンパ節転移の治療について
性別:女性
年齢:52
病名:乳癌
症状:
投稿日:2021年2月26日
No.8498
3回目の質問です。
田澤先生、前回も分かりやすい回答ありがとうございました。
その後、順調にEC療法6回が終わったところです。
腫瘍マーカーは12.5→3.5に下がり、効果はあったように感じます。
CT検査は、3週間後タキサン系1回目の日にやる予定です。
(EC療法スタート時点のCTでは、胸骨傍リンパ節転移6.4×1.8で、胸骨に強く浸潤と書かれていました。)
次のタキサン系なんですが、
私はてっきり
[paclitaxel+bevacizumab]
だと思っていたのですが、
主治医から 3週間毎のアブラキサンのみを提案されました。
主治医の説明だと、
[paclitaxel+bevacizumab]は、
胸水がたまっているとか 遠隔転移がある状態に適している。
私の今の症状は、EC6回をしっかりやれたので、アブラキサンが適しているというお話でした。
アブラキサンの知識が無く、帰宅後慌てて調べましたが、メリット・デメリットがあるようで自分で調べても決められず困っています。
①田澤先生でしたら、私のような場合でもやはり
[paclitaxel+bevacizumab]にしますか?それともアブラキサンという手もあるのでしょうか?
②私は抗生生物質のアレルギー有です(発疹、肌が赤くなる)。
paclitaxelのアレルギーもでる可能性高いですか?
③人血清も怖いのですが、心配しすぎないでいいのでしょうか?
ご助言よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは田澤です。
ECをやって本当に良かったですね。
ここは(前回、回答したように)bevacizumab+paclitaxelをやって、可能な限りcCRを目指しましょう。
ここに及んで「出し惜しみ(胸水がたまっているとか 遠隔転移がある状態に適している)」していてはcCRが遠のいてしまいますよ。
ご参考に。
質問者様から 【質問4 】
胸骨傍リンパ節転移の治療について
性別:女性
年齢:52
病名:乳癌
症状:
投稿日:2021年5月14日
4回目の質問です。
前回も大変参考になりました。
ありがとうございます。
ECの後、CT検査をしたところ、
胸骨傍リンパ節転移は6.4cm×3.8cm。
厚みが2cmも増していました。
腫瘍マーカーは下がったのに、
たった4ヶ月で2cmも増大したのはショックでした。
気を取り直して、
【paclitaxel+bevacizumab】を始めました。
ですが白血球が少なく中止になることが多くて治療が思うように進みません。
Weeklyなのに、今週も中止で3週間空いてしまいます。
来週も中止になると4週間空いてしまいます。
最初の予定だと6回投与終了している頃なんですが、実際は3回しかできていません。
このような不規則で 回数が少ない投薬パターンでも治療の効果は得られるのでしょうか?
田澤先生のご意見を聞かせていただきたいです。
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは田澤です。
「【paclitaxel+bevacizumab】を始めました。
ですが白血球が少なく中止になることが多くて治療が思うように進みません。」
⇒上手に「filgrastim」を併用すれば、結構上手くできますよ。
ご参考に