[管理番号:7323]
性別:女性
年齢:49歳
病名:左胸部浸潤性小葉癌の転移
症状:咽頭部違和感、左鎖骨上の痛みと突っ張り感、左脇の痛み、左腕及び朝の両手の腫れ
はじめまして、いつも拝見させて頂いています。
よろしくお願いします。
以下が経緯とご相談事項です。
◆経緯
2012.12:左胸部浸潤性小葉癌手術(左乳房全摘、リンパ郭清なし)
術後:EC療法(全4回)、リュープリン(2年)、タスオミン20mg(服用中)
2016.10:CT、エコーにて左腋窩、左鎖骨上、左深頸部に複数のリンパ
腫大判明(2019.3まで、CT、エコーにて経過観察)
2019.3:左腋窩、左鎖骨上、左深頸部のリンパ腫大の増大と増数に
より転移の可能性ありと判明(骨及び他臓器への転移なし、
左脇の痛み並びに左腕及び両手の腫れあり)
主治医は、これまでの治療(タスオミン20mg服用)を継続し経
過観察するとの見解(左腋窩のリンパ腫大撤去及び左鎖骨上
~左深頸部のリンパ腫大への放射線治療は日常生活への影響
が大きいことからメリットなしとの判断)
◆リンパ腫大の現状
左腋窩:12×8mm、8×8mm、7×5mm、他5mm前後で周囲に散見
左鎖骨~左深頸部:3~21mm
◆ご相談事項
これまでの相談事項(4560ステージ4 腋窩リンパ節と鎖骨上の転移について等の方)と重複するところがあるかも
しれませんが、田澤先生のご見解をお願いします。
1.転移の有無を明確(細胞針またはPET-CT実施)にし、治療方針
を決定する必要はないか
2.「1.]で癌が確認できた場合
・左腋窩:郭清及び放射線治療は必要ないか
・左鎖骨上、左深頸部:放射線治療は必要ないか
3.現在、服用中(タスオミン20mg)の薬で問題ないか
閉経前(E2:11.2、FSH:7.76)でありタスオミン20mg継続との判断
4.変更する場合、薬は何がいいのか
5.化学療法は必要ないか
◆左胸部浸潤性小葉癌(2012.12手術)の概要
1.腫瘍の大きさ:6.5×1.5×3.3cm
2.リンパ節転移:sentinel(1/2)
3.組織型:浸潤性小葉癌(8520/3)+非浸潤性乳管癌(8500/2)
4.核Grade:grade2
5.組織学的波及度:f
6.リンパ管侵襲(+)、静脈侵襲(-)、乳管内進展(+)
7.TNM分類:pT3pN1
8.ER:陽性50% PgR:陽性50% Ki67:10%
9.HER2蛋白スコア:1
10.免疫染色:異形細胞(E-cadherin(-)、
CK34βE12(-):小葉癌としては非典型的)
11.小葉癌(1/2)のリンパ節転移あり
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「これまでの相談事項(4560等の方)と重複するところがあるかもしれません」
→「あるかもしれません」どころか…
「重複そのもの」です。
「1.転移の有無を明確(細胞針またはPET-CT実施)にし、治療方針を決定する必要はないか」
→転移と断定できないでいるのであれば…
腋窩細胞診すべきでしょう。(腋窩細胞診は技術が要るので「やりたがらない」かもしれませんが)
「・左腋窩:郭清及び放射線治療は必要ないか」
→郭清できるなら、すべきです。
「・左鎖骨上、左深頸部:放射線治療は必要ないか」
→放射線すべきです。
「3.現在、服用中(タスオミン20mg)の薬で問題ないか 閉経前(E2:11.2、FSH:
7.76)でありタスオミン20mg継続との判断 4.変更する場合、薬は何がいいのか
5.化学療法は必要ないか」
→これはトータルで考えるべきです。
★もしも「根治の可能性を考える」ならベストな方法を選択すべき
「腋窩郭清(手術可能な状況ならば)」→「鎖骨上及び頸部リンパ節への照射(この場合にはPETで縦隔リンパ節の有無なども検索しておくべき)」→化学療法(腫瘍マーカーなど「ターゲットが無ければ」3か月もしくは6か月と決めて)→palbociclib+Fulvestrantとするでしょう。(私なら)