乳がんは早期発見、早期治療を目指しましょう。乳がん手術は江戸川病院|乳がんプラザ



[管理番号:652]
性別:女性
年齢:42歳
いつもありがたく拝見させて頂いております。とても勉強になります。
最近疑問が湧いてしまいました。どうぞ宜しくお願いします。
リンパ節転移が陽性となると、イコール予後不良、再発しやすいと一般に言われておりますが、一体具体的にどうしてなのでしょうか。有るよりは無いに越したことはないということは漠然と理解してるのですが、局所治療や綺麗に取りのぞければ、そんなに悲観しなくてもいいのではと思ったりもするのですが。他の癌のリンパ節転移とはリスクの度合いが違うのでしょか。
また、リンパ節転移(例えば1~3個)があると、次はどこにいかほどの確率で転移する傾向があるのでしょうか。(内臓に転移するのは血行性?)この辺がどうも分かりません。
田澤先生は、1番の予後因子は大きさだとおっしゃられておりましたが、これは単純に血行性転移しやすいということでしょうか。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「リンパ行性転移」と「血行性転移」これらは全く関係ありません。
 ただ、予後因子として検討すれば、「統計学的に差がでる」ものだと言う事です。

回答

「リンパ節転移が陽性となると、イコール予後不良、再発しやすいと一般に言われておりますが、一体具体的にどうしてなのでしょうか」
⇒これは単純に、「統計学的に差がでる」と言う事です。
 他の条件を一致(例えば腫瘍径や核グレードなど)させて、「リンパ節転移無」と「リンパ節転移4個以上」に分けて予後を検討した際に「統計学的に差がある」という事です。
 
「他の癌のリンパ節転移とはリスクの度合いが違うのでしょか」
⇒乳癌だけが例外ではなく、「癌腫ひとつひとつでリンパ節転移の予後に対する重さ」が異なる筈です。
 TNM分類が全ての癌に共通な以上、T(tumor size), N(nodes), M(distant metastasis)はステージに影響しているのです。
 
「リンパ節転移(例えば1~3個)があると、次はどこにいかほどの確率で転移する傾向があるのでしょうか。」
⇒あくまでも(前述した)統計処理で「予後との相関」があるというだけの事で、
 どこ(どの臓器)に転移する傾向とかではありません。あくまでも「全体の再発率」との相関です。
 どの確率とは、「リンパ節転移だけ」で確率は評価できません。あくまでも「腫瘍径」「核グレード」「ERステータス」などと、「併せて」の確率なのです。
 ★ちなみに、「リンパ節転移がある」ことと「局所再発(胸壁やリンパ節)」との関係はありません。
 リンパ節再発は「きちんとした局所療法」を行う事で防げるのです。
 
「内臓に転移するのは血行性?」
⇒その通りです。
 内臓転移(遠隔転移)は全て「血行性転移」です。
 つまり「リンパ行性転移=リンパ節転移」と「内臓転移」は直接の関係はありません。
 
「1番の予後因子は大きさだとおっしゃられておりましたが、これは単純に血行性転移しやすい」
⇒これは私の症例経験から得た印象であり、しっかりした根拠がある話ではありません。
 私の中では「腫瘍径が大きい=浸潤部分が大きいため周囲の血管に癌が入り込む機会が多い」ことが関係しているのでは?とイメージしています。
 
○質問者は非常にいい理解をして、当然ぶち当たる疑問を表現してくれました。
 リンパ行性転移と血行性転移が「別物なら、なんでリンパ節転移があると予後不良なの?」「関係無い筈では?」という事だと理解しています。
 その通りなのです。
 あくまでも「リンパ節転移は局所因子」であり、それが「内臓転移=遠隔転移」に直接進展する訳では無いのです。
 たんに、「予後因子」として「統計学的処理」をすると差が出ると言う事です。
 ⇒これの解釈としては、
 『リンパ節転移を起こすには、癌が生まれてからそれなりの時間が必要、それだけの時間をかければ、血管の中にも入る機会が多い』と言う事だと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

大変詳しくご返答頂き、感激いたしました。お忙しい中ありがとうございました。
田澤先生のご提示にいつも励まされ、少しづつではありますがこの病気を理解しイメージすることによって不安でしかなかったのが、徐々に心に安らぎが生まれるようになりました。本当に感謝しております。すみませんが、もう2,3コ、質問させてください。
「『リンパ節転移を起こすには、癌が生まれてからそれなりの時間が必要、それだけの時間をかければ、血管の中にも入る機会が多い』と言う事だと思います。」
ということですが、これは、リンパ節転移→(時間をかけて)鎖骨下の静脈角から静脈に注がれ心臓へ→血行性の遠隔転移する?、または、(時間をかけて)腫瘍から浸潤により血管の中に入って血行性転移する、この二通りの事でしょうか。
もう一つ質問させてください。本日(7/8)の日経新聞で、国立がん研センターが、「乳がん再発患者対象の核酸医薬の治験を開始した」という記事を読みました。「RPN2」という遺伝子は、トリプルネガティブタイプに多くみられる遺伝子なのでしょうか。それともルミナルタイプやHER2タイプこれら全てのタイプにもあり、全体の乳がん再発患者に有効な嬉しい記事なのでしょうか。また、これが実用化するにはだいたい何年位かかるものなのでしょうか。
お忙しい中再度すみません。どうぞ宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 「血行性転移とリンパ行性転移は全く別物」です。

回答

「『リンパ節転移を起こすには、癌が生まれてからそれなりの時間が必要、それだけの時間をかければ、血管の中にも入る機会が多い』と言う事だと思います。」
ということですが、これは、リンパ節転移→(時間をかけて)鎖骨下の静脈角から静脈に注がれ心臓へ→血行性の遠隔転移する?、または、(時間をかけて)腫瘍から浸潤により血管の中に入って血行性転移する、この二通りの事でしょうか。」

⇒(後者の)「(時間をかけて)腫瘍から浸潤により血管の中に入って血行性転移する」です。
 腫瘍から、「血管」や「リンパ管」へ其々独立して「入り込む」のです。
 
『「RPN2」という遺伝子は、トリプルネガティブタイプに多くみられる遺伝子なのでしょうか。』
⇒トリプルネガティブが主たるターゲットですが、HER2タイプにも高発現しているようです。
 
「これが実用化するにはだいたい何年位かかるものなのでしょうか。」
⇒(少数の健常者に投与して安全性を確認する)PhaseⅠ試験が始まったばかりなので何とも言えませんが、RD(推奨用量)が決まり(最短で1年半)、実際の患者さんに投与する(PhaseⅡ)に移行して全てが順調にいき、さらにトリプルネガティブというサブタイプで症例数が少ないことを理由にPhaseⅢが免除されたとしても、上市まで最短で6-7年は掛かると思います。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

早速のご返答どうもありがとうございました。ということは、リンパ節転移からの遠隔転移は無いということでしょうか。主治医からは、リンパ節から血管に流れると聞きましたが、これはどういう事を言っているのでしょか。自分で調べても良く分かりませんでした。
核酸医薬の治療はまだ先のようですね。この治療法は転移ではなく、あくまで局所再発時に有効なのでしょうか。ルミナルタイプはホルモン療法で同じように代用できるものなのでしょうか。それともルミナルタイプには治療方法がなく、将来少し不利になるのでしょうか。
また、局所再発ではなく、がん転移においての治療法は今よりもっといいものが研究、実用化されるものなのでしょうか。
重ねての質問ですみません、どうぞ宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 「局所再発」と「遠隔転移・再発(この場合転移と再発の用語は厳密な使い分けはありません。『最初は無かったものを全て再発と表現します』)」については少々誤解がありそうです。

回答

「リンパ節転移からの遠隔転移は無いということでしょうか」
⇒その通りです。
 
「主治医からは、リンパ節から血管に流れると聞きました」
⇒それは主治医に聞いてください。
 私は、そのようなことを聞いた事もありません。
 
「この治療法は転移ではなく、あくまで局所再発時に有効なのでしょうか」
⇒(通常の抗がん剤同様に)転移・再発に使用します。
 厳密な意味の局所再発は「手術もしくは放射線照射」で治療を行います。
 
「ルミナルタイプはホルモン療法で同じように代用できるものなのでしょうか。それともルミナルタイプには治療方法がなく、将来少し不利になるのでしょうか」
⇒この治療が「ルミナールタイプに適応が無い」としても、ホルモン療法や「一般の抗がん剤」で同様の効果があります。
 将来不利になる事は一切ありません。
 
 この「RPN2」特別な治療法では無く、またターゲット療法の「一つの候補」に過ぎません。
 「ターゲット療法の候補」は幾らでもあるのです。
 
「局所再発ではなく、がん転移においての治療法は今よりもっといいものが研究、実用化されるものなのでしょうか」
⇒質問者は勘違いしています。
 全ての薬剤は「転移・再発に限らず、癌の制圧」の為にあります。
 局所再発は、「手術や放射線が有効」であるだけで、何ら特別な事では無いのです。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生の早速のご返答はとても心強く有難いです。ありがとうございました。
ではリンパ節転移が陽性ということは、単に時間が経ってしまっていて腫瘍から血管にとぶ可能性が有るということなのでしょうか。
核酸医薬についてのご返答どうもありがとうございました。局所転移と遠隔転移でできた腫瘍は同じ性質で、『全ての薬剤は「転移・再発に限らず、癌の制圧」の為にある』というところでハッとし理解することができました。昨日はネットでナノマシンというのも初めて知りました。色々な新薬が研究されているのですね。
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
「リンパ節転移が陽性ということは、単に時間が経ってしまっていて腫瘍から血管にとぶ可能性が有る」
⇒その通りです。
 以下に早期発見が重要な事かわかると思います。
 癌に時間を与えてはいけないのです。
 
 

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管理番号:722「リンパ節転移の分類」

 
 





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