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リンパ節転移の分類

[管理番号:722]
性別:女性
年齢:42歳

質問者様の以前の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の以前の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:652「リンパ節転移について」

 
 
ご返答どうもありがとうございました。先生のおかげでやっと少しづつ理解できるようになりました。いたずらに漠然と怖がっていたころに比べ、なぜが知識を持つと落ち着きます。
また一つ素朴な疑問がわいてきましたのでお願いします。
リンパ節転移は2mm以上のサイズのものを全て同じ一個と数える、ということです。例えば、2mmのものと2cmのものも同じ一個として数えるのは、どうしても2cmの大きい方が症状が進んでいるのではと思ってしまいます。これはどうしてなのでしょか。また、リンパ管にもあったものはあとどれくらいの時間が過ぎてリンパ節転移するものなのでしょうか。
どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 いろいろ理論的に考えると、様々なことが「理屈に合わない。何故?」と思えてくるものです。
 特に「医学の世界」はまだまだ「理論物理学のようには」全ての説明がついていないのです。
 何を言いたいかと言いますと、「経験則、言い換えれば統計」が幅を利かせているのです。

回答

「2mmのものと2cmのものも同じ一個として数えるのは、どうしても2cmの大きい方が症状が進んでいるのではと思ってしまいます。これはどうしてなのでしょか」
⇒尤もな疑問だと思います。
 現在はリンパ節転移は以下のように分けています。
pN0
リンパ節転移なし
pN0(ITC) 0.2mm以下の転移(これもpN0に含める)
 
pN1 
リンパ節転移1~3個
pN1mi 2mm以下の転移(これもpN1に含める)
  
pN2
リンパ節転移4~9個
pN3 
リンパ節転移10個以上
 
○pN0/pN1/pN2/pN3が経験的に(一部は統計学的に有意差を持って)予後と関連しているとの「共通認識」があるから、この分類が成り立っています。
○質問者のおっしゃるように、pN1を更に pN1(2mm-1cm), pN1(1.1cm-2cm), pN1(2.1cm-)のように分類して予後を調べ直せば「幾らかの差」はでるかもしれません。
 ただ実際には、そのような細かい分類をしても「大きな差」は出ないし、むしろ他の要因(腫瘍径とか核グレード、サブタイプなど)に引っ張られて「差は小さすぎて無意味」となりそうです。
 ♯しかも、リンパ節転移の「大きさ」に焦点を当てすぎると「個数」との関係が難しくなります。
 例) 1個転移(2cm)と3個転移(それぞれ、5mmずつ)ではどちらが予後がいいのか?などが問題となってくるかもしれません。
★「分類はシンプル」でないと、実際に「臨床応用」し難くなってしまうのです。
 
「リンパ管にもあったものはあとどれくらいの時間が過ぎてリンパ節転移するものなのでしょうか」
⇒不明です。
 生命科学は「器械のように正確」ではないのです。
 現代の医学では「それを研究するのは不可能」だと思います。
 「マウスの実験」ならまだしも「人体において、リアルタイムにリンパ管侵襲の時期を特定し、リンパ節転移出現を観察」することなど、不可能なのです。