[管理番号:3906]
性別:女性
年齢:52歳
こんにちは。
田澤先生、はじめまして。
乳癌の診断を受けて以来、このサイトを知り先生のコラムやQ&Aで勉強させていただいています。
ありがとうございます。
私は、手でしこりを触れることは出来ませんでしたが、職場検診のマンモグラフィで石灰化の所見があり、その後乳腺外科を受診しました。
検査の結果、左乳房に8cmに渡って天の川のように広がっている石灰化部分が乳癌です、と説明され4月に手術を受けました。
左乳房全摘に加え、術前のエコー所見と体部造影CTの結果で腋窩リンパ節転移が疑われたことから、センチネル生検は行わずリンパ郭清を受けました。
術後の病理組織検査では、リンパ節転移無し、との結果が出て(術前検査でリンパ節転移疑いだったため、病理組織検査には時間をかけてじっくり調べてはくださったとのことで、結果が出るまでに4週間ほど待ちました)、この結果を嬉しく思いましたが、5mm間隔でのスライスの隙間に微小な転移が挟まっている可能性も無視はできない、との説明も受けました。
術後療法としては、TC療法を4回(1クール)受け、現在タモキシフェン内服中です。
病理検査結果
浸潤癌の大きさ:0.9cm(複数) 核異型度:3
リンパ管侵襲:なし 血管侵襲:なし リンパ節転移:なし
ER5~10%,PgR5~10%,Her2 score1
Ki-67:40%
ご相談させていただきたいのは、
1.組織検査でリンパ節転移無しという結果が出たものの、スライスの隙間に微小な転移が存在している可能性を考慮した場合、抗癌剤の上乗せを検討した方が良いのでしょうか?
2.2月前より左上肢にリンパ浮腫が出現し(出現前より、場所により、0.5cm~1cm程度大きくなっている)、圧迫療法はせずマッサージのみ行い、ウォーキングなどの適度な運動と上肢の安静・保湿・挙上を心がけていますが、まだ改善は見られません。
(ハリは幾分軽減されているようにも思えますが、サイズには変化が見られません。)リンパ浮腫は腋窩リンパ節転移が関係している可能性は考えられるでしょうか?
3.リンパ浮腫が出現したころより、腋窩に硬い筋状の出現があり受診したところ、axillary web syndromeとのことですが、浮腫との関連があるでしょうか?
と言う3点です。
先生のご見解をお聞かせ願えれば幸いです。
どうか、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
まず残念なのは、「浸潤径9mmの石灰化が広範囲に拡がる病変」で「無駄なCT」を撮影したこと。
更に(その無駄なCT所見を頼りに)「無駄な腋窩郭清」をされたこと。
♯本来、センチネルリンパ節生検されるべきでした。
「5mm間隔でのスライスの隙間に微小な転移が挟まっている可能性も無視はできない、との説明」
⇒残念ながら…
私には(担当医が)「センチネルリンパ節生検をして腋窩郭性を省略すべきだった」事に対する言い訳に聞こえます。
「1. 組織検査でリンパ節転移無しという結果が出たものの、スライスの隙間に微小な転移が存在している可能性を考慮した場合、抗癌剤の上乗せを検討した方が良いのでしょうか?」
⇒余計な想像することは止めましょう。
リンパ節転移は無かったのです。
「リンパ浮腫は腋窩リンパ節転移が関係している可能性は考えられるでしょうか?」
⇒全く無関係です。
「リンパ節転移の可能性」から、解放されるべきです。
「腋窩に硬い筋状の出現があり受診したところ、axillary web syndromeとのことですが、浮腫との関連があるでしょうか?」
⇒ありません。
腋窩郭清に伴う「血管炎」です。
それは直に改善します。