[管理番号:3521]
性別:女性
年齢:66歳
私の母についてですが、2010年11月左側上部乳がんの部分切除手術をしました。
腫瘍:2センチ未満
HER2:陰性
センチネルリンパ節生検:リンパ節転移なし
術後:左側胸部放射線照射(30回程度)
抗がん剤:なし
主治医によると、「早期乳がんのため必ず服用しなければならないわけではないが、服用すれば再発率を下げられる」とのことで、術後 アロマシンを5年間服用。
2016年7月の乳腺科診察時、腫瘍マーカーは正常値でしたが、炎症値が若干高いため、主治医の判断で、「念のため1年後ではなく半年後に診察をして様子をみましょう」となりました。
乳がんとは別に、2014年1月に右側甲状腺がん(2cmに満たない乳頭がん)の手術を行い、甲状腺がんについては、現在同じ病院の耳鼻咽喉科で経過観察中です。
2016年7月に、耳鼻咽喉科にて甲状腺がんの経過観察としてエコー検査をしてもらった際、左鎖骨上部リンパ節に1個(6㎜)のポリープが発見されました。
耳鼻咽喉科主治医の話では、「これは左側のため右側甲状腺がんの転移とは考えられず、過去に手術した左側の乳がんの転移の可能性がある」とのことで、8月(下旬)日に細胞診をすることとなりました。
しかしながら、細胞採取時に、「思った以上に血管がすぐ近くにあり肺にも近いことから多量の出血の恐れがあるため細胞を採取できない」と言われ、結果として「ポリープが悪性か良性か判断ができない」状態です。
9月(上旬)日に耳鼻咽喉科主治医を再度訪ね今後の指示を仰ぐことになっておりますが、今後とるべきアクション(受けるべき検査・治療等)についてアドバイス頂けませんでしょうか?
現在の予定では乳腺科主治医の診察は2017年1月となっていますが、耳鼻咽喉科主治医が至急乳腺科の診察を受けるように我々に指示するのか、指示しない場合は我々の側から乳腺科をすぐに受診しようとは考えているのですが。
このように左鎖骨上部リンパ節のポリープが悪性か良性か判断がつかない(細胞診できないため永久に判断できない)
現在の状況下で、5年8か月前の乳がんの領域再発を前提として手術、放射線治療や抗がん剤治療を実施する必要はありますでしょうか?
また、領域再発の可能性は何%くらいと考えるべきなのでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
状況は良く解りました。
ただ、鎖骨上リンパ節であれば『本当に腫れたリンパ節であれば、必ず細胞診可能』です。(耳鼻科医が細胞診を上手くできなくても非難されるべきではありませんが…)
診断のポイントは2つあります。
①本当に転移を疑う程度の腫大ならば、必ず細胞診できます(逆に細胞診ができないような扁平なリンパ節であれば、経過観察で問題ありません)
②PETで(そのリンパ節を含め)他(縦隔リンパ節など)に所見は無いのか?
以上、2つで確実に判断できます。
「今後とるべきアクション(受けるべき検査・治療等)についてアドバイス頂けませんでしょうか?」
⇒本当に「転移を疑うリンパ節」ならば、(まともな乳腺外科医であれば)細胞診できる筈です。
逆に言うと、「転移でない可能性がある」リンパ節ならば「経過観察で十分」です。
PETを撮影して他のリンパ節に問題が無いのか確認しておくと安心です。
「悪性か良性か判断がつかない(細胞診できないため永久に判断できない)」
⇒そのようなことはありません。
「現在の状況下で、5年8か月前の乳がんの領域再発を前提として手術、放射線治療や抗がん剤治療を実施する必要はありますでしょうか?」
⇒不要です。というか治療すべきではありません。
あくまでも「細胞診で転移と確認」するか、「PETで転移の所見がない」限り、決して治療の対象とはならないのです。
「また、領域再発の可能性は何%くらいと考えるべきなのでしょうか?」
⇒画像を見ない限り判断はできません。