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リンパ節再発

[管理番号:6628]
性別:女性
年齢:27歳
初めまして、田澤先生。
何度かこちらのホームページを拝見させていただき、その度に安堵していたのを思い出します。
今回初めて質問させて頂きます。
宜しくお願いいたします。
2017.6 乳がん発覚(当時27歳)
2017.7 右乳房全摘
〈病理結果〉
ステージ1
浸潤径1.4cm(腫瘍径2.5cm)
トリプルネガティブ
核グレード3
ki67=80%
センチネル生検 4つ取り出し全て陰性
2017.8~ doze-dense AC(4回)+ weekly PTX(12回)
2018.2 副甲状腺摘出(副甲状腺機能亢進症のため)
2018.7 術後一年検診で、右腋窩リンパ節の腫れをエコーで確認。
CTでは、このリンパ節以外に異常なし。
現在リンパ節の細胞診結果待ち。
エコーで見た様子だと、こちらのサイトで載っていた転移性リンパ節にそっくりでした。
エコーでの大きさは2cm弱でした。
自分で触ってみると脇の下の奥の方に、しこりがあるのも分かりました。
昨日、リンパ節を細胞診してもらい、担当医とお話ししたところ、
化学療法中(昨年の10月ごろだったかと)に一度エコーで見たときは腫れているものはなかったから、反応性腫大とも言いにくいと言われました。
ちなみに、4月に他のクリニックでエコー検査した際は何も言われませんでした。
センチネル生検には、数%の誤差があると手術前に紙で渡されたことを思い出し、
本当のセンチネルがいま腫れているリンパ節だったということですかと聞いたところ、
あの時4つリンパ節を取ったし、手術でとった時のものが100%センチネルと言われました。
センチネルではなく、どういった機構でセンチネルを通らずにこのリンパ節に行ったかはわからないけど、悪性度が高いため、早いけど再発したのかなと。
もしかたら、全身に転移する前の前兆かもしれないとも言われました。
全身に行く前にここのリンパが先に腫れたということかもしれないと。
細胞診の結果が出たら、脳(今回のCTは首から下しかとっていないので)と骨シンチを調べ、何もなければ手術ができると言われました。
長くなりましたが4点知りたいことがございます。
①いま腫れているリンパ節は本当にセンチネルではなかったのでしょうか。
稀ではありますが、センチネルを通らずにいま腫れているリンパ節に転移していたということでしょうか。
②骨シンチについてですが、副甲状腺機能亢進症の手術をする際、骨転移の疑いを消すため骨シンチもとるように言われ(1月ごろ)、数カ所黒っぽいところがありましたが、副甲状腺が悪さをしていたための、カルシウムによるすり減りだと言われました。
骨シンチでは骨転移の違いやすり減りによるものなど区別できるのでしょうか。
今回も骨シンチをとるみたいなので不安です。
③前兆と言われ、一気に怖くなりました。
微少転移がもうあるかもしれないということでしょうか。
術後一年、その間化学療法もしていたのに、やはり悪性度が高いとこんなに早くなるものでしょうか。
④最後に、リンパ節転移と遠隔転移について質問させてください。
リンパ行性転移は、リンパ節→リンパ管→リンパ節を通って、レベル1→レベル2→レベル3へと順に転移していくと書かれてありました。
その途中段階で、長くリンパ節の中で増殖していたがん細胞がリンパ節から浸潤し、血管に移行し、遠隔転移をもたらすのでしょうか。
分かりずらい質問になってしまい、申し訳ございません。
宜しくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「①いま腫れているリンパ節は本当にセンチネルではなかったのでしょうか。」
→まず理論的に考えてください。
 腋窩リンパ節に、(手術で腋窩までのルートが完全に失われているのに)他の部位から癌細胞が流れ込むことはあり得ないのです。
 つまり、手術の時点でそのリンパ節には癌細胞があったのです。(それが、時間をかけて)大きくなったということです。
 ☆何故、(手術の時点で癌細胞があった)リンパ節が取り残されてしまったのか?
(それは想像するしかありません)
「稀ではありますが、センチネルを通らずにいま腫れているリンパ節に転移していたということでしょうか。」
→それを言ってしまったら(許してしまったら)「センチネルリンパ節生検の意味がなくなる」ことになります。
「骨シンチでは骨転移の違いやすり減りによるものなど区別できるのでしょうか」
→無駄な検査です。
「術後一年、その間化学療法もしていたのに、やはり悪性度が高いとこんなに早くなるものでしょうか。」
→全く無意味。
 物事を複雑に考えてはいけません。
 単純に(何らかの形で)「取り残されていた癌細胞が増大してきただけ」の話です。
 
 こう考えましょう。
 「本来、センチネルリンパ節生検でそのリンパ節を迅速診断」していたのであれば、「転移陽性→追加郭清」となっていたはずです。
 (今回、腋窩郭清することで)本来あるべき形となるというだけの話です。
「その途中段階で、長くリンパ節の中で増殖していたがん細胞がリンパ節から浸潤し、血管に移行し、遠隔転移をもたらすのでしょうか。」
→長期間放置されると、「節外浸潤」→(節外浸潤すると)そこから周囲の血管に入り込み「血行性転移の可能性がでてくる」わけです。『今週のコラム 119回目 『(エコーで認識されてから、腋窩郭清されるまでの)「3年間が勝負(その後の遠隔転移の出現の有無)を決めた」私は、そう考えるのです。』をご参考に。
☆質問者の場合には、それほど「長期間放置されていたわけではない(4月のエコーで不明だったのが?ですが…)」と思います。
 今回、きちんと郭清すれば、(初回手術で)「郭清していた場合と同じ」状況になるだけだと思います。
 きちんと郭清してもらいましょう。