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生検で非浸潤でリンパ節9ミリ

[管理番号:697]
性別:女性
年齢:38歳
 
 

質問者様の別の質問

質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:986「タキサン系の中でのアブラキサンの位置づけ(抗がん剤と微小転移について)

 
 
先日乳がんの告知を受けました。
6月に急に痛みのあるしこりを見つけ、マンモ+エコーで再検査となりました。7月1日に結果が出て、生検では非浸潤なのでステージ0かあってもⅠですと言われたので、少し安心していました。
しかし転院先への引き継ぎに「腋窩リンパ節肥大(9ミリ)」と書かれていて、リンパ節に転移しているのではないかと不安になりました。リンパ節転移の可能性は高いのでしょうか。
生検で非浸潤ではありましたが、しこりは4センチ位で病変は5センチ以上と言われていて、グレード3、HER2陽性、ホルモン治療は効かないタイプと説明されました。もしリンパ節転移があれば再発するのではと不安です。
生検で非浸潤でも摘出したらステージⅢだったということはあるのでしょうか。
まだ小さい子供がいるので、再発はどうしても避けたいです。手術は8月後半なのでそれまでに進行しないかもとても心配です。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 早期発見とはいえ、お気持ちお察しします。

回答

「リンパ節転移の可能性は高いのでしょうか」
⇒リンパ節転移の可能性は低いです。
 「生検で非浸潤=浸潤があっても通常5mm以内」であれば、リンパ節転移は通常ありません。
 「生検では非浸潤なのでステージ0かあってもⅠ」という担当医のコメントからも「リンパ節転移は疑っていない」事が解ります。
 
「腋窩リンパ節肥大(9ミリ)」
⇒これは「反応性腫大」だと思います。(生検の影響でしょう)
 ♯風邪で喉のリンパ節は腫れるようなものです。
 
「グレード3、HER2陽性、ホルモン治療は効かないタイプ」
⇒早期乳癌で、そのような事を気にする必要はありません。
 
 「サブタイプばかりが注目されがち」ですが、「早期乳癌であること」以上に意味を持つものはありません。
 
「生検で非浸潤でも摘出したらステージⅢだったということはあるのでしょうか」
⇒ありません。
 そのようなことがあったら「術前のステージ」が無意味となります。
 実際には、ステージ0か1(pT1a:最大浸潤径5mm以下)でしょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、お忙しい中すぐに質問に回答下さり、本当にありがとうございます。
先生からの回答を読んで、少し気持ちが落ち着きました。
乳がんの疑いがわかってから、先生のQ&Aにたどり着き、いつも読ませていただいていました。乳がんについて知らないことばかりで不安だった気持ちが救われました。
ご多忙の中恐縮ですが、再度質問お願いします。
リンパ節肥大は生検の影響では?とのご回答でしたが、たぶん生検前のエコーでの診断だったと思います。
告知を受けた病院ではマンモ+エコーで乳がんの疑いが強かったのかすぐにMRIを撮り、翌週生検をしました。乳がん確定後に、念のため(医師はしなくてもよいと言ってくれましたが)PETも受けました。
転院先の医師は、9ミリで正常のケースもたくさんあるからと言ってくださいましたが、今の段階(摘出前)ではステージ0~Ⅱのどこかわからないともおっしゃっていて、リンパ節転移の疑いもあるのかなと思いました。
来週CTとエコーの予定です。
CTとエコーでリンパ節転移があるかどうかはっきりするのでしょうか。
リンパ節に転移があった場合、リンパ節はすべて取ることになるのでしょうか。
この場合、やはり抗がん剤も覚悟しなければいけませんか。
手術は1ヶ月ほど先ですが、悪性度が高いのでその間に進行しないでしょうか。
たくさんの質問すみません。よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 針生検で「非浸潤癌」との診断、「リンパ節が9mm軽度腫大」ですね。

回答

「今の段階(摘出前)ではステージ0~Ⅱのどこかわからないともおっしゃっていて、リンパ節転移の疑いもあるのかな」
⇒(転移の)可能性は否定できない。という意味でしょう。
 最終的には手術が終わってみないと解らないのです。
 
「CTとエコーでリンパ節転移があるかどうかはっきりするのでしょうか」
⇒違います。
 CTもエコーも画像検査は全て、同様であり、「はっきりする訳ではありません」
 最終的には術中の「センチネルリンパ節生検」の結果がでるまでは解らないのです。
 
「リンパ節に転移があった場合、リンパ節はすべて取ることになるのでしょうか。」
⇒これは「センチネルリンパ節生検で術中に転移がみつかったら」と言う事だと思いますが…
 「全て」郭清するわけではありません。
 「術前画像診断でN0(転移無)と判断」した場合には「レベルⅠで十分」です。
 
「この場合、やはり抗がん剤も覚悟しなければいけませんか」
⇒「リンパ節転移が1個」あっても「化学療法とは関係ありません」
 質問者の場合「グレード3、HER2陽性、ホルモン治療は効かないタイプ」とありますが、「非浸潤癌であれば、どのサブタイプだろうと化学療法の適応はありません」
 ただ、「リンパ節転移を認めたと仮定する」と、当然「浸潤部分が見つかった」となります。
 その場合は「非浸潤癌のサブタイプ」ではなく、どんなに(浸潤が)小範囲でも『浸潤部分のサブタイプで化学療法が適応なのか判断』します。
 
 ○リンパ節転移については「4個以上であれば、(どのサブタイプであれ)抗がん剤の適応」と考えてもいいのですが、「1~3個の場合には」あくまでも『サブタイプが(抗がん剤の適応についての)判断材料』なのです。
 
「手術は1ヶ月ほど先ですが、悪性度が高いのでその間に進行しないでしょうか。」
⇒「非浸潤癌で悪性度が高い」事を気にする必要はありません。
 1カ月程度で「進行する」事は全くありません。
 ○「非浸潤癌でグレードが高い」場合には「浸潤部分がある可能性がやや高い」という程度の認識で大丈夫です。
 
 

 

質問者様から 【質問3 手術内容が決まりました】

先日も丁寧にご回答いただきありがとうございます。
CTとエコーが終了し、手術が決まりました。
そこでまた質問があるのでよろしくお願いします。
検査の結果
腫瘍の部位 左内側
組織型 非浸潤がん
大きさ 4センチ
乳がんのタイプ 不明
ホルモン受容体 陰性
ハーツー 不明
核異型度 3
リンパ節への転移 なさそう
初めはできれば乳頭温存を希望していましたが、画像診断では乳頭のすぐ下まで石灰化が見られるとのことで、乳頭は切除が必要と言われました。皮膚を温存した皮下乳腺全摘術+センチネルリンパ節生検を行う予定です。一次再建は行いません。
ほかの方のQ&Aを拝見したところ、田澤先生は乳頭や皮膚温存はあまりお勧めではないような印象をうけましたが、皮下乳腺全摘術は再発率が上がるのでしょうか。
センチネルリンパ節生検では3個ほど摘出し、転移0個なら腋窩リンパ節温存、1から2個では腋窩に放射線照射、3個以上なら腋窩リンパ節廓清を追加(再手術)との説明を受けました。こちらのサイトで、術中診断で腋窩リンパ節廓清を判断するものと思っていたので、この方法で問題ないのでしょうか。担当医の説明では再手術になる割合は5%ほどだとのことですが…。
あと、今までは分泌液は出なかったのですが、今朝血性の分泌液がでました。しこりも6月に気づいたときよりかたく大きくなっていて触ると痛みもあり、進行しているのではと不安です。あと、かなり胸が小さいのですが、乳腺が少ない分ほかへ転移や浸潤しやすいということはありますか?
お忙しい中、何度も申し訳ないのですが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 非浸潤癌の診断で手術を予定されている方ですね。

回答

「田澤先生は乳頭や皮膚温存はあまりお勧めではないような印象をうけましたが、皮下乳腺全摘術は再発率が上がるのでしょうか」
⇒データ上は「再発率は変わりません」
 「根治性」と「美容面」の考え方次第です。
 本来は「放射線照射をしない」事を前提とした術式なので、「可能な限りリスクを外す」考えをもっています。
 「腫瘍直上の皮膚」や「乳頭」「針生検部分の皮膚」などの『リスク部位』を切除するのが「本来の乳房切除」なのです。
 どこまで「妥協できるのか?」
 欧米での報告では「皮下乳腺全摘は安全」となっていますが、『リスク部位』を残しているという意識は常に必要です。
 
「センチネルリンパ節生検では3個ほど摘出し、転移0個なら腋窩リンパ節温存、1から2個では腋窩に放射線照射、3個以上なら腋窩リンパ節廓清を追加(再手術)との説明」
⇒一般的ではありません。
 通常は精度の高い「センチネルリンパ節生検であれば、迅速診断で摘出するリンパ節は1個で十分」であり、「2mm以上の転移があれば追加郭清」がいいと思います。
 
「乳腺が少ない分ほかへ転移や浸潤しやすいということはありますか?」
⇒全く関係ありません。
 
○誰しも「術前には心配」となりますが、全く心配ありません。
 
 

 

質問者様から 【質問4 センチネルリンパ節生検】

先日も早々に御回答下さりありがとうございました。
突然乳がん告知を受け、誰に相談して良いかわからなくて不安な中、信頼のできる先生にこのように相談させていただける場所があることに深く感謝いたします。
セカンドオピニオンを受ける時間や気持ちの余裕のない中、田澤先生のご回答が私にととってのセカンドオピニオンと思っております。
センチネルリンパ節生検について、再度質問がありますのでよろしくお願いします。
先日のご回答で、センチネルリンパ節は1個取れば十分とありましたが、取ったリンパ節に転移がなくても、他のセンチネルリンパ節に転移があることはないのでしょうか?
また、手術する病院はこの地域では一番大きな病院なのですが、迅速診断はしないような説明でしたが、考えられる理由はありますか?
センチネルに1から2個転移があっても再手術はせず、放射線治療で対応するというのは問題ないですか?
また、精度の高いセンチネルリンパ節生検とは、どのようなものになりますか?
たくさん質問をしてすみません。よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 術前診断で「非浸潤癌」で手術待ちですね。

回答

「センチネルリンパ節は1個取れば十分とありましたが、取ったリンパ節に転移がなくても、他のセンチネルリンパ節に転移があることはないのでしょうか?」
⇒ありません。
 正確な「センチネルリンパ節生検」を行えば、そのような事はありません。
 
「この地域では一番大きな病院なのですが、迅速診断はしないような説明でしたが、考えられる理由はありますか?」
⇒「病理医が常勤でない」か「病理医の協力が得られない」かもしれません。
 病理医側の事情でしょう。
 
「センチネルに1から2個転移があっても再手術はせず、放射線治療で対応するというのは問題ないですか?」
⇒私は「術中迅速診断」するべきだと思っているので「再手術も放射線照射も両方反対」です。
 
「精度の高いセンチネルリンパ節生検とは、どのようなものになりますか?」

⇒2つの面があります。
①センチネルリンパ節を外さない(間違わない)
 本物のセンチネルリンパ節を見つけられずに、別のリンパ節を「センチネルリンパ節として摘出」するような手術が散見されます。
②余計なリンパ管を損傷しない
 「周りのリンパ管を損傷せずに」センチネルリンパ節を取る。
 
 

 

質問者様から 【感想5】

先日も質問に丁寧にお答えいただき、ありがとうございました。
先日無事に手術が終わりました。
やはり、センチネルリンパ節の術中診断はして頂けなかったので、結果が出るまで不安ですが…。
センチネルリンパ節は4つ取ったそうですが、今のところ痺れや痛みがないのが救いです。
病理結果が出ましたらまた治療についてご質問させて頂きたいので、よろしくお願いいたします。