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ルミナールBの抗がん剤について

[管理番号:735]
性別:女性
年齢:39歳
6月に左胸全摘手術をしました。センチネルリンパ節生検で陰性でした。
病理結果は、
浸潤径2.8センチ 波及度f、ly1,v0,EIC(-)
線維化を背景に小胞巣状に浸潤増殖する異型上皮を認めます。
主病変の周囲には非連続性に0.5㎝までの病変を数カ所認めます。
センチネルリンパ節周囲組織に腫瘍の進展を認めません。グレードⅡ
ER90 PGR70 HER2 score0 KI67 19.6%
でした。
担当医は抗がん剤はしなくてもいいと思いますが、どうしますか。
との事で、説明を聞いて抗がん剤はしない事に決めました。
今後はタモキシフェン を5年。(10年に変更ありかも)
ゾラデックスを2年間。
大きい検査を年に1回
です。 ルミナールBで抗がん剤なしなのが、気になりますが、セカンドオピニオンをする気力がありません。
一般的な治療でしょうか。教えてください。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 そもそも「質問者がルミナールBなのか?」それが問題です。

回答

「ER90 PGR70 HER2 score0 KI67 19.6%」
⇒これはルミナールAです。
 今時「Ki67の閫値に14%を用いている」のでしょうか?
 (Ki67の概念がでてきた当初は14%以上をルミナールBと言っていました)
 しかし、現在では最低でも「20以上」、私の考えでは「25以上」がルミナールBとすべきだと思います。
 根拠としてはSt.Gallen 2015のvotingでは「20~30が境界」としているのです。
 
「担当医は抗がん剤はしなくてもいいと思いますが、どうしますか。」
⇒担当医の言う通り「抗がん剤は不要」です。
 そもそも「ルミナールA」なのですから…
 
「一般的な治療でしょうか。教えてください。」
⇒一般的な治療と言えます。
 但し、厳密に言うと「LH-RHagonist(ゾラデックス)」は「35歳以下」もしくは「化学療法を行ったハイリスク群」で有効(SOFT試験)なので
 私であれば「39歳である質問者」には『タモキシフェン単剤』とします。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

しかし、現在では最低でも「20以上」、私の考えでは「25以上」がルミナールBとすべきだと思います。
根拠としてはSt.Gallen 2015のvotingでは「20~30が境界」としているのです。
と説明されています.
私の場合 18で抗癌剤を勧められましたので受けました.
心配になり,主治医に確認したら.「誰がそんなことを言っているんだ,馬鹿か!,ザンクト・ガレンでは各病院での平均をちゃんと取って,それで平均が20ぐらいだったら,10以下がAで30以上ぐらいがBだと10-30は中間ゾーンと決まったんだ」と怒られました. どっちが本当なんですか?
それと35歳以下か抗癌剤した人しかゾラデックスが効かないと書かれていますけど,それも本当ですか? 私は抗癌剤したんですけど生理戻ってます.本当にゾラデックスを打たなくてもよかったんですか?
先生毎で意見が違うと困ってしまいます
 

田澤先生から 【回答2】

 「Ki67」についてはSt.Gallenを「しっかり読めば」私の言っている事がわかります。
 Votingでは「luminal Bとする最低値はどのあたりか?」と聞いています。
 そこで「20-29」を選んだ人が「20以下」を選択した人よりも3倍も多いのです。
 ただ、最終的に「施設によってバラつきがあって」カットオフ値を決めることが無理なので、「担当医のいうような」妥協案となっているのです。
 ○つまり「担当医の言っている事は、あくまでも妥協案」であり、専門家の多数派の意見として「20-30の間がluminal Bを設定する値」なのです。
「35歳以下か抗癌剤した人しかゾラデックスが効かないと書かれています」
⇒SOFT試験を読んでもらえば正しい事がわかります。
 
○「私の言う事を疑う」場合には、無理して「このサイト」を見なくても結構です。
江戸川病院 田澤
 
 

 

質問者様から 【質問3】

先生お忙しい中、回答をいただきありがとうございます。回答を読んで主人と安堵しました。担当医に、「私はどうしてルミナールAではないのか」訪ねたところ、やはりKI67の数値、と言われました。その時に、病院により値の出し方も差があるし、境界線も毎年変わるので・・・。と言われました。
ゾラデックスは先週1回目の注射を受けたのでこのまま継続しようと思います。
やはり、担当医を信頼してるものの、本当にセカンドオピニオンしなくていいのか。化学療法しなくて再発しないのか。など、不安でいっぱいだったので、先生の回答でこれから前向きに治療していけます。
いろいろな資料に、術後の体重増加は再発リスクが上がる、と書かれているので、元々体重オーバーなのもあり、今週からスポーツクラブに行き始めました。センチネルをしてるので、あまり術側には負荷をかけないほうがいいのでしょうか。
あと、風邪をひいた場合は市販の薬などは飲まないほうがいいのでしょうか。
前回の診察できちんときけばよかったのですが、後から聞きたい事が出てきてしまいます。次回診察が3ヶ月後なので、先生に教えていただきたく、再質問いたしました。
お忙しいところ申し訳ありませんがよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
「センチネルをしてるので、あまり術側には負荷をかけないほうがいいのでしょうか。」
⇒センチネルリンパ節生検は「高い精度」で行えば、制限を設ける必要はありません。
 私は「制限不要」としています。
 
「風邪をひいた場合は市販の薬などは飲まないほうがいいのでしょうか」
⇒構いません。
 「風邪をひいたら」風邪薬、「胃が痛い時には」胃薬 特に問題はありません。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

以前735で質問させていただきました。
10月、3ヶ月ぶりにタモキシフェンの処方と注射のために受診しました。
担当医と副作用はあるか、世間話などをして、傷跡を見て診察終了でした。
(血液検査はしました)ネットを見ると、3ヶ月ごとや6ヶ月でエコーで検診を受けてる方が多く、担当医に尋ねると、「〇〇さんの場合は1
年に一回で充分。」と言われました。
ネットの事も話すと、「無駄な検査が多い」と。
「もちろん自己検診で違和感があればすぐにみせてね」ともいわれたのですが、1年の間に再発したら?不安で仕方ありません。
田澤先生のご意見を伺いたく投稿いたしました。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「1年の間に再発したら?不安で仕方ありません。田澤先生のご意見を伺いたく投稿いたしました」
⇒局所再発は、そう簡単に「しかも術後短期間では」起こりません。
 ただ問題なのは「対側を含めた、新病変のチェック」です。
 (薬のためとはいえ、3カ月に1回通院しているのに)「ご本人が自覚してから新たな病変が解った」では情けないと思います。
 頻繁の通院なのだから「可能な限り、早期発見してあげるべき」なのです。