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ルミナールA浸潤径7cmの術後療法について

[管理番号:2986]
性別:女性
年齢:43歳
乳がんと診断されてから、こちらのサイトでたくさんの勉強をさせていただいています。
4月に右乳房全摘手術を受け、病理結果は以下の通りです。
硬がん
ステージ ⅡB
腫瘍径=浸潤径 7.0cm×6.1cm
センチネルリンパ節 転移なし
血管侵襲(+)、リンパ管侵襲(+)
波及度 f
核異型度 1
組織学的異型度 1
ER 陽性(約95%)、PgR 陽性(約95%)
HER2 1+
Ki-67 5%(マンモトーム生検での結果は約20%)
断端 陰性
術後補助療法は、閉経前のためタモキシフェン10年のみとなっています。
そこで、LH-RHagonist併用について田澤先生に質問です。
別の質問者(ステージⅡA、pT2(29mm)、pN0、ly0、v0、
ルミナールA)に対し、先生は微妙なラインだと回答されていました。
[管理番号2845 ASCOガイドライン2016の改定内容について
私は腫瘍径が相当大きく、脈管侵襲もあるので、当然併用すべきでしょうか?
腫瘍径については、嚢胞が含まれているのではと主治医は術前に思ったそうですが、全て浸潤がんだったとのことで、これだけ大きな浸潤がんでありながら、腋窩リンパ節に転移していないということはあり得るのでしょうか?
腫瘍径4.8cmという別の質問者に対して、
先生は「そんなに珍しい事ではありません」と回答されていますが・・・[管理番号1197 浸潤性小葉がんの術後治療と予後について
センチネルリンパ節への転移はなくても、その先のリンパ節にスキップ転移してしまうこともあるという記事を読みました。
全摘であっても、放射線照射をした方が良いのでしょうか?
再発率についてもお教えください。
最後に、これまでの経緯を書き連ねさせていただきます。
無駄な内容が多いことは重々承知していますが・・・
33歳の時(10年前)、右胸乳頭から血性分泌あり(下着に付着して気付く)→乳腺クリニックでエコー検査するも異常なし
34~36歳の2年間、不妊治療
37歳で出産、1年半授乳
39歳から二人目の不妊治療(1年半で治療断念)
2年前(41歳の時)、市の乳がん検診(視触診とマンモグラフィ検査)で異常なし
1年半前、右胸にしこりを感じ、しこりをいじると乳頭から血性分泌あり
→乳がん検診を掲げる婦人科クリニックを受診、エコーでしこりは2cmくらいと言われる。
分泌液の細胞診検査の結果は、CLASSⅢa。
所見は「過形成状態の乳管上皮細胞が見られる。
核は肥大していますが、異型は乏しい。
良性の乳管上皮と類推されます。
細胞数が限られ、病変の全体像を推定することは難しい。」
今であれば、すぐに専門医による針生検を受けるべきだと分かりますが、半年前の乳がん検診で異常がなかったことと、この時の婦人科医が大丈夫そうですねとおっしゃったので、楽観的な私は心配をやめてしまいました。
ちなみに、2年前のマンモグラフィ画像を取り寄せ、今の主治医に見てもらったところ、乳腺密度が高く、何も確認できないと言われました。
そして、昨年末にしこりが大きくなっており、皮膚の小さなくぼみにも気付いたので、慌てて乳腺外科を受診し、2月に乳がんと診断されました。
せっかく大人しそうながん細胞であったのに、ここまでステージを上げてしまった自分の無知と不用心さを本当に情けなく思います。
質問が長文となり、ご迷惑をお掛けしますが、田澤先生、宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT3(7cm), pN0, luminalA, NG1
「私は腫瘍径が相当大きく、脈管侵襲もあるので、当然併用すべきでしょうか」
⇒これについてはASCOのガイドラインでも明確にはしていないところです。(浸潤径○cm以上などの基準はないのです)
 ただし、私は(新しいガイドラインの解釈としては)やるべきと思います。
 
「センチネルリンパ節への転移はなくても、その先のリンパ節にスキップ転移してしまうこともあるという記事を読みました」
⇒物事には必ず例外があります。
 気にする必要はありません。(実際は殆どありません)
 
「全摘であっても、放射線照射をした方が良いのでしょうか?」
⇒St. Gallen2015のvotingでは「腫瘍径5cm以上では90%が乳房切除術後照射を支持」していますが…
 担当医の言う様に、「嚢胞が含まれている」というような状況のようなので一概には言えないと思います。
 
「再発率についてもお教えください。」
⇒ホルモン療法をすることで22%になります。
 ただ実際には「嚢胞を含むような浸潤径」なので、もう少し低いのではないかと想像します。