[管理番号:6469]
性別:女性
年齢:40歳
(関西)市在住
5月中旬 右胸しこりみつけ乳腺外科受診
細胞診クラス5の悪性 しこりは三つ有り おそらく同じ乳管内とのこと
組織診 粘液がん ホルモン受容陽性
HER2陰性 Ki67 11%
ルミナルA
現時点電話で先生から教えて頂きました。
しこりが胸骨の近くにあるため内胸リンパ節転移が心配です。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
質問内容が不明ですが、『しこりが胸骨の近くにあるため内胸リンパ節転移が心配』ということでしょうか?
⇒エコーすれば解ることです。
担当医に聞いてみましょう。
質問者様から 【質問2 胸骨近くのしこり】
性別:女性
年齢:40歳
診察と手術でお忙しい中、一回目の質問に
すぐに答えて頂き本当にありがとうございます。
乳癌とわかってから、こちらのサイトだけ
を見て、勉強しながら気持ちを落ち着かせています。
現在CT検査、手術ができる病院に紹介してもらい予約診察日を待っている状態です。
前回の質問が曖昧だったので再度質問させてください。
しこりは胸骨のすぐ近くから乳頭に向かって8㎜、15㎜、8㎜と三つあります。
①この場合、ステージでいうしこりの大きさはどのように判断されるのでしょうか?
1番大きいしこりの大きさになるのですか?
②しこりが複数ある場合は転移の早さなど違ってくるのでしょうか?
しこりが胸骨の近くにある場合、
③しこりを中心に全摘出すると胸骨の皮膚が少ない為経験を積んだ医師でなければ手術は難しいものとなるのでしょうか?
④腋窩リンパ節には転移せず内胸リンパ節のみに転移することもありますか?
内胸リンパ節に転移の場合ステージはあがるのでしょうか?
今後の治療は
全摘出→リンパ節転移3個以下であればホルモン治療のみ
リンパ節転移4個以上であればホルモン治療と抗がん剤治療という認識でいいのでしょうか?
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
メールを読みましたが、まず基本的な考え方
1.局所療法(手術、放射線)
2.全身療法(ホルモン療法、化学療法、分子標的薬「広義の化学療法に入る」)
以上に明確に頭を整理する必要があります。
リンパ節転移は、あくまでも局所因子なので放射線治療の適応に関係(リンパ節転移4個以上なら放射線が必要)
全身療法は、(リンパ節転移とは無関係に)サブタイプでのみ決まるのです。
以上をご理解した上で、以下の回答を読んでください。
「①この場合、ステージでいうしこりの大きさはどのように判断されるのでしょうか?1番大きいしこりの大きさになるのですか?」
⇒その通り。
「②しこりが複数ある場合は転移の早さなど違ってくるのでしょうか?」
「しこりが胸骨の近くにある場合」
⇒無関係。
「③しこりを中心に全摘出すると胸骨の皮膚が少ない為経験を積んだ医師でなければ手術は難しいものとなるのでしょうか?」
⇒難しくはありません。
ただ、皮膚切除は(場合によっては)「正中を超える」必要があるかもしれません。(皮膚に近い場合には腫瘍直上の皮膚も切除した方がいいため)
「④腋窩リンパ節には転移せず内胸リンパ節のみに転移することもありますか?」
⇒位置的に、ありえます。
「内胸リンパ節に転移の場合ステージはあがるのでしょうか?」
⇒胸骨傍リンパ節はcN3bなので、(それだけで)ステージは3Cとなります。(規約上は)
「今後の治療は全摘出→リンパ節転移3個以下であればホルモン治療のみ」
「リンパ節転移4個以上であればホルモン治療と抗がん剤治療という認識でいいのでしょうか?」
⇒全くの誤りです。
冒頭のコメントを読んでご理解いただけましたか?
☆リンパ節転移は「あくまでも、局所因子」なので「放射線照射の適応」と関係します。(リンパ節転移4個以上は放射線照射の適応となります)
抗癌剤の適応は、あくまでも「サブタイプ」なのです。
質問者様から 【質問3 胸骨近くのしこり】
性別:女性
年齢:40歳
こんにちは。
二回目の質問にもすぐに答えて頂き本当にありがとうございます。
本当に先生が心の支えです。
局所治療と全身治療、先生の説明で明確に整理することができました。
リンパ節転移の数によって放射線治療するか否かが決まり、サブタイプによってホルモン治療、抗がん剤治療が決まる(で合ってますか?)
やはり一番の心配はしこりが胸骨近くにあるため胸骨傍リンパ節転移しているのではないかということです。
してるかしていないかでステージが違うので。
①胸骨近くにしこりがある場合、どういうことに気をつけなければならないですか?
(検査、手術、治療など)
②腋窩リンパ節転移してるかどうかは術中センチネルリンパ節生検でわかりますが、
胸骨傍リンパ節転移してるかどうかはエコーのみで確実にわかるのでしょうか?
③胸骨近くにしこりがある場合手術を急ぐ必要はないですか?(しこりの場所的に胸骨傍リンパ節に転移する場合もあるなら、
なるべく早い方が良いのではないか)
診察予約日まで何日かあり、担当主治医とはまだお会いしていませんが、貴重な診察時間を具体的、積極的な話をしたいと思い、田澤先生の正しい知識を持って主治医の先生とお話できれば思っています。
1週間空けずに質問してしまい申し訳ありません。
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「①胸骨近くにしこりがある場合、どういうことに気をつけなければならないですか?(検査、手術、治療など)」
⇒以下の通りです。
検査:胸骨傍リンパ節に所見があるのかどうか?(これは超音波のみで十分)
手術:位置的に乳腺が薄く、皮膚や大胸筋に接し易い⇒(腫瘍の)「真上の皮膚や筋肉も(状況に応じて)合併切除」することで「局所に残さない」という意識を強くもつこと
治療:胸骨傍リンパ節に術後照射すべきか?という一点につきます。「リンパ節転移(腋窩)や皮膚や筋への浸潤があれば(胸骨リンパ節が腫れていなくても)検討すべきです)
「胸骨傍リンパ節転移してるかどうかはエコーのみで確実にわかるのでしょうか?」
⇒その通り。
「③胸骨近くにしこりがある場合手術を急ぐ必要はないですか?」
⇒無関係
物事を一面だけから見るのは慎みましょう。
実際には「胸骨傍リンパ節よりも遠隔転移の方が(当然ながら)重要」なのです。
その意味では、他の部位にある患者さんと条件は変わりません。
質問者様から 【質問4 HER2陽性診断について】
性別:女性
年齢:40歳
こんにちは。
以前の質問ではすぐに回答頂きありがとうございます。
6月末に全摘出し、2週間後の今日病理診断結果がわかりました。
10×6㎜(浸潤径)
10×57㎜(浸潤径+乳管内進展巣)、T2、
LY2、V0、f
ER(+J-score3b),
PgR(+J-score3b)
HER2?2+と判定されます。
DISH法にてさらに検討します。
MIB-1L.I.は目立つ部分で概算ですが約12.0%(n=566)です。
①ステージ1でしょうか?
57㎜という記載があるのでステージ2ではないかと思ったりしています。
術前組織診では
ER100%
PgR40%
HER2/neu陰性(score1+)
Ki67 11.8%
こちらではHER2?2+の場合はFISH法で再度診断するとありますが、担当医はそういう説明はなくルミナルB(HER2陽性)なので、抗がん剤、分子標的薬、ホルモン療法のフルコース治療をするとのことでした。
術前組織診ではルミナルAタイプ、ホルモン療法のみだも思っていたので、フルコース治療の準備がまだできずにいます。
こちらではHER2 2+の場合はFISH法で再度診断するとありますが、
②FISH法とDISH法の違いはなんでしょうか?
③DISH法の場合、HER2陽性となる数値を教えてください。
④FISH法DISH法どちらが信頼できる方法なのでしょうか?
術後病理診断結果には
肉眼的に10×6㎜、8×7㎜等多数の結節性病変を認めるとあります。
⑤多数の結節性病変があるため、HER2陰性陽性の違いがあったりするのでしょうか?
HER2の結果で抗がん剤をするかしないか大きく変わりますが、どんな治療であっても根治を目指す気持ちには変わりないので、
これからも先生の言葉を活力とさせてください!!
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「①ステージ1でしょうか?」
→その通り、重要なのは「浸潤径」なのです。
「担当医はそういう説明はなくルミナルB(HER2陽性)」
→誤り。
HER2 2+はFISHで要確認となります。(今施設ではDISHのようですが)
「②FISH法とDISH法の違いはなんでしょうか?」
→どちらも「HER2遺伝子のコピー数を直接計測する」ISH法(in situ
hybridization)です。
違いはFISHはF(fluorescence)蛍光標識したHER2のDNAプローブを用いて「蛍光シグナル」として描出するのに対してDISHはD(Dual color)2種類の酵素で標識して「通常の光学顕微鏡下で観察」するものです。
つまりHER2遺伝子のコピー数を検出する際に用いる標識の仕方なのです。
♯FISH方は染色「手順が煩雑」で(光学顕微鏡で見れないため)「病理組織と対比できない」などがあるが、現在最も一般的に用いられている。
「③DISH法の場合、HER2陽性となる数値を教えてください。」
→同じISH法なので同じです。
「④FISH法DISH法どちらが信頼できる方法なのでしょうか?」
→変わりません。
「⑤多数の結節性病変があるため、HER2陰性陽性の違いがあったりするのでしょうか?」
→ありません。