Site Overlay

境界悪性葉状腫瘍の追加手術について

[管理番号:5679]
性別:女性
年齢:48歳
田澤先生、はじめまして。
葉状腫瘍を患ってから、よくこちらを参考にさせていただいております。
海外在住で、7年前に左胸の下側の小さな線維腺腫の摘出手術をしています。
そして今年、そこから1、2センチ離れた左胸の左側に3 x 2.4センチの境界悪性の葉状腫瘍がみつかり、8月に摘出手術を受けました。
(切除部分の大きさは3.5 x 3.5 x 3 センチです。)
組織診断では悪性の可能性が大と言われていましたが、摘出後の病理検査の結果は境界悪性とのことでした。
理由は、細胞密度増、細胞異形や大小不同が見られ、KI-67 50%、増殖の多いところでは分裂像が最大で40/10HPFもあったそうですが、腫瘍の境界が極めて明瞭で腫瘍辺縁での浸潤が見られないため、境界悪性となったようです。
ただ、マージンを1センチは取ると手術前に言われていましたが、実際には十分なマージンが取られていないところもあり、追加手術をすることになりました。
胸が小さく、腫瘍は皮膚と大胸筋にかなり近接していました。
(写真ではほとんど癒着しているように見えました。)
そこで質問なのですが、境界悪性の場合、皮膚は取らなくてもいいのでしょうか。
担当の医師に尋ねたところ、境界悪性以上の葉状腫瘍の患者は手術したことがなく、皮膚を取る必要があるのかわからないと言われましたが、
追加手術をする以上、最大限の注意を払うため、皮膚も取って欲しいとお願いしました。
田澤先生の管理番号4695と5246の質問者様への回答として、葉状腫瘍は悪性で無い限り、皮膚も大胸筋も取り除く必要はないとおっしゃっていましたが、私の場合も全く必要ないと思われますか?
また、摘出手術から3ヶ月以上経っていますが、皮膚も含めたマージンの部分がどこに位置するか、正確にわかるのでしょうか。
・4695「葉状腫瘍について
・5246「境界型葉状腫瘍について
次回の追加手術は11月中旬なので、お忙しいところ大変恐縮ですが、ご回答いただけると大変ありがたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
葉状腫瘍でありながら「皮膚所見(皮膚への浸潤を疑う)」を認めていれば、(それだけで)悪性葉状腫瘍と判断することになります。
逆に言えば…
「境界悪性」であれば、皮膚も大胸筋も心配ありません。
「そこで質問なのですが、境界悪性の場合、皮膚は取らなくてもいいのでしょうか。」
⇒不要です。
「葉状腫瘍は悪性で無い限り、皮膚も大胸筋も取り除く必要はないとおっしゃっていましたが、私の場合も全く必要ないと思われますか?」
⇒その通り、不要です。
「また、摘出手術から3ヶ月以上経っていますが、皮膚も含めたマージンの部分がどこに位置するか、正確にわかるのでしょうか。」
⇒正確には解り様がありません。
 あくまでも摘出部にできた「瘢痕」をマージンをつけて摘出することになります。
 
 

 

質問者様から 【感想2】

境界悪性葉状腫瘍の追加手術について
性別:女性
年齢:48歳
質問ではありません。
今回の明解なご回答、本当にありがとうございました。
担当の医者に聞けず、不安に思っている患者がたくさんいる中、丁寧に質問に答えてくださる田澤先生は本当に素晴らしいお医者様だと思います。
管理番号868の質問者様への回答を読み、田澤先生の想像以上のご苦労がよくわかりました。
御自身のお体にも気をつけて、これからも私たち患者の味方でいてください。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

境界悪性葉状腫瘍の追加手術について
性別:女性
年齢:48歳
お忙しいところ、大変申し訳ありません。
境界悪性葉状腫瘍の皮膚切除について質問させていただいたものですが、葉状腫瘍についてのQ&Aを読み返していましたら、また疑問がでてきましたので、再度質問させていただいてもよろしいでしょうか。
4718と5621の質問者様への回答として、根治性を重視するなら、傍乳輪切除では困難であり、腫瘍直上の切開をするべきであると仰っていましたが、私の初回の手術も、組織診断では悪性の可能性が大だと言われていながらも、傍乳輪切除による手術で、追加手術も担当の医師の話では、傍乳輪切除による手術になるようです。
・4718マージンなしで切除した良性葉状腫瘍の追加手術について
・5621葉状腫瘍の再発?
境界悪性以上の葉状腫瘍の患者を見たことがないと言われていましたので、根治性を重視した手術になるかとても不安になってきました。
腫瘍の大きさは2、3センチで、位置は乳輪から1,5センチほど離れたD域で、境界は明瞭でしたが、皮膚と大胸筋にほとんど癒着していました。
初回の手術では、乳輪に沿って360度切開した跡があります。
追加手術であることからも、瘢痕上の切開でないと根治のためのマージン切除にはならないでしょうか。
田澤先生でしたら、どのような方法を取られるか知りたく、再度質問させていただきました。
それからもう一つ、無知な質問ではあると思いますが、娘結節は皮膚や大胸筋には存在しないということでしょうか。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「追加手術であることからも、瘢痕上の切開でないと根治のためのマージン切除にはならないでしょうか。」
⇒基本的にはそう思いますが
 ただ「乳輪から1,5センチほど離れた」と、かなり乳輪に近いので、傍乳輪切開を選択する気持ちも解ります。
 きちんとした視野が取れるのであれば問題ありません。
「田澤先生でしたら、どのような方法を取られるか知りたく、再度質問させていただきました。」
上記にあるように…
部位的には傍乳輪切開とするかもしれません。
ただし、再手術なのだから「最優先にすべきは何か?」患者さんと話し合うべきでしょう。
「それからもう一つ、無知な質問ではあると思いますが、娘結節は皮膚や大胸筋には存在しないということでしょうか。」
⇒その通りです。