Site Overlay

胸壁転移について

[管理番号:7832]
性別:女性
年齢:42歳
病名:転移性胸壁腫瘍
症状:

田澤先生

お世話になります。

よろしくお願いいたします。

【経過】
2009年 31歳
右乳がんステージⅡa
右乳房温存術
腫瘍径 2.5cm
センチネルリンパ節生検 0/3個
充実腺管癌
核異型度 3
トリプルネガティブ
FEC×4、DTX×4、 RT×25

2017年 39歳
左乳がんステージⅠ
左乳房温存術
腫瘍径 2.0cm(内側中部)
腋窩リンパ節郭清 0/12個
充実腺管癌
核異型度 3
トリプルネガティブ
ki-67 99%
PTX×12、CAP×8、RT×25
※腋窩リンパ節は転移の疑いがあったため郭清しました。

※保険適用外のゼローダを使用しました。

2019年 42歳
転移性胸壁腫瘍(胸骨左縁)、胸骨傍リンパ節転移の疑い、乳がん術後
再発
胸壁腫瘍切除(胸骨、鎖骨、第1~3肋骨合併切除)、胸壁再建
腫瘍径 3.7cm
病理検査待ち
BRCA検査待ち
遺伝子パネル検査予定
※胸壁の他に転移はなく年齢も考慮して手術可能となりました。

【質問】
①左乳がん原発時に既に胸骨傍リンパ節に転移しており、抗がん剤終了後に放射線を照射していない箇所の腫瘍が肥大したという認識で問題ないでしょうか。

②左乳がん原発時と再発時に胸骨傍リンパ節に腫れはありませんでした。
ステージ1で胸骨傍リンパ節に腫れがなくても胸骨左縁に転移することがあるのでしょうか。
担当医は再発箇所も手術可能な事も稀と言われてましたが、やはり稀なのでしょうか。

③局所再発に近い遠隔転移とういう認識で問題ないでしょうか。
遠隔転移の場合、ステージ4でしょうか。

④CTの画像診断では腫瘍径は2.7cmでしたが、2週間後の胸部MRIでは3.7cmでした。
再発時の腫瘍径と成長スピードは予後に関係ありますか。

⑤今後の治療について、病理検査の結果にもよりますが、担当医は「理論上、癌は残っておらず、一通りの抗がん剤は実施済みのため無治療も一つの手」だと言われました。

田澤先生はどの様な治療を選択されますでしょうか。

⑥根治の可能性もありますか。
再発率はどの程度でしょうか。

⑦今後の経過観察は、どの程度の頻度と内容で行うべきでしょうか。

まだ病理検査待ちの状態で多数の質問をして申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「①左乳がん原発時に既に胸骨傍リンパ節に転移しており、抗がん剤終了後に放射線を照射していない箇所の腫瘍が肥大したという認識で問題ないでしょうか。」
⇒PS再発(照射野から外れた部位もしくは当たっていたが抑えきれなかった)です。

「ステージ1で胸骨傍リンパ節に腫れがなくても胸骨左縁に転移することがあるのでしょうか。」
⇒腫瘍の部位が内側だと(近いしリンパの流れからも)「ありえる」ことです。

「担当医は再発箇所も手術可能な事も稀と言われてましたが、やはり稀なのでしょうか。」
⇒PS転移自体は、それほど稀ではありません。(手術は通常行いませんが)

「③局所再発に近い遠隔転移とういう認識で問題ないでしょうか。」
⇒PS転移は局所再発です。(遠隔転移ではありません)

「遠隔転移の場合、ステージ4でしょうか。」
⇒違います。
 PSはpN3bとなりステージは3Cとなります。

「再発時の腫瘍径と成長スピードは予後に関係ありますか。」
⇒それは解りません。

「田澤先生はどの様な治療を選択されますでしょうか。」
⇒転移再発トリプルネガティブでのatezolizumabが適応承認され、いよいよ11月から(肺がんでの1200mgではなく)乳癌で使用できる840mgが発売されます。

 PD-L1は調べるべきでしょう。

 ★またeribulinとbevacizumab未使用なので、(積極的なら)検討すべきでしょう。

「⑥根治の可能性もありますか。」
⇒あります。

「再発率はどの程度でしょうか。」
⇒これは解りません。

「⑦今後の経過観察は、どの程度の頻度と内容で行うべきでしょうか。」
⇒3か月に1回の診察、腫瘍マーカーと半年に1回のCT、骨シンチ(当面は)