[管理番号:1483]
性別:女性
年齢:43歳
ネットで検索していて、こちらを見つけ私も先生のご意見を伺いたく思いメールさせていただきます。
2012年5月次男を出産後、数ヶ月あたりから右乳頭の下辺りにしこりがあり、授乳中だったので母乳がたまっているだろうと、そこを押して吸わせたり産院の助産師さんにマッサージをしてもらったりしていましたが、しこりはずっとありました。
2013年11月、そのしこり部分が青アザのすような色になり、助産師さんの助言で婦人科へ。
乳腺炎と思われるので近くの外科を紹介してもらい、1センチほど切開し、ストローのようなものをさして毎日消毒に通いました。
一般的な乳腺炎なら、膿がどっと出てすぐ治るとのことなのに、私は膿はあまり出ず、汁のようなものが出るだけで1ヵ月通っても変わりませんでした。分泌物や血液検査では一般的な菌が出ただけでした。
変わらないので、乳腺専門クリニックへ行ってみましたが、同じような治療でした。しこりがあるので、そこを3箇所針を刺して検査もしましたが癌は出ませんでした。
通っているうちに、傷口がえぐれたように広がってきて、肉芽種性乳腺炎かもしれないとなり、傷口を洗いガーゼを当てる日々を送りました。4か月程過ぎたころ医師からこの傷を閉じても違う所が爆発する可能性が多いので皮下乳腺全摘手術しますか?と提案されました。
半年ほど傷口を洗いガーゼを当てる日々を送っていたので、迷いはありましたが、これでスッキリするならと2014年5月に手術を受けました。
お乳が炎症してたので脇のリンパも大きく(卵くらい)腫れていたので念のため検査とじゃまなので乳腺と脇のリンパを取り、それを検査したら癌が見つかりました。
はっきりしたしこりの大きさは分からなかったのか伝えられずステージは2と3の間、トリプルネガティブと。
7月から9月までパクリ+アバスチンを3クール受けました。当時は抗がん剤が毒としか思えず、体に見える癌もなかったので、その後病院に行くのをやめてしまいました。
2015年2月脇のリンパが腫れてきて、同じクリニックへ。いい機会?と思い転院し抗がん剤を受けることに。
3月にCEF1回目を受けたあと、10日程40度程の熱が続き、ポートを埋めた所も化膿し抜きました。
そのあとは、7割~8割に減薬しCEF8クール受けました。CEFの間は脇の腫れは分からないくらいに小さくなっていたのですが、9月24日からハラヴェンにしてから、また脇が腫れてきており、大きくなりかたも早くて怖くなっています。
今の主治医は、私の癌は薬にもよく反応するけど勢いがあるので今は薬でコントロールするのがいいとのこと。私としては手術で取れるなら取りたいと相談したのですが、今触ると刺激で広がる可能性があるのでやめた方がよいとのこと。
抗がん剤が効いて、おとなしくなれば手術の必要もなくなるとのことなのですが、先生のご意見はいかがでしょうか?
子どもが5歳と3歳。
孫の顔が見たいとおもって治る気マンマンなのですが、やはり気分の上がり下がりがあり、モンモンとするときもありす。
そんなときにこちらを見つけました。
前向きな見解の先生のご意見をヨロシクお願いいたします。
長文スミマセン。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
このメールを読んで絶句しました。
質問者は何も悪くないのに、改めて「初期治療の重要性」を感じました。
「正しい診療を受けていたら…」という念に堪えません。
○癌の診断もないのに「皮下乳腺全摘」をするという事に、まずは驚きましたが、
結局「癌だった」ということに2重に驚きました。
まず指摘したい事は
今回の手術では「腫れたリンパ節だけを摘出している」ようです。
本来「癌と言う診断がついた」時点で「腋窩郭清の追加手術」を行うべきです。問
題点①(もしかして、担当医からは提案されたけれど、ご本人が拒否した可能性もあ
りますが…)
腋窩郭清せずに、(本来、術後抗がん剤としての適応が無い薬剤である)アバスチ
ンを投与しているところが、問題点②です。
「私としては手術で取れるなら取りたい。」「抗がん剤が効いて、おとなしくなれば
手術の必要もなくなるとのことなのですが、先生のご意見はいかがでしょうか?」
⇒抗がん剤は「いつまでも効く」わけではありません。
私は実際に診察している訳ではありませんが、ポイントがいくつかあります。
①遠隔転移が無い(少なくとも、このメールには記載がありません)
②腋窩再発といっても、そもそも「手術時に、きちんとした郭清はしていない(癌
としての手術では、そもそも無かったので腫れたリンパ節だけを摘出している)」
つまり、「局所再発」というよりも「最初から、取り残し」と言える。
③腋窩リンパ節転移の程度 これが一番の問題です。 手術で摘出できる状況なの
か?(腋窩静脈との関係が最も大事です)、また鎖骨上や縦隔リンパ節はどうなので
しょう?
これらの問題がクリアーできれば、「再発というよりも、そもそも取り残し」として腋窩郭清すべきです。
質問者様から 【質問2】
田澤先生、早速のご回答ありがとうございました。
私も「再発」と言われてますが、元々あったのでは?と思い、
初期治療の、術前抗がん剤のつもりで臨んでいます。
やはりガンではないのに、全摘するのはあまりないことなのですね。
結局ガンがあったので、よしと思うことにしています。
仕方なしですが・・・
去年の手術では先生のおっしゃる通り、腫れていたリンパだけ摘出しました。ガンが分かってからエコー、CT(MRIだったかもしれません)、骨シンチで遠隔転移はなく、ただ鎖骨のリンパも腫れていると言われ、追加手術で郭清もできるけど、鎖骨のところは手術では取れないので、まずは抗がん剤を薦められました。アバスチンは適応外だったのですね。
先月CTを撮った結果、遠隔転移はありませんでした。
気になっている鎖骨リンパなのですが、そのCTでは腫れているとか特に異常はありませんでした。(抗がん剤で小さくなったのでしょうか?)
脇のリンパの転移の状況は詳しくは分かりませんが、「右腋かリンパ節および皮下再発、右鎖骨上リンパ節転移」と書かれています。
今、腋の下が卵くらいに腫れていて、ジーンと痛いときがあります。
そんなとき、増殖してるのでは?とか不安になりますが、逆に薬が効いている証拠かもとも思っています。
手を普通に下ろしているとあたるので気になります。
静脈と関係なく、今の腫れが小さくなれば手術できるのでしょうか?
また、どのような状況なら手術不能なのでしょうか?
腫れの大きさ、その下の固い部分の大きさ、鎖骨リンパの状況でしょうか?
手術で取れるなら、とってしまいたい!切って終わりにしたい!
って思いますが、まだまだ長くかかるとハラくくるべきでしょうか?
たびたびすみませんが、宜しくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
このメール内容を見て
「追加手術で郭清もできるけど、鎖骨のところは手術では取れないので、まずは抗がん剤を薦められました」
という点に注目しました。
私であれば、「追加郭清」をして、「鎖骨上リンパ節は照射(当院であればトモセ
ラピー)」していたでしょう。
無闇と「化学療法を選択」してしまうと(効いているうちはいいですが、効かなくなると手術の時期を逸する」可能性があるのです。(一般的な術前化学療法と考え方は一緒です)
回答
「右腋かリンパ節および皮下再発、右鎖骨上リンパ節転移」
⇒この「皮下再発」という記載が意味不明です。
「腋窩部」なのでしょうか?それとも(乳腺切除部の)「胸壁の皮下」なのでしょうか?
大事なところは、「鎖骨上リンパ節」は術後照射でもいいわけですが、「腋窩など手術で取れるものは取れる状況か?」と言う点です。
「静脈と関係なく、今の腫れが小さくなれば手術できるのでしょうか?」
⇒「リンパ節の大きさ」は問題ではありません。
重要なところは「腋窩静脈とくっついているか?(直接浸潤は無い筈です) 手術
で外せるか?」という点です。
「腋窩静脈から外せれば」手術可能です。
「どのような状況なら手術不能なのでしょうか?」「腫れの大きさ、その下の固い部分の大きさ、鎖骨リンパの状況でしょうか?」
⇒「腋窩静脈」との関係です。
「腫れの大きさ」は無関係です。
また、「鎖骨上リンパ節」は手術とは関係ありません。
この部位は「放射線照射の適応」となります。
腋窩静脈から外せない場合は「手術不能」と言えます。
「手術で取れるなら、とってしまいたい!切って終わりにしたい!って思いますが、まだまだ長くかかるとハラくくるべきでしょうか?」
⇒担当医のやり方を見ていると「手術には積極的ではない」ようです。
一度、担当医に「今なら手術できますか?」と聞いてみましょう。
もしも『鎖骨上リンパ節が…』などと言い出したら、「鎖骨上リンパ節は放射線照
射にしてください」とお願いしてみましょう。