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高齢者の乳癌、治療方法について

[管理番号:8404]
性別:女性
年齢:84歳
病名:右乳房外側硬結腫瘤
症状:皮膚の表面に癌が出てきてしまってます 
投稿日:2020年3月22日

はじめまして、母84歳の治療についての質問をさせて頂きます。

19年12月の初めに検査の結果、乳がんとの結果になりました。

HER2 強陽性(強の意味がわかりませんが)
リンパと肺に遠隔転移あり。

化学療法に関する説明と同意書に書かれている内容は、
診断名:右乳がん
臨床病期:T(4b) N(1) M(1) ステージ(Ⅳ)

現在の治療は、
ホルモン治療:タモキシフェン 12月7日~
化学療法:ハーセプチン パージェタ 20年1月14日~ 現在3回投与
日常の生活は今のところ変わりなく送れてますが、
皮膚表面に出てしまっている癌が、小さくなったり表面が瘡蓋になるという状態には
ならず、分泌液と出血が続いてます。

3回目2月(下旬)日の治療で診てもらった際、症状の変化が無い事と肺転移の心配から抗がん剤を進められました。

心の準備もできてなかったこともあり母は拒否し、
この日はもう一回様子を見ましょうとハーセプチン・パージェタの治療を行いましたが、
3週間後3月(中旬)日、やはり変化はありませんでした。

貧血の数値が5.8と低く、次回の治療のためにもと輸血を行い、
3月(下旬)日からパクリタキセル単剤を3週間続け4週間目はお休みを1タームとしての治療をしていく予定です。

質問としまして、
① 皮膚の表面に出てしまっていることについて、
 母は、最初の検査(細胞診?)で腫れあがり出てきてしまった。

 検査直後はしばらくあざもあり痛く腕も上げられなかったと言ってます。

 時間の問題だったかとは思いますが、検査の後即このような症状になることはあるのでしょうか。

 84歳には見えないくらい元気な母です。
自分の体だからしょうがないと毎日処置はしてますが、辛いと思います、
 元気なうちはいいですが今後のことを考えたら心配です。

 今は痛みは有りませんが、このような状態は悪性度は高いのでしょうか、また少しでも改善できる治療方法はありますか。

② ハーセプチンとパージェタ2回目投与後、手先の感覚がおかしく物を持っているつもりでも落としてしまうことがあります。

 ハーセプチンとパージェタ3回目投与後、膝下に浮腫みがでてきてます。
浮腫みは貧血からと先生はおっしゃってますが、
 ハーセプチンとパージェタの副作用ではないのでしょうか。

③ ハーセプチンとパージェタ3回の治療で効かなかったとの判断ですが、田澤先生も同じ判断になりますか。

 HER2強陽性と聞いてたこともあり、この治療が効いてなかったことがとても残念です。

 また、遠隔転移している肺も同じく効いていないという判断になりますか。

④ 抗がん剤にやはり抵抗があります。
ハーセプチンとパージェタが効いてないとの判断に対して、
 他の分子標的薬で治療できるものはないのでしょうか。

⑤ パクリタキセル単剤について、
 田澤先生がQ&Aでも回答されている「ハーセプチン+パキルタキセル」の組み合わせではないです。

 パクルタキセル単剤でも十分効果は期待できるのでしょうか。

⑥ タモキシフェンもやめることになりました。

 今までやってきた治療をすべて無くすということになります。
良い治療方法と聞いていた事もあり、非常に不安です。

 パクルタキセルの治療は、副作用に耐えられ体力的に続くかも心配です。

 抗がん剤の経過によって、副作用の少ない分子標的薬やホルモン治療に戻ることはあるのでしょうか。

⑦ weekly PTX やエリブリンは、
 高齢者でも耐えられ、副作用と効果のバランスがよいということですが、
 田澤先生も、エリブリンよりweekly PTXの治療を先に優先しますか。

 田澤先生が回答されているQ&Aを拝見させていただいてる限りでは、エリブリンのほうがより副作用が軽いのではと思ってしまってます。

⑧ 腫瘍マーカーについて、
 毎回の血液検査の結果での腫瘍マーカーの項目がいつも検査中のままのため、
 3月(中旬)日の治療の際に先生に聞いたところ、「基準内です」と言われました。

 基準内ということは、今までの治療の効果なのか、
 また、治療前のガンの状態から変化が出てきているのか、基準内の腫瘍マーカーから推測できることはありますか。

⑨ 以上の状態で田澤先生でしたら、どのような治療が最善とお考えになりますでしょうか。

いろいろな質問、申し訳ございません。

どうぞ宜しくお願いいたします。

 

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

腫瘍から出血して貧血となっている(Hb=5.8はかなりの貧血です)ことがネックになるとは思いますが、
本気で治療するなら輸血して抗がん剤を行うしかありません。

「3回目2月(下旬)日の治療で診てもらった際、症状の変化が無い」
⇒抗がん剤併用無の分子標的薬(trastuzumab+pertuzumab)単独で効果が無いのは当たり前。
 「高齢」と「貧血」でやむなく、そのようにした事情も分かりますが、そんな治療では無意味です。

「このような状態は悪性度は高いのでしょうか、」
⇒悪性度云々ではありません。 現時点で進行しているということです。

「また少しでも改善できる治療方法はありますか。」
⇒抗がん剤しかありません。

 paclitaxel併用が最善でしょう。(効果と副作用のバランスより)
 それでも(副作用的に)駄目ならeribulinがあります。

「ハーセプチンとパージェタの副作用ではないのでしょうか。」
⇒違うと思います。

「③ ハーセプチンとパージェタ3回の治療で効かなかったとの判断ですが、田澤先生も同じ判断になりますか。」
⇒その通り。(抗がん剤併用のない)分子標的薬のみでは「効かなくて当然」です。

「 HER2強陽性と聞いてたこともあり、この治療が効いてなかったことがとても残念」
⇒全くの勘違い!
 そもそも、抗HER2療法は「抗がん剤と併用しないと無意味」なのです。

「 また、遠隔転移している肺も同じく効いていないという判断になりますか。」
⇒画像評価していないのですか?
 ただ、主病巣(乳腺)と通常「パラレル」となります。

「④ 抗がん剤にやはり抵抗があります。」
⇒これに抵抗があるようなら…

 治療自体を諦める(緩和医療単独に切り替える)と同義となります。

「ハーセプチンとパージェタが効いてないとの判断に対して、
 他の分子標的薬で治療できるものはないのでしょうか。」

⇒ありません。

「⑤ パクリタキセル単剤について、
 田澤先生がQ&Aでも回答されている「ハーセプチン+パキルタキセル」の組み
合わせではないです。
 パクルタキセル単剤でも十分効果は期待できるのでしょうか。」

⇒paclitaxel単剤でも効果は期待できますが、(当然)trastuzumab+pertuzumab併用すべきでしょう。(もしかして「手先の感覚」とか「浮腫み」の訴えを考慮してなのかもしれませんが)

「パクルタキセルの治療は、副作用に耐えられ体力的に続くかも心配です。」
⇒全く問題ありません。

 ただ回数が増えてくると「痺れ」が出てくるので、あまりに酷いならeribulinへ変更という方法もあります。(eribulinの方が「より」副作用が軽い)

「 抗がん剤の経過によって、副作用の少ない分子標的薬やホルモン治療に戻ることはあるのでしょうか。」
⇒ビジョンをもつことが重要です。

 目標1.病変を十分小さくする(可能なら画像上消失まで)
   これを達成するためには(trastuzumab+pertuzumab併用の上で)抗がん剤が必須となります。

 目標2.(目標1が達成されたら)分子標的薬だけ(trastuzumab+pertuzumab)で維持する
     分子標的薬は(最初に抗がん剤と併用すれば)後に単剤となっても十分な効果が期待できます。

「⑦ weekly PTX やエリブリンは、
 高齢者でも耐えられ、副作用と効果のバランスがよいということですが、
 田澤先生も、エリブリンよりweekly PTXの治療を先に優先しますか。
 田澤先生が回答されているQ&Aを拝見させていただいてる限りでは、エリブリンのほうがより副作用が軽いのではと思ってし 
 まってます。」

⇒確かに、eribulinの方が副作用はより軽いでしょう。
 どうしてもpaclitaxelが合わないなら、当然eribulinへ変更すべきです。
 ただ、薬剤の優先順位からするとtaxane(paclitaxelやdocetaxel)はKey drugとして(eribulinに対して)優位にあるのです。
 だから、(特殊なケースを除いて)最初からeribulinは選択しないのです。

「⑧ 腫瘍マーカーについて、
 毎回の血液検査の結果での腫瘍マーカーの項目がいつも検査中のままのため、
 3月(中旬)日の治療の際に先生に聞いたところ、「基準内です」と言われました。
 基準内ということは、今までの治療の効果なのか、
 また、治療前のガンの状態から変化が出てきているのか、基準内の腫瘍マーカーから推測できることはありますか。」

⇒これも質問者の勘違い。
 遠隔転移があったり局所進行だとしても全員が腫瘍マーカー高値というわけではないのです。
 腫瘍マーカーが(そもそも)高くない乳癌なのだと思います。(そうなると「治療効果判定は肉眼的所見と画像所見だけ」となります。

「⑨ 以上の状態で田澤先生でしたら、どのような治療が最善とお考えになりますでしょうか。」
⇒trastuzumab+pertuzumab+paclitaxel⇒(副作用があわなければ)⇒
trastuzumab+pertuzumab+eribulin⇒(病変が十分改善したら)⇒
trasutuzumab+pertuzumabのみ

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