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抗がん剤を上乗せする効果について

[管理番号:3401]
性別:女性
年齢:51歳
初めまして、よろしくお願い致します。
左右とも浸潤性小葉癌ルミナールAで、左全摘、右乳頭のみ温存で全摘しました。
病理検査の結果は左右ともER70%、PgR90%、HER2陰性です。
グレードと分裂像は左右とも1、核異型は右2左1、
MIB-1右20%左15%、浸潤径右1.5左3.6、リンパ節転移と脈管侵襲は左右なしです。
断端は左陰性、右近接です。
ホルモン治療に加えてACまたはTC療法4クールも選択肢として提示されました。
(そのどちらがいいのかもわかりません)オンコタイプDXをしても中間リスクとなりそうで躊躇します。
化学療法はできれば受けたくないのですが、この結果で、化学療法を上乗せする効果や再発率の減少は大きいでしょうか。
大変迷っております。
アドバイス頂ければと思います。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
Ki67(MIB-1)が20%、15%であれば、どちらも「ルミナールA」として抗ガン剤は不要です。
「オンコタイプDXをしても中間リスクとなりそうで躊躇」
⇒質問者は勘違いしています。
 Oncotype DXでの「中間リスク」では「化学療法の上乗せはない」ことが解ってきています。
 「高リスクのみ」化学療法が必要なのです。
 
「この結果で、化学療法を上乗せする効果や再発率の減少は大きいでしょうか」
⇒現在はNeoAdjuvant.comにアクセスができません。
 ただ今まで使用してきた経験からは…
 「グレード1」と「リンパ節転移なし」を考慮すると、「上乗せはそれ程大きくない(5%程度?)」と思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、お忙しいところ再度の質問すみません。
他の方への回答を含めたいへん勉強になります。
ありがとうございます。
質問があります。
①前回(3401:抗がん剤を上乗せする効果について)「浸潤径右1.5左3.6」とだけ書いて、単位を記載し忘れました。
ミリではなく、センチです。
3.6センチの浸潤径でも、ホルモン療法だけでいいですか?
(T2N0M0と結果レポートに記載されているので、田澤先生の回答を見ている限り化学療法なしで
いいのでしょうが、QAを見ていると浸潤径が3.6センチもある質問者が少ないような気がしてしまって・・・)
乳腺外科の主治医は「浸潤径よりリンパ転移有無のほうが重要。
転移がないので抗がん剤はなくてもいい」と
腫瘍内科医と見解が若干異なっています。
(腫瘍内科医は抗がん剤をやや押してます)
②まだ生理がありますが、周期がどんどん短くなってきていて閉経が近いのかなと思います。
血液データは閉経している人の値に近いようなのですが(具体的に何項目かあげられたのですが
記録し忘れました)、このような状況でホルモン治療をする場合、タモキシフェンから始めて
閉経後アロマターゼ阻害剤へ移行となるのでしょうか?
③手術から3週間以上経ちますが、脇の下の痛みが術後すぐよりひどくなり、手を真上にあげづらくなってきました。
センチネルリンパ節生検だけで、腋窩郭清していないのにこんなに痛くなるのはよくあることでしょうか?
この痛みは個人差あると思いますが、あと1か月もすればふつう収まりますか?
また排液も溜まるととてもいたく、すでに注射で2回抜いてもらっています。
これは注射で抜かない限り
体内に吸収されませんか?溜まらなくなるまであとどのくらいかかるものでしょうか?
異なる種類の質問を立て続けにすみません。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「「浸潤径右1.5左3.6」とだけ書いて、単位を記載し忘れました。ミリではなく、センチです。3.6センチの浸潤径でも、ホルモン療法だけでいいですか?」
⇒当然「cm」だと思っていました。
 もしも「mm」ならば(化学療法どころか)「ホルモン療法もするかどうか?」というレベルとなります。
「このような状況でホルモン治療をする場合、タモキシフェンから始めて閉経後アロマターゼ阻害剤へ移行となるのでしょうか?」
⇒その通りです。
 閉経は「最終月経から1年後」です。
 決して、あせって「アロマターゼ」など用いてはいけません。(月経の再開を促し予後不良要因となります)
「センチネルリンパ節生検だけで、腋窩郭清していないのにこんなに痛くなるのはよくあることでしょうか? この痛みは個人差あると思いますが、あと1か月もすればふつう収まりますか?」
⇒これは純粋に「手術の精度」の問題なので、私にコメントできません。
 担当医に聞いてください。
「注射で抜かない限り体内に吸収されませんか?溜まらなくなるまであとどのくらいかかるものでしょうか?」
⇒センチネルリンパ節生検のみなら通常貯りません。
 担当医に聞いてみましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

管理番号3401で、両側全摘、ルミナールAリンパ転移なしの術後治療について質問した者です。
田澤先生の回答に勇気を頂き、抗がん剤をやらずにホルモン治療(タモキシフェン服用)を開始しております。
本当にありがとうございます。
今回は、【質問2】③の続きで質問があります。
田澤先生に
お聞きすることではないかもしれませんが、
教えていただければと思います。

手術してから2か月近く経ちますが、いまだに右脇下のふくらみが取れません。
リンパ液が溜まってタプタプしている状態は通り過ぎて、硬い綿のような塊が脇の下に挟まっているような感じです。
また鎖骨全体のバリバリと鉄板のような痛みも続いています。
この脇の下の違和感と鎖骨の痛みは日にち薬しかない類でしょうか?
それとも術後の痛みは、やはり整形外科やペインクリニックに行くべきでしょうか?
主治医に聞いても「神経を切ってますから」とにべもなく
「がんを切除したのにそれ以上何か問題ある?これくらい痛いかなあ」と
不機嫌になってしまい、痛みについてはもう質問できない感じです。
前回、田澤先生が回答くださった「精度の問題」で、診察しないと回答しづらいことかもしれませんが・・・・・

右は乳輪乳頭を残して全摘ですが、病理結果で、断端近接、最短距離は記載なし、
断端にかかる腫瘍成分は非浸潤性小葉癌(LCIS)とありました。
主治医は取っても取らなくてもいい、取るのは部分麻酔で簡単と
言いますが、これ以上右腕、右脇の痛みを増やしたくないのが本音です。
田澤先生ならやはり切除を勧めますか?

右腕を上げると未だに痛みがあるのは、センチネルリンパ節を左は1つなのに、右は4つ取ったことと関係ありますか?
先生のコラムを読むと、センチネルリンパ節(品川関所)は1つだけとあるのに、4つ取ったのはどれが品川関所かわかりづらかったから
戸塚など近くの関所も取ったと解釈するのが妥当でしょうか?
(そもそも郭清と、センチネルリンパ節を取ることの違いが余りわかりません。
切除範囲が大きいか小さいかということですか?)
④以上のような状況で、今後現在の主治医に見ていただくことに不安がぬぐえません。
田澤先生に診察していただき、今後の定期検診は先生にかかることは可能でしょうか・・・・・?
(手術を決める前に、このサイトにたどりついていたら・・・・とつくづく悔やまれます。
センチネルリンパ生検だけで郭清していないはずなのに、ドレーンを14日入れていましたので・・・・)
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
一般論でいうと…
センチネルリンパ節生検しかしていないわけなのだから、「早晩、疼痛も緩和されていく」ことと思います。
「この脇の下の違和感と鎖骨の痛みは日にち薬しかない類でしょうか?
 それとも術後の痛みは、やはり整形外科やペインクリニックに行くべきでしょうか?」

⇒術後2カ月であれば…
 (余計な受診などはせず)改善するのを待ってもいいと思います。
「断端近接、断端にかかる腫瘍成分は非浸潤性小葉癌(LCIS) 田澤先生ならやはり切除を勧めますか?」
⇒リスクはありそうですね。
 ただ、乳頭乳輪部は「見える」所なので、注意深く観察していくという方法もあります。
「右腕を上げると未だに痛みがあるのは、センチネルリンパ節を左は1つなのに、右は4つ取ったことと関係ありますか?
先生のコラムを読むと、センチネルリンパ節(品川関所)は1つだけとあるのに、4つ取ったのはどれが品川関所かわかりづらかったから戸塚など近くの関所も取ったと解釈するのが妥当でしょうか?」

⇒その可能性は十分にあります。
「(そもそも郭清と、センチネルリンパ節を取ることの違いが余りわかりません。
切除範囲が大きいか小さいかということですか?)」

⇒「つきつめれば」そういうことです。
 ただし、より正確に言えば「センチネルリンパ節生検は腋窩に入る手前でリンパ管を(色素などで)確認」することで、『周囲の組織を損なうことなく、センチネルリンパ節だけを取る』手技です。
 十分な精度があれば、周辺の「血管や神経、リンパ管」などを損なわないことが可能です。
 それに対し、「腋窩郭清」は「腋窩の部分を塊として切除する」ということです。
 ○イメージとして(天ぷらの)「かき揚げ」です。
   かき揚げの中身として「ごぼうと枝豆とニンジン」があるとします。
    ごぼうは神経、ニンジンは血管、枝豆がリンパ節です。
    これが、腋の下にすっぽり入っていると想像してください。
  その中で「そーと、リンパ管から連続する(一番表面にある)枝豆だけをとるのが「センチネルリンパ節生検」です。
  それに対し、「かき揚げをそっくり取るのが腋窩郭清」なのです。
   ♯腋窩郭清は「枝豆だけを(箸で摘むように)採取する」わけではなく、その「周りの組織ごと」取るのです。(だから、血管やリンパ管、神経などが損傷されるのです。)
「田澤先生に診察していただき、今後の定期検診は先生にかかることは可能でしょうか・・・・・?」
⇒可能です。
 予約を取ってもらえば大丈夫です。