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抗ガン剤使用

[管理番号:5412]
性別:女性
年齢:39歳
サイズ:2.9cm×1.6cm×1.3cm
種類:浸潤性小葉がん
切除断端:陽性(癌が乳腺の内側端にあったため、内側切断面には乳がんを認める)
波及度:脂肪
リンパ菅侵襲:なし
血管侵襲:あり
ER:陽性8
PgR:陽性8
核グレード:2
HER2:+1
リンパ節転移:1/9個
ステージ:2B
Ki-67:20%
はじめまして。
術後の検査で、上記の結果が出ました。
抗ガン剤を使うかどうか微妙なラインなので、医師からは自分で決めて下さいと言われました。
オンコタイプ検査は、高くて難しいのと、これで抗ガン剤不要となったのに1年半後に転移して亡くなった人がいるということで、参考程度にしかならないということなので、オンコタイプ検査はやらない方向で考えています。
この時点で、先生なら抗ガン剤使用を勧められますでしょうか?
使うとしたら、どの抗ガン剤を使用されるでしょうか?
何卒よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
このメール内容を読んで感じた最大の問題点は(質問者を責めている訳では決してありません。明らかにその医師の理解の未熟さが招いていると言えます)
「オンコタイプ検査は、高くて難しいのと、これで抗ガン剤不要となったのに1年半後に転移して亡くなった人がいるということで、参考程度にしかならない」
⇒これを医師が(自分の経験患者さんとして)言っているのだとしたら…
 「あきれて物が言えない」とは、このことです。
 ○冷静に良く考えてください。
  オンコタイプDXの「低リスク」は「絶対に再発しない」という意味ではありません。
   例えば、オンコタイプの低リスクでは「Tam Alone:再発率10%」「Tam +Chemo:再発率11%」などという数字が出てきます。
   つまりこの方は「ホルモン療法単独」でも10%は再発するということです。
(再発しないという意味だと思いますか????)
   
   更に、この方が(ホルモン療法単独で再発した訳ですが)「化学療法をしていれば再発しなかった」ということですか????
   ⇒違います。 この方は化学療法をしていても(ホルモン療法単独と同様に)再発する運命にあったということなのです。
  ★「オンコタイプで抗癌剤が不要となった人が(ホルモン療法単独を選択したら)1年半後に転移した」
   ⇒「低リスクでも数パーセントは再発する」し、それは「抗癌剤を行っておけばよかった」ということにはならないのです。
「この時点で、先生なら抗ガン剤使用を勧められますでしょうか?」
⇒Ki67=20%であれば…
 オンコタイプをやるまでもなく「ルミナールAと判断し、ホルモン療法単独」とします。(腋窩リンパ節は無関係)