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ルミナールAリンパ節転移多数の場合の抗がん剤治療と妊娠出産について

[管理番号:6397]
性別:女性
年齢:29歳
田澤先生、こんにちは。
初めて質問させていただきます。
2018年4月上旬に右乳房全摘出、リンパ節レベル1郭清手術を受けました。
29歳既婚、妊娠出産経験なし。
挙児希望のため、術後2周期にわたり受精卵凍結を行っている最中です。
以下、術後病理診断結果です。
病理診断:Invasive ductal carcinoma of the Rt. Breast, Bt+SN+Ax
組織型:①外側(乳頭腺管癌由来の硬癌)、②乳頭側(乳頭腺管癌)
    Skip invasion(+), 高度リンパ管侵襲(+)、高度リンパ節転移(+)
組織学的大きさ:浸潤巣(①17×15mm, ②13×12mm)、広がり(70×40mm)
脈管侵襲:ly(3)、v(1)
核異型度:NG1 (Nuclear atypia: Score 2, Mitosis: Score 1)
リンパ節転移:陽性、迅速SN(1/1), Level 1(10/12)
ER: Score3b, PgR: Score3b, HER2: Score 1
ki-67標識率: 18.7%
リンパ節転移について、術前のエコーでは腋下所見なし、CT画像では怪しい腫れが1ヶ所見られるが、リンパ節に多数転移している可能性は低い。
術前針生検からルミナールAの可能性が高いとのことで、病理検査と同時にオンコタイプDXをオーダーしました。
(現在結果待ちです。)
しかし、術後の病理診断で一転、リンパ節転移(11/13)がかなりあったことがわかり、今後の治療方針について悩んでおります。
以下3点について、田澤先生のご意見をお聞かせ頂けますでしょうか。
①ルミナールAタイプでも、私のようにリンパ節転移が多数の場合は抗がん剤の適応となると聞いていますが、どの種類の抗がん剤が良いでしょうか。
(現時点での主治医の提案はFEC4~6クール+タキソテール4クールです)
②(“たられば”の質問で大変恐縮ですが)オンコタイプDXの結果、化学療法の上乗せ効果が低いと出た場合でも、リンパ節転移が多数の場合はやはり抗がん剤を検討するべきでしょうか。
③術後補助療法と妊娠出産のタイミングについて、私の状況では、田澤先生はどのようなスケジュールを提案されるでしょうか。
欲張りかもしれませんが、子どもは3人欲しいと考えています。
また、私の場合ホルモン療法10年が妥当と聞いておりますが、10年間の間に妊娠出産を挟み、通算で10年間ホルモン療法を行うことは勧められるでしょうか。
(田澤先生のQ&Aから、妊娠出産はリスクを上げないことを拝見しています。
継続して10年間に比べ、妊娠出産を挟み通算10年の方が、再発・転移を長期にわたり抑制できるのではないでしょうか・・・)
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「①ルミナールAタイプでも、私のようにリンパ節転移が多数の場合は抗がん剤の適応となると聞いていますが、どの種類の抗がん剤が良いでしょうか。」
⇒(現時点での主治医の提案はFEC4~6クール+タキソテール4クールです)でいいでしょう。
 ただFECよりはACもしくはEC4クールとしますが…
「オンコタイプDXの結果、化学療法の上乗せ効果が低いと出た場合でも、リンパ節転移が多数の場合はやはり抗がん剤を検討するべきでしょうか。」
⇒それは、オンコタイプDXに従うべきだと思います。
 このあたりは矛盾を指摘されそうですが、今週末に掲載予定の「今週のコラム133回目」を参照してください。
「③術後補助療法と妊娠出産のタイミングについて、私の状況では、田澤先生はどのようなスケジュールを提案されるでしょうか。」
⇒化学療法⇒妊娠出産⇒ホルモン療法
 2回目の妊娠を考えた際には
 化学療法⇒妊娠出産①⇒ホルモン療法⇒妊娠出産②⇒ホルモン療法(最終的にトータル10年間)
「継続して10年間に比べ、妊娠出産を挟み通算10年の方が、再発・転移を長期にわたり抑制できるのではないでしょうか・・・)」
⇒その可能性はありますが…
 証明する事は困難です。