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抗がん剤治療を受けるか悩んでいます

[管理番号:2775]
性別:女性
年齢:44歳

田澤先生
お世話になります。

手術後の病理結果がそろい、タモキシフェン服用が始まったところです。
放射線治療も来月くらいからを予定しています。
Ki67の数値は(あまりあてにならないとは言われましたが)グレーゾーンだと思うので、抗ガン剤治療をしたほうがよいかどうかが気になります。

主治医が勧める順としては
1.ホルモン剤のみ
2.オンコタイプDXで決める
3.ホルモン剤+抗ガン剤、
ということでした(オンコタイプが高額ではなければ、順番が変わっていたかもしれません)。

私は、できれば抗ガン剤は避けたいという気持ちがありますが、先生はどうお考えになりますでしょうか。
抗ガン剤の上乗せ効果(再発率・生存率)がどのくらいになりそうかも、教えていただけると助かります。

また、オンコタイプDXもやったほうがよいと思われますか(中間リスクとなり、また悩んでしまうだけ!?とも思ったりしています)。
ご意見をいただけるとうれしいです。
どうぞよろしくお願いいたします。

44才女性、生理あり
乳頭線管がん
浸潤がんの大きさ:14×12mm 断端陰性
リンパ節転移:(-)センチネル(0/2)
乳管外脂肪浸潤:f(+)
乳管内病変の程度:(+)
乳管内病変comedo necrosisの有無:(+)
リンパ管侵襲:ly0 静脈侵襲:v0
核異形スコア:(2)核分裂像スコア:(1)
HER2スコア:(1+)
ERスコア:(8)=proportion score(5)+intensity score
(3)
PgRスコア:(8)=proportion score(5)+intensity score
(3)
Ki67 index:20%程度
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

pT1c(14mm), pN0, luminal, NG1
十分な早期癌であり、Ki67=20%程度と言うのは、(グレーゾーンとはいえ)実質luminalAでいいと思います。(核分裂像スコアも1点だし)
私であれば、そもそも「抗がん剤の提示」はしません。
 
「できれば抗ガン剤は避けたいという気持ちがありますが、先生はどうお考えになりますでしょうか。」
⇒抗がん剤は勧めません
 luminalAとして「ホルモン療法単独」とします。
 
「抗ガン剤の上乗せ効果(再発率・生存率)がどのくらいになりそうかも、教えていただけると助かります。」
⇒上乗せ効果は
 「再発率には4%, 生存率には1%」となります。
 
「また、オンコタイプDXもやったほうがよいと思われますか(中間リスクとなり、また悩んでしまうだけ!?とも思ったりしています)。」
⇒私の感覚では「低リスク」となると思います。
 ○やってもいいとは思いますが、もしも「中間リスクなら、やらない」で十分です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
こんにちは

以前質問させていただいた者です。
その際はお忙しい中、すぐに回答を
いただき、また丁寧に教えていただきありがとうございました。
おかげ様で、抗がん剤治療はせず、ホルモン剤治療のみとする決断に勇気が持てました。
(前回の質問・回答は、一応下に貼付させていただきました)

その後、一応オンコタイプDXを受けました。
結果は「22」と中間リスク
に・・・。

ただ、田澤先生のご意見もありましたし、抗がん剤は受けないことにしました。
主治医も特にすすめませんでした。
しかし主治医から、中間リスクと出てしまったし、生理もきちんとあるということで、現在のタモキシフェン単独にリュープリンを加えてホルモン治療を増強させても、という提案がありました。

選択肢としては
①タモキシフェン単独
②タモキシフェン+リュープリン
③アロマシン+リュープリン となります。
先月検診を受けた婦人科でも、生理があるならリュープリンを加えたほうがよいのではないか、と言われたこともあり(婦人科の先生はオンコタイプの結果は知りません)、②か③で行こうかと気持ちが固まりつつありました(②と③は決めがたいのですが・・・。

田澤先生は③は行わないお考えですね?)。
それが、こんなときになって、決まって25日くらいの周期で来ていた生理が(若いころは30日くらいの周期でした)前回から30日経った今、まだ来ていません。
先日父が他界し、強いストレスを受けたことは確かですが、そのせいなのか、タモキシフェンの副作用なのか(考えられますか?)、そもそも年齢的なものなのか???
まだ様子を見たほうがよいかなとは思っていますが、一応来週の診察でどうするか決めることになっているので、少々心が混乱気味です。
生理が順調でなくなった場合は、リュープリンの併用は意味がないでしょうか?でもちゃんと生理が来たとしたら?

先生のご意見を伺えたらうれしいです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

OncotypeDX行ったのですね。
「中間リスクRS22」ならば、化学療法の上乗せは全くありません。(質問者のレポートに、具体的な「上乗せの数字の記載」があるはずですが、1%とかそんなものですよね?)
ホルモン療法単独と言う選択は当然だと思います。

「中間リスクと出てしまったし、生理もきちんとあるということで、現在のタモキシ
フェン単独にリュープリンを加えてホルモン治療を増強させても、という提案」
⇒私であればタモキシフェン単剤です。
 44歳という年齢からもASCO2016ガイドラインからも「ステージ1」である質問者に
「LH-RHagonistを勧める」根拠が見当たりません。
 
「タモキシフェンの副作用なのか(考えられますか?)、そもそも年齢的なものなのか???」
⇒この両方だと思います。
 40代中旬の方ではタモキシフェンをきっかけに月経が止まることがしばしばあります(本来はLH-RHagonistのように、その直接作用は勿論無いのですが…)
 
「生理が順調でなくなった場合は、リュープリンの併用は意味がないでしょうか?
でもちゃんと生理が来たとしたら?先生のご意見を伺えたらうれしいです。」
⇒私はもともと「LH-RHagonistは勧めません」
 しかも、「生理が不順となっているのであれば、尚更」です。

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

アロマターゼ阻害薬服用後の生理再開
性別:女性
年齢:50
病名:乳癌
症状:
投稿日:2021年11月17日

田澤先生、こんにちは
2016年に罹患。
先生には2度も質問に答えてくださり、とても心強かったです。

また、いまも仕事中には、先生がよく言っていた「ものごとはシンプルに考えましょう」という言葉をよく思い起こし、パンパンになった頭を冷静にほぐしています(この呪文?が効果てきめんなんです!)

さて、術後は放射線治療およびタモキシフェン服用となりました(途中、まだ生理があるということで2019年10月から1年間、LH-RHアゴニスト製剤の注射を追加しました)。

そして今年4月にタモキシフェンの5年服用を終え、最終月経から1年7か月経過した5月末よりアロマターゼ阻害薬(アリミデックス)に変更となりました。

ところが変更から5か月後の10月末にまさかの生理復活。
とても驚きました。
そこで主治医に連絡を取り、次の診察(12月末)まで休薬となりました。

アロマターゼ阻害薬への変更時にホルモン値を検査しましたが(それまでは検査はしていません)、FSH:4.54mIU/mL、E2:<5.0Pg/mLという値でした。

質問
① 最終月経から1年半以上経過していましたが、FSHの値が閉経の基準より低値だったことから、まだ閉経していなかったということでしょうか。

それとも生理の再開はあくまでもアロマターゼ阻害薬の副作用(刺激?)でしょうか。

② ぶっちゃけ、アロマターゼ阻害薬の5か月間の服用は、再発予防どころか逆効果だったのでしょうか??
③ 今後はまたタモキシフェン服用に戻ると想像していますが、その後1年生理がなければ再度アロマターゼ阻害薬となるのでしょうか。
それとも血液検査の値も厳密に見るべきでしょうか。

④ アリミデックス休薬後、何か月も続いた軟便の症状がなくなりホッとしています。
いま思えばアリミデックスの副作用だったではないかと・・・。
この症状は別のアロマターゼ阻害薬であれば起こらない可能性はありますでしょうか(いつかまた、アロマターゼ阻害薬に変更した際が心配で)。

⑤ 別件となりますが、ホルモン療法は7年で十分であるという論文が出たという記事を読みました。
先生はどうお考えになりますか。

「URLを削除しました。」

質問攻めで申し訳ありません! よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは田澤です。

最終月経から1年半が過ぎても(実際には)閉経となっていないことは多いです。
特に50歳代前半までは「良くある」話です。

アロマターゼ阻害剤に変更すると、月経再開することも(上記のように)多いので慎重にすべきです。
当然ながら再度、タモキシフェンに戻しましょう。