乳がんは早期発見、早期治療を目指しましょう。乳がん手術は江戸川病院|乳がんプラザ



[管理番号:1048]
性別:女性
年齢:72歳
母が乳癌になってから見させていただいております。
質問させて下さい。
72歳の母が今年6月末に乳がんと告知され、
リンパ、上腕骨に転移、肺にも水が溜まっておりステージⅣで抗ガン剤投与となりました。
ホルモン陰性。ハーツー陽性。
タキソテール、ハーセプチン、バージエタの投与で2クールが終わり今週末に3回目の予定でし。
1回目の後のCT検査で「想定以上に効いています」との事で家族で喜びました。
今週の3クール前にも薬の効果は見てくださってからの投与予定でした。
ところが母は副作用が辛く3剤の投与をやめると言いだしました。
確かに食欲もなく体重も落ち倦怠感も相当で会話もしたがりません。
先生は効果があるからもったいないが、本人が無理だったら薬を変えるしかないとの結論を出されました。確かに白血球の数値もよくないそうです。
しかしハーセプチンとバージエタだけにするのはまだ無理との事でハーセプチンと別の副作用の少ない抗がん剤2剤で行くとのことです。
抗がん剤の名前は分からないのですがタキソテールより副作用が少なくハーセプチンと一緒に投与できるものがあるのでしょうか?
タキソテールの量を減らして3剤と言う訳にはいかないのでしょうか?
例えば新たな抗がん剤とハーセプチンで投与して、何クールか後にハーセプチンとバージエタの2剤にする事は可能でしょうか?
主治医に聞くのが当然なのですが私は関東、母は九州で今すぐ主治医に聞くことができずお忙しい先生に頼ってしまい申し訳ございません。
よろしくお願い申し上げます。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 お母さんが「ステージ4」との事。お気持ちお察しします。
 「HER2陽性の手術不能または再発乳癌」としては最強の治療「pertuzumab(パージェタ)+trastuzumab(ハーセプチン)+docetaxel(タキソテール)
 Pertuzumabもtrastuzumabも「分子標的薬」であり、「HER2受容体をターゲット」としています。
 これに併用する一般的な抗がん剤として「効果が確認されているのがdocetaxel」です。CLEOPATRA試験

回答

「タキソテールより副作用が少なくハーセプチンと一緒に投与できるものがあるのでしょうか?」
⇒あります。
 第1候補はpaclitaxel(PTX)=パクリタキセル=タキソールです。
 Paclitaxelは毎週投与で行うことで「副作用は少なく」docetaxelの3週毎投与と「同等の効果」が期待できます。
 他の候補としてはcapecitabine(CAP)=カペシタビン=ゼローダです。
 Capecitabineは経口投与なので、楽に感じるでしょう。
 Eribulin=ハラヴェンやVinorelbine=ナベルビンなどもあり、trastuzumabとの組み合わせは豊富です。
 
 他はnab-paclitaxel(nab-PTX)=ナブパクリタキセル=アブラキサンです。
 但し、これは3週毎投与なので副作用は同等となります。
 ♯敢えて、全ての薬剤での表記を多くしたのは、「担当医がどの表記を用いるかが不明」だからです。
 担当医が提案した薬剤がどれにあたるのかを知ってもらうためです。
  
「タキソテールの量を減らして3剤と言う訳にはいかないのでしょうか?」
⇒その方法もあります。
 考えられる方法としては以下の4通りでしょう。
①trastuzumab+pertuzumab+docetaxelのまま(質問者の提案のように)docetaxelの量(dose)を減らす(2割~3割減)
②docetaxelのみ休薬してtrastuzumab+pertuzumabとする
③docetaxel⇒paclitaxelへ変更しtrastuzumab+pertuzumab+paclitaxelの組み合わせとする
④pertuzumabを中止、docetaxel⇒paclitaxelへと変更し、trastuzumab+paclitaxelとする。
 おそらく、担当医は④とするつもりの様です。
①よりは効果が高そうです。
②では効果不十分(もう少し病勢をコントロールしてからにしたい)と思っているのでは?
③は十分検討すべきだと思います。①~④の中では私が最もお勧め
 
「例えば新たな抗がん剤とハーセプチンで投与して、何クールか後にハーセプチンとバージエタの2剤にする事は可能でしょうか?」
⇒可能です。
 病勢のコントロールさえ、できればtrastuzumab+pertuzumabの「分子標的薬コンビ」でOKです。
 但し、注意が必要なのは「pertuzumab療法の適応上」あくまでも「pertuzumab+trastuzumab+他の抗がん剤」投与中『他の抗がん剤の副作用が重篤な場合にpertuzumab+trastuzumabのみでも可』
 となっている点です。
 つまり、直前まで「pertuzumab+trastuzumab+他の抗がん剤」の投与法でなければ「pertuzumab+trastuzumabのみの投与」は適応とはならないと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

お忙しい中、詳しくかつ分かり易くご説明いただきましてありがとうございました。
私も先生がおっしゃる通りタキソールとの併用で週1度の投与がよいと思いました。
ところが今日、母から聞いた抗がん剤の名前は、TS-1とハーセプチンの投与との事です。経口投与との事でタキソテールより楽になるであろうという説明だったそうです。
田澤先生も楽になると思われますか?
TS-1の効果は期待できるのでしょうか?
なぜ、TS-1とハーセプチンの2剤でパージェタははずされたのでしょうか?
効果がなかった場合、
trastuzumab+pertuzumab+paclitaxelに変更することは可能でしょうか?
 >つまり、直前まで「pertuzumab+trastuzumab+他の抗がん剤」の投与法でなければ「pertuzumab+trastuzumabのみの投与」は適応とはならないと思います。
と言うことは、TS-1とハーセプチンからハーセプチンとパージェタに変えることは適応にならないと言う事ですね?
お忙しい中、本当に申し訳ございませんがよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 「ハーセプチン+TS-1」とは、やや驚きました。
 私の(あくまでも)推測ですが、SELECT BCという「タキサンに対するTS-1の非劣勢試験」の結果も参考にしているかもしれません。
 たしかに、その臨床試験では「タキサンと非劣勢」とはなっていますが、「タキサン系のエビデンスの多さ」は圧倒的だし、何よりも「抗HER2療法での使用についてはエビデンスが無い」筈です。
 副作用を考えても「weekly PTX」であれば大差は無いと思います。
 
「効果がなかった場合、trastuzumab+pertuzumab+paclitaxelに変更することは可能でしょうか?」
⇒可能だし、そのようにするべきだと思います。
 
「TS-1とハーセプチンからハーセプチンとパージェタに変えることは適応にならないと言う事ですね?」
⇒その通りです。
 Trastuzumab+pertuzumabはあくまでも「併用薬剤の副作用が強いため」という理由が必要なのです。





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