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抗がん剤治療について

[管理番号:7185]
性別:女性
年齢:43歳
病名:乳がん
症状:

田澤先生こんにちは。

いつも拝見させて頂いております。

全摘手術後の病理結果を受けての治療について先生の考えをお伺いしたく思います。

<病理結果で私がわかっていること>
充実腺管癌
センチネルリンパ節生検4コ取ってリンパ節転移なし
ER+/PgR-
HER2/3+
浸潤径13ミリ
リンパ管・脈管侵襲なし
核異型度3
ki67 20%~40%

術後の治療として、FECを3週ごとに4回と、ハーセプチンをすすめられていますが、
核異型度3について、5年生存率80%というデータや、再発転移リスクが高く予後が悪いという医師の記述をインターネットで見て不安になっています。

1) FECの後に、パクリタキセルかドセタキセルをやらなくて大丈夫でしょうか。

2) ハーセプチンと一緒にパージェダはやらなくて大丈夫でしょうか。

どのみちしなければならない抗がん剤、あとで、あの時もっとやっていれば、と後悔したくないのです。
先生はどうお考えになりますでしょうか。
ホルモン治療はやります。

よろしくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「核異型度3について、5年生存率80%というデータ」
→全くナンセンス!!

 核異型度ごとの予後など、全く無意味。
 ステージは何のためにあると思いますか?
 予後はステージで語るべきものです。

 冷静になって考えてみましょう。
 「核グレード」は、その癌の性質(核異型+核分裂)なので、基本的にステージが上がっていっても(進行しても)変わりません。
 質問者のような「早期=ステージ1」の人もいれば、「ある程度進行した=ステージ3」や「遠隔転移をすでに起こした=ステージ4」の人もいるのです。

 それを「全てひっくるめて、グレード3の予後は〇〇」など、全くナンセンス!
そう気づきませんか?
 ステージ1のグレード3とステージ4のグレード3が「同じ生存率」だと本気で思っているのですか?(全くナンセンス)

「1) FECの後に、パクリタキセルかドセタキセルをやらなくて大丈夫でしょうか。」
→早期だから「アンスラ+タキサン」は当院なら行いません。(当院ならアンスラではなく、タキサン単独としますが…)

「2) ハーセプチンと一緒にパージェダはやらなくて大丈夫でしょうか。」
→pertuzumabの適応はありますが…

 臨床試験からは「リンパ節転移陰性」では殆ど差がないので、積極的に推奨はされません。