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抗がん剤治療について

[管理番号:912]
性別:女性
年齢:59歳
母が乳がんと診断されてから、先生のQ&Aで勉強させて頂いたり励まされたり、とても助けて頂いています。
遠方なので先生のもとへ伺うことは出来ませんが、先生の医療者としての患者への真摯な姿勢は素晴らしいと思っております。
母の乳がんですが、先日温存手術を受け病理検査結果が出ました。
主治医が分かりやすい説明を重んじているからか、説明不足な部分も多く不安です。
しこりは術前で23ミリ、触診では触れなかったもの画像診断でリンパ節腫大が複数個ありリンパ節郭清レベル1~2をしました。
最終的なリンパ節転移の数は不明です。
ホルモン陽性90%以上、HER2陰性、断端陰性、悪性度3、ki67 30%以上
ステージは術前で2B(術後不明)、ルミナールbと予想しています。
主治医はとにかく悪性度と増殖能が高く悪い顔つきなので、抗がん剤を勧めますとの事でした。
予定では放射線治療→抗がん剤治療(EC療法→ドセ 8クール)となります。
抗がん剤が長く強い薬を使う事に驚きましたが、妥当なのでしょうか?リンパ節転移の数が多かったのでしょうか。
詳しい説明がないので、悪い予想ばかりしてしまいます。
母は閉経後乳がんでAI剤が比較的良く効くと思うのですが、放射線治療とホルモン療法だけだとやはり不十分な程再発ハイリスクでしょうか。
この場合、抗がん剤をやる事によって無再発率や生存率、寛解の可能性は上がりますか?
母は抗がん剤治療に対して後ろ向きで、予防のためにきつい副作用を耐えてまでやる意味があるのかと嘆いています。
本来ならば主治医に聞くべき質問と思いますが、先生のご意見も伺いたく質問させて頂きました。お答えが煩わしい場合は飛ばして頂いて構いません。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「先日温存手術を受け病理検査結果が出ました」とありますが、「最終的なリンパ節転移の数は不明」とあるのはどうしてでしょうか?
 通常、術後の病理結果で重要なところのひとつが「リンパ節転移の個数」です。
 「リンパ節転移の個数を教えない」ことは、全く理解不能です。

回答

「放射線治療→抗がん剤治療(EC療法→ドセ 8クール)となります」
⇒「放射線治療を先行させる」理由は何故でしょうか?
 もしかすると「リンパ節転移の個数が多い」から「局所の治療=放射線を優先する」としている可能性があります。
 
「抗がん剤治療(EC療法→ドセ 8クール)となります。抗がん剤が長く強い薬を使う事に驚きましたが、妥当なのでしょうか?」「リンパ節転移の数が多かったのでしょうか」
⇒これに関しては、やはり「リンパ節転移の個数が多い」可能性があります。
 Luminal typeなので「通常はTCが多い」とは思いますが、敢えて「アンスラタキサンを選択している」訳ですがから「リンパ節転移の個数が多い」ことは考えられます。
 
「放射線治療とホルモン療法だけだとやはり不十分な程再発ハイリスクでしょうか」
⇒これについては、「リンパ節転移の個数」が解らないと何とも言えません。
 ただ、「ルミナールBである以上」最低限TCはやった方がいいのではないかと思います。
 
「抗がん剤をやる事によって無再発率や生存率、寛解の可能性は上がりますか?」
⇒「悪性度3」や「リンパ節転移有?」により(化学療法による)数値上は上がると思います。
 
 ただ、「具体的な数値」は「リンパ節転移の個数が不明」だと計算できません。
○やはり、担当医に「きちんと説明」してもらうべきだと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先生、お忙しい中御回答頂きありがとうございました。
その後主治医の診察もなく詳しい説明が聞けていませんが、放射線治療を優先したのは娘の私が出産間近という事で、母の希望です。
主治医からは抗がん剤、放射線どちらが先でも大丈夫と言われました。
リンパ節転移の数については、術後に、CTで2つ腫れていたのを取って後は転移かはわからないが2~3個郭清したと言われたようです。
放射線治療において鎖骨上まで照射していない(胸1ヶ所のみ)である事から結果的に4個以上はないと思います。
何にせよ不十分な説明で心配です。
主治医は乳腺専門医なので、母がきちんと理解できていないのかもしれません。
腫瘍形23ミリ、リンパ節転移2~3個、グレード3、ki6730%以上となると、やはりアンスラタキサンを選択すべきでしょうか。
9月半ばに放射線治療が終了し、家庭の事情もあり希望では10月末くらいから抗がん剤を開始したいようなのですが、遅すぎる事はないでしょうか。
お時間がありましたら御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
「腫瘍形23ミリ、リンパ節転移2~3個、グレード3、ki6730%以上となると、やはりアンスラタキサンを選択すべきでしょうか」
⇒私であれば「TC療法を選択」します。
 私は「ルミナールB」であれば、余程の高リスク出ない限り、「アンスラタキサン」にはしません。
 
「9月半ばに放射線治療が終了し、家庭の事情もあり希望では10月末くらいから抗がん剤を開始したいようなのですが、遅すぎる事はないでしょうか。」
⇒全く問題ありません。
 全く「急を要する」状況ではありません。
 術後補助化学療法は「いつから開始」しても問題ありません。