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抗がん剤迷ってます

[管理番号:5083]
性別:女性
年齢:52歳
52歳になります。
ステージ1で、4分の1強乳房温存療法で切り取りました。
リンパ節生検は陰性でした。
今ホルモン治療(タモキシフェン)をしています。
落ち着いたら放射線をするとのことですが、
抗がん剤については効果とマイナスは五分五分だそうです。
1,2センチ。
脈管侵襲はないのですが、気になるのはHer2陽性であることです。
この場合やっぱり一般的に抗がん剤はやったほうがいいのでしょうか???
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「抗がん剤については効果とマイナスは五分五分」「1,2センチ」「気になるのはHer2陽性」
⇒ここに大きな矛盾があります。
 もしも本当に「HER2陽性」ならば「1.2cmの腫瘍で抗癌剤(抗HER2療法)を勧めない筈がない」のです。
 ★もしかして質問者は「大きな勘違い」をしているのではないでしょうか??
 HER2 0、1+ 陰性
 HER2 2+   FISHで確認
 HER2 3+   陽性
 ○質問者はHER2 1+を陽性と勘違いしていませんか???
 
もしも本当にHER2陽性(HER2 2+でFISH陽性もしくはHER2 3
+)であれば「腫瘍径1cm以上であれば、抗HER2療法は必須」です。(ご確認を)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

ハーセプチンについて
性別:女性
年齢:52歳
一ヶ月前に抗がん剤をやるべきか相談した者です。
相談に乗ってくださり決心もつきただいま第一回目の抗がん剤をやって11日目となりました。
本当にありがとうございます。
白血球が減り3日間注射をして何とかもとに戻りそのほかは副作用はあまり感じません。
52歳。
ステージ1、4分の1強乳房温存療法で切り取り。
リンパ節生検は陰性。
1,2センチ。
脈管侵襲なしHer2陽性。
Ki6730~40 グレード3 
ホルモン治療(タモキシフェン)を中断。
TC療法(ドセタキセル、シクロホスファミド)3週間ごとに4クール・・・一回目終了。
2回目8月(中旬)日予定。
その後放射線とホルモン治療。
以上のような感じですが、悩んでいるのはハーセプチンの導入時期です。
やるとは言われたのですが、いつからやるのがベストか??? TC療法が終わってからか、同時並行なのか、どちらが効果があるのか???です。
同時だと副作用が強くなるとか、
化学療法が終わってからだと効果が下がるとかいろいろ情報が入ってくるため、ベストのタイミングを聞きたいです。
時期を告げられないまま1回目が過ぎたので、こちらから今お願いして、2回目から同時にやろうかということになっています。
① 効果はどうなんでしょう・・・また副作用はどうなんでしょうか。。。
ベストのタイミングを教えてくださるとしあわせます。
本当は一回目からだったんでしょうか???
② あと5、10年生存率と再発率って・・・私の場合どうなんでしょう???
③ 抗がん剤は発癌剤という友達もいますがどうなんでしょうか???
個人的な話ですが高校教師で3年担任です。
9月から生徒の進路で一緒に頑張りたいと強く希望しています。
副作用がきつくても8月ならまだ夏休みで何とか融通が利きます。
PS・・・悩んで相談される方々と先生のお答えをいつも見ておりますが、とても温かい気持ちになります。
卒業生も医師として頑張っている子もいますが、先生の後姿をぜひとも参考に頑張ってほしいと思っています。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
本当に「HER2陽性だった!」のですね。
それであれば「抗癌剤(抗HER2療法)を勧めない」ことは、我々乳腺外科医にとっては「非常識」なことであり、質問者の決断は正しい(再発率を半分にするのです)
「TC療法が終わってからか、同時並行なのか、どちらが効果があるのか???です。」
⇒当然「同時並行」です。
 その方が3カ月間の「時間が節約」されます。
「同時だと副作用が強くなるとか、」
⇒全く誤った情報です。
 そもそも「ハーセプチンに副作用は無い」のです。☆併用してもTCと全く副作用は変わりません。
「今お願いして、2回目から同時にやろうかということになっています。」
⇒それでいいのです。

「① 効果はどうなんでしょう・・・また副作用はどうなんでしょうか。」

⇒効果も副作用も同じ
 たんに「時間の節約」となるのです。
「② あと5、10年生存率と再発率って・・・私の場合どうなんでしょう???」
⇒抗HER2療法(の術後補助療法の適応)は比較的最近なので、3年のデータしかありません。
 3年生存率 98%
 3年再発率  7%
「③ 抗がん剤は発癌剤という友達もいますがどうなんでしょうか???」
⇒もしも、そうなら…
 この世界中で「抗癌剤をしている」数百万人の人達に失礼ですよね?
 それほど、人類は馬鹿ではないのです。
「個人的な話ですが高校教師で3年担任です。9月から生徒の進路で一緒に頑張りたいと強く希望しています。副作用がきつくても8月ならまだ夏休みで何とか融通が利きます。」
⇒副作用は(ハーセプチンとは無関係に)TCの3回だけです。
 一生に一度のことなので、やり切りましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問3 迷っています】

性別:女性
年齢:52歳
お久しぶりです。
前回2回ほどのご助言本当にありがとうございました。
何とか抗がん剤治療を終え、放射線(25回)も終了し、今のところ副作用として指先の多少の痺れとつめが弱くなっていることが残りますが、比較的安定しています。
髪も今、7ミリぐらいになりました。
ハーセプチンも7回終え、後10回です。
ホルモン治療は5年間だとか。
今振り返ってみるとやはり再発するかどうかはわからないにしても最良の治療を受け後悔が少ないほうがいいと思っています。
1ヶ月前に子宮頸がんと子宮体がんの検査、2週間前に肝臓、肺、胸の転移を検査しましたが、異常なしでした。
治療を振り返り、いまだに疑問が残るところもあります。
どうしますかという問いがないまま当たり前のように行われた手術と放射線治療、・・・抗がん剤についてはやるかやらないか聞かれましたが・・・といまだに行われるホルモン治療とハーセプチン。
① 抗がん剤でもTCが一番よかったのでしょうか???なぜTCだったのか??
ほかにベストの抗がん剤があったのでしょうか?たくさんの種類があるということを終わってから知りました。
② ステージはⅠといわれましたが、診断書をとったとき、早期がんではなく進行がんに丸がついていました。
これは進行しているという意味なんでしょうか?
Her2陽性、ホルモン陽性ってやっぱり転移しやすい最悪のがんなんでしょうね?
③ 再発のリスクを最小限に食い止めるためにできる治療は今後ハーセプチンとホルモン治療のみでいいのでしょうか?免疫治療???とかあるようですが????何か飲んだほうがいいものがあるのでしょうか?
④ 知り合いがペット検査をしたほうがいいというのですが、必要があるかどうか、今のところ肝臓、肺、胸の検査は医師が組み入れたもので、子宮頸がん、体がんの検査も薦められ、必要に応じやってくれるのだろうからと思いますが・・そのままの流れでいいのでしょうか?
⑤ あとはセカンドオピニォン、サードオピニォンをやらなかったことに周りが驚いていましたが、今のところこの相談窓口が大きなセカンドオピニォンと・・・
実際はそれ以上・・・になっていますが、やはり必要だったのでしょうか。
以上5点について不安に思うこともあるためアドバイスをお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
我々乳腺外科医は日々進歩する最新情報に触れ、それを還元しているのです。
これだけ情報が氾濫している現代では「治療を(ネットで振り回されがちな)患者さん任せにする」ことは厳禁であり、我々は(少なくとも)「最低限の標準治療の推奨」の義務及び責任があるのです。
「① 抗がん剤でもTCが一番よかったのでしょうか???なぜTCだったのか??
ほかにベストの抗がん剤があったのでしょうか?たくさんの種類があるということを終わってから知りました。」

⇒このQandAをよく読めば沢山でてきますが…
 もともと歴史的に抗癌剤は
 CMF⇒アンスラサイクリンとなり、そこにタキサンが台頭してきて(激しい抗癌剤のレジメン競争の中で)「アンスラサイクリン+タキサンが最強」という流れとなりました。
 この辺りから「抗HER2療法」が術後適応となり、(当然ながら)標準治療としては「アンスラサイクリン⇒タキサン+HER]が標準である時代が長くなりました。(心毒性のあるアンスラサイクリンとHERは同時に行わないのが常識です)
 
 更に時代が進むと(特に肥満が多く、それ故心疾患の多い)欧米より「心毒性のあるアンスラサイクリンを避けられないか?」という要求から「非アンスラサイクリン=アンスラサイクリン無しのタキサン」のレジメンの発表が盛んになり、
 一つのゴールとして「TC>AC」という2007の発表となっています。(アンスラサイクリン+タキサンとTCとの直接比較はないですが、ハイリスクには「やはり」前者が選択されるのが妥当です)
 ★これは抗HER2療法の世界にも(当然)「アンスラサイクリン+タキサン」が最強なのは当たり前だが、低リスクには「非アンスラサイクリンレジメンでいいのでは?」という流れで以下が一般的となっています。(ただ施設によっては抗HER=
アンスラサイクリン+タキサンしかしないという所も当然残っています)
  weeklyPTX+HER
  TCH 
  TC+HER(質問者はこれですね)
「② ステージはⅠといわれましたが、診断書をとったとき、早期がんではなく進行がんに丸がついていました。これは進行しているという意味なんでしょうか?」
⇒早期癌です。
「Her2陽性、ホルモン陽性ってやっぱり転移しやすい最悪のがんなんでしょうね?」
⇒自虐的になるのは止めましょう。(何の意味もありません)
 私が「サブタイプで予後を議論するのが大嫌い」なことは理解していますか?
 実際には「サブタイプは治療法の決定のためにあり」「ステージは予後を決める」のです。
 ★ 術後治療として抗HER2療法の無い時代には恐れられていましたが(私が乳腺外科医となった当初はそうでした)、現在では(術後抗HER2療法を行えば)
「ルミナール同等」となっています。(だからサブタイプで差はないのです)
「③ 再発のリスクを最小限に食い止めるためにできる治療は今後ハーセプチンとホルモン治療のみでいいのでしょうか?免疫治療???とかあるようですが????
何か飲んだほうがいいものがあるのでしょうか?」

⇒免疫療法には残念ながら…
 エビデンスのあるものは全くありません。
「④ 知り合いがペット検査をしたほうがいいというのですが、必要があるかどうか、今のところ肝臓、肺、胸の検査は医師が組み入れたもので、子宮頸がん、体がんの検査も薦められ、必要に応じやってくれるのだろうからと思いますが・・そのままの流れでいいのでしょうか?」
⇒そもそも術後の画像検査でエビデンスがあるのは…
 1年に1回のマンモグラフィーです。(CTも骨シンチも意味がありません) ましてPETは… (よほど、気になる時に行うのは止めませんが…)
「⑤ あとはセカンドオピニォン、サードオピニォンをやらなかったことに周りが驚いていましたが、今のところこの相談窓口が大きなセカンドオピニォンと・・・実際はそれ以上・・・になっていますが、やはり必要だったのでしょうか。」
⇒勘違いされていますね。
 (セカンドオピニオンのための)「セカンドオピニオン」に何の意味があるのか??
 あくまでも(診療内容に疑問が有る時に)行うべきものです。(いたずらに、治療開始を遅らせるだけで無意味です)