[管理番号:4568]
性別:女性
年齢:48歳
はじめて質問させて頂きます。
1月中旬に乳がん告知をされてから、こちらをよく拝見させて頂き、勉強させて頂いております。
2月下旬に乳房温存手術を受けました。
その後の補助療法についての質問です。
術前のマンモトームやMRI、エコー検査ではリンパ節の転移は見られなかったのでステージⅠだろうと予想しておりましたが、術後の病理検査の結果下記ステージⅢAという結果に驚きと、不安でいっぱいです。
右乳癌(pT1cN2aM0 pStage ⅢA)
浸潤癌
浸潤径 15+14mm
核異型度 2
脈管侵襲 +
リンパ節転移 +(8/27)
断端陰性
ホルモン陽性
HER2陰性
術後治療でAC4クール、ドセタキセル4クール後ホルモン療法5~10年、放射線治療を提案されました。
ki67とサブタイプは不明です。
(明日主治医に術後治療について相談するので、聞こうと思ってます)
もしki67が低い場合、ルミナールAもしくはBの場合でも、
リンパ節転移が8個という結果を重要視し、抗がん剤は必須でしょうか?
(もしできればホルモン治療と放射線のみで検討できればと思っております)
つたない詳細で申し訳ございませんが、ご教授頂ければ幸いです。
よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
○ルミナールAでは化学療法は必須ではなくなります。
ただし、「リンパ節転移4個以上」となると(化学療法の上乗せは無いだろうと思いながらも)「化学療法を全く勧めない」ことは難しいのが現状です。
「もしki67が低い場合、ルミナールAもしくはBの場合でも、リンパ節転移が8個という結果を重要視し、抗がん剤は必須でしょうか?」
⇒上記のように「正解はない」ものですが、
私の場合は「luminalA リンパ節転移4個以上」では
1.積極的に抗癌剤を希望している人にはホルモン療法+抗癌剤
2.可能な限り抗癌剤はしたくない人(質問者もそうですね?)には、(説明した上で)ホルモン療法単独
3.(1でも2でもない)本当に上乗せがあるのであれば行いたいが、そうでなければ行いたくない。「上乗せを知りたい」と言う人には「Oncotype DXを勧めている」
♯ちなみに「閉経前、リンパ節転移陽性」でも適応あります。(念の為)
質問者様から 【質問2】
田澤先生
御返答ありがとうございました。
主治医に確認したところ、
Ki6720%以下 ルミナルAタイプでした。
リンパ節転移8個ということで高リスクという診断で、
抗癌剤使用を推奨するとの事でした。
主治医よりOncotype DXの話もありましたが、リンパ節陽性(少なからず4個以上)には必ずしも比例しないと言われました。
化学療法の上乗せはリンパ節4個以上だと10%程度はあるので、それをどう見るか?(主治医は10%あればやるべきだという判断)
田澤先生からも正解はないと返答を頂いておりますが、ルミナルAでリンパ節転移8個という状態は上乗せは10%ほどあると考えられますか?
2.可能な限り抗癌剤はしたくない人(質問者もそうですね?)には、(説明した上で)ホルモン療法単独
の説明したうえでというのは、どのような説明をしたうえでということでしょうか?
お忙しいところ恐れ入りますが、ご教授頂けますようお願い申し上げます。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「主治医よりOncotype DXの話もありましたが、リンパ節陽性(少なからず4個以上)には必ずしも比例しないと言われました。」
⇒誤りです。
少なくとも「主治医の主観よりは客観的なデータ」です。
「化学療法の上乗せはリンパ節4個以上だと10%程度はあるので、それをどう見るか?」
⇒そもそも「10%程度はある」という根拠がありません。
「ルミナルAでリンパ節転移8個という状態は上乗せは10%ほどあると考えられますか?」
⇒本当にルミナールAであれば(Ki67は、あくまでも簡易診断に過ぎない)「上乗せは殆どない」のです。
ルミナールAでは「腫瘍径やリンパ節転移の程度とは無関係に」化学療法によるベネフィットは無いと結論しています。 SABCS(2016)
ただし、(Ki67はあくまでも簡易法なので)それを知るにはOncotypeDXとなるのです。
「どのような説明をしたうえでということでしょうか?」
⇒以下の3つです。
1.従来の考え方(正しいかは不明であるが)では「ルミナールAだとしても」リンパ節転移4個以上では化学療法が推奨される傾向にある。
2.そもそも(Ki67は簡易法なので)あなたは本当はルミナールBかもしれない、その場合には「化学療法をしないことで不利益を被る可能性」がある。
3.(上記1.2を払しょくする方法として)OncotypeDXがあるが、高額でもあり誰にでも勧められるわけではない。