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骨転移の精査及び治療内容について

[管理番号:7494]
性別:女性
年齢:44歳
病名:乳がん
症状:乳房にしこり(痛みなく自覚症状も無し)

こちらで情報を得たり、勉強させていただいております。

明確なレスポンスにて大変わかりやすくありがたいです。

ご相談させてください。

44歳です。

2ヶ月程前に乳がんの指摘を受け、クリニックからがんセンターへ紹介され、フォローを受けております。

右乳房左上方に3.5センチのしこり。

クリニックの組織検査では、脇のリンパ転移は陰性でしたが、
がんセンターの検査にて転移が認められました。

乳房については、がんセンターでマンモトームを実施してもらいましたが
組織がうまく取れなかったと後日連絡があり、クリニックにて採取した細胞を持ち込み、検査した結果、以下の内容で説明を受けました。

ER 8
PgR 8
HER2 陰性
Ki67 20%

ただ、並行して実施したPET-CTにて、胸骨の一部に微小な転移が認められるので
ステージ4で、根治は有り得ず、手術適応も無し、延命治療主体での治療になる、との告知を受けました。

どのような生活を送りたいのか、脱毛は避けたいのか、希望を言ってください、と言われ大変衝撃を受けました。

その際、PETでは子宮の一部も光っていたため、そちらはそのまま婦人科精査へ回していただき、その後、細胞検査やMRIにて異常は認められず経過観察となりました。

初診時に「この時点での遠隔転移はまず無いと思うが念の為PETで確認する」とのことであったため、自分自身としてもまさかの結果でした。

症例数も多い医療機関であり、疑う余地もないだろうとも思いましたので事実を受け入れてできる治療を選んでいかざるを得ないだろうと思い、
治療方針を決める段階へ進むことを決めました。

がんのタイプとしては、ホルモン療法の効果がありそうなルミナルタイプなのでファーストラインとしては、フルベストラントを単剤で使用してみてはどうか、との提案がありました。

担当医からも「自分だったらこの選択をまずするかな」とのアドバイスがありました。

効果がなければ次の治療として、ホルモン療養とCDK4/6阻害剤、それも難しければ抗がん剤(一生…)という説明でした。

フルベストラント使用にあたって説明書(冊子)をいただき、
同意できるのであればすぐに注射できるとのことでしたが、
あまりにことが性急で、自分自身の気持ちも追いつかず、
がんの進行状況や病状から急ぐ必要があるか確認したところ、
慌てる必要はないということでしたので、1週間後から始めることになりました。

その間、自分なりにも薬剤、治療方針について考え、素人なりにも情報を集めてみましたが、フルベストラントは閉経前の方が対象との記載が多く気になりましたが
私の場合は、はっきりと「まずは単剤使用から始める」とDrが仰ったので、
なにか根拠があってのご判断だろうと思い、
注射当日にも今一度「生理についてはなにか影響があるのでしょうか?」と確認したところ「止まることはないんじゃないかな、あんまり影響ないですよ」
という回答で、
閉経前の私がこの注射で治療開始することに対しての違和感があるような回答やDrの雰囲気ではありませんでしたので、初回の注射を実施していただき、
今後、規定の投与スケジュールで進めることになりました。

その間、担当医にも相談し快く了承を得たのと、周囲の勧めもあり、
治療をはじめてしまったタイミングではありましたが
セカンド・オピニオンを取りましたところ、
以下2点についてご提案がありました

①骨転移について
データ上、集積はみられるが、これは整形外科等にコンサルトして別の方法(MRI等)で精査してもらってもよいのではないだろうか。
(自分であれば精査はしてみる、と)
骨転移の有無によってステージも大きく変わるので(なければステージ2b)
相談してみてはどうか。

②治療薬について
閉経前でフルベストラント単剤での使用は現状の保険制度的に
認められていないのでは?本当に単剤使用なのか?
確認が必要かと。

上記については
返答書にも記載していただきましたので、近日中に担当医へお渡しし、
セカンドオピニオンの内容については自分からも確認してみたいとは思いますが、

PET上、明らかに光っていながらも別の角度からの精査で骨転移が
否定されることなどありうるのだろうか、という点と、

閉経前のフルベストラント単剤使用については、何らかの根拠があっての
ことなのか、担当医の今後の治療の思惑などなにかあってのことなのかについて
田澤先生のご見解が伺えればと思い、不躾ながらメールを送らせていただきました次第です。

長い治療になりますので、担当医、医療機関との関係性がとても
重要だと認識しておりますし信頼して治療を委ねていきたいと思ってはおりますが、
こちらも命や生活をかけて治療を行っていかねばならず、
とはいえ医療面の知識も自分なりにしかないため、
このような場を設けていただいていることは、患者、家族にとっても大変意義があると思います。

今後も参考にさせていただければと思います。

何卒よろしくお願いいたします。
長文失礼いたしました。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

率直なところ、手術をしない理由が理解できません。
「胸骨転移が実際どうなのか?」なかなか骨の場合には決着をつけるのは困難それより重要なのは、(例え骨転移だとしても)かなりの長期予後が期待できるということ。
 1.その間に(手術をしなかったことで)原発巣(乳腺)から他臓器へ新たに転移をする可能性
 2.長期予後の中で(手術をしなかったことで)局所が皮膚を破り潰瘍形成し毎日ガーゼで処置をしなくてはいけなくなる可能性(QOLを損なう)

 手術をしないことによる上記リスクに対し、『手術をすることによりマイナスとなる要素がない』
 それが重要なのです。(手術そのものは身体に対して負担には全くなりません)

「PET上、明らかに光っていながらも別の角度からの精査で骨転移が否定されることなどありうるのだろうか」
→完全に否定することは(MRIであっても)困難とは思います。

 ただし、MRIで「別の可能性」が示唆されることで「とりあえず、これは置いておいて(経過観察として)」乳癌の治療(手術及び、術後治療)をすすめていきましょう。となるかもしれません。
 ★PETで取り込みがある以上、画像診断で「完全否定」することは極めて困難、「骨生検」が唯一の確定診断となります。(普通は行いません)

「閉経前のフルベストラント単剤使用については、何らかの根拠があってのことなのか、担当医の今後の治療の思惑などなにかあってのことなのか」
→とんでもない治療!

 正解は(敢えて「正解」という表現を使わせてもらいます)
 FulvestrantはCD4/6inhibitor(palbociclib/abemaciclib)と併用する際に限って、LH-RHagonist(zoladex/リュープリン)と併用できる。

 (以下、フェソロデックスの添付文章からの引用)
『なお、閉経前乳癌に対しては、LH-RHアゴニスト投与下でCDK4/6阻害剤と併用すること。』(ネットで簡単に見れるので、是非ご覧ください)

★つまり閉経前乳癌にFulvestrant 単独はありえず、(Fulvestrant+LH-RHagonistもありえず)、唯一『Fulvestrant+LH-RHagonist+palbociclib or abemaciclib』の組み合わせだけが使用できるのです。