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術後間もない骨、肺転移の治療について

[管理番号:4558]
性別:女性
年齢:49歳
はじめまして。
乳癌の告知以来、こちらの乳がんプラザで勉強させて頂いております。
《病 歴》
20年くらい前から左乳房にしこりがあり、細胞診の結果では良性のものと診断されました。
ここ10年くらいは人間ドッグで超音波検査を受けており、いつも「経過観察」になっていましたが、昨年の人間ドッグでは初めて「腫瘍の疑い」ということとかなり痛み出したので、病院で生検を行ったところ乳癌告知されました。
術前のMRI検査では、3.4cmのしこりと他に小さい癌が
あるということで、
11月末に左乳房全摘出手術しました。
〈病理結果〉
・癌の腫瘍2cm(2つあった癌ですが、1つしか病理が出て
いませんでした)
・リンパ節転移 3個
・トリプルネガティブ
・ki67 30~40%
・グレード3
(*口頭で聞いたので詳しい結果が分からず申し訳ありません。)
今年1月から抗がん剤ECをはじめ、現在4クール終えたところです。
抗がん剤が始まる1月から胸骨が痛み様子を見ておりましたが、痛みが治まらないので、骨シンチの検査を受けました。
結果、胸骨に影が映り、さらにCT検査をしたところ、胸骨のほか肺に複数個の癌とみられるものがありました。
今までステージ2からの根治を目指してECを受けていましたが、これは抗がん剤が効いていなかったということになりますか。
またこんなに早く転移することがあるのでしょうか?
これからも早いスピードで癌が広がっていくのではないかと怖怖くてたまりません。
当初は来週からタキサン系の抗がん剤を4クール行う予定でしたが、ステージ4になったことで、副作用の比較的少ないTS–1を飲むように勧められています。
先生ならどのような治療をされますか。
急にステージがあがってしまい、大変戸惑い心の整理がつきません。
子供の為にも少しでも長く生きていたいと思っています。
先生のところに紹介状を持ってお話を聞くのは可能でしょうか。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
術後、補助化学療法中の再発というのは、かなり珍しいこととなります。
心中お察しします。
○再発した場合、(その病状によっても異なりますが)「何をゴールにすべきか?」というビジョンを示さなくてはなりません。
 「根治目的でないから」という、ただそれだけで(何のビジョンも示さずに)「副作用が少ない」だけの理由で薬剤を変更することには、「かなりの違和感」を感じます。
「当初は来週からタキサン系の抗がん剤を4クール行う予定でしたが、ステージ4になったことで、副作用の比較的少ないTS–1を飲むように勧められています。」
⇒私であれば、ゴール設定を行います。
 「胸骨のほかのほか肺に複数個」であれば、
 第1のゴール 画像上「可能な限りCRを狙う(画像上消失)」
 (第1のゴールが達成されたら)第2のゴール その状態(腫瘍が少ない状態、もしくは画像上腫瘍が消失した状態)を「可能な限り維持」する。
「先生ならどのような治療をされますか。」
⇒(同じタキサンでもグレードアップして)bevacizumab+paclitaxelを行います。
 具体的には
 まず③サイクル(3カ月)行います。
 これで「かなりの効果」が期待できます。
 もしも、ここでCRとなれば、「第2のゴール」のために、ここで「TS-1の登場」でもいいかもしれません。
 ただし、現在の私の知見では、「bevacizumab+paclitaxelの3カ月」⇒(更に)
「eriblinの3カ月」を行います。
 ♯eriblinは(副作用が少なく)それでいて「他の多くの抗癌剤とはことなり、生存率に影響を及ぼす」ことが証明されているのです。
 ○頑張れるのであれば、eriblinを半年でもいいかもしれません。
「先生のところに紹介状を持ってお話を聞くのは可能でしょうか。」
⇒セカンドオピニオンは、このQandAの場でも問題ありません。