[管理番号:972]
性別:女性
年齢:56歳
初めまして。今後の術後療法のご相談をさせてください。
7月末に左全摘切除の手術を受け、病理結果が以下のようになりました。
病変は3つ
1つは非特殊型浸潤性乳癌、2つは繊維線種
浸潤性乳癌は10×10×6㎜大
間質に硝子化を呈する膠原繊維化やelastofibrosisを伴い、
素状、小型管状や癒合腺管状あるいは孤立性に浸潤増殖。
腫瘍浸潤は乳頭直下の乳管周辺に及ぶが、皮下脂肪組織や
皮膚浸潤は認められない。
乳管内進展像はみられない。核分裂像は6個/10HPF認める。
明らかな脈管侵襲はない。
グレード3(3-3-2) pT1b pN0 ER +95% PgR+70%
Her2 -(score0) Ki-67 9.2%(85/916)
切除断端 陰性 リンパ節レベル1
この結果から私の場合はLuminalAと判断すれば良いのでしょうか。
気になるのはグレードが3であることです。
この為、抗がん剤を使用するか判断に悩んでいます。
術後、右胸に非浸潤性乳管癌(5㎜大位)も見つかり、9月に部分切除の手術も受けることになっています。従って、術後補助療法も開始が遅れることになりました。こちらの方は部分切除なので、術後は放射線治療を受けることになるのですよね。
いずれにせよ再発予防の治療の開始期間が遅れることも少し不安です。
右胸の癌はまだ超初期とのことで、前向きに考えて見つかって良かったとは思いますが、追加手術を受ける負担など気落ちしています。
できれば抗がん剤治療はしたくないのですが、主治医に勧められたらどうすればいいか判断に迷ってしまいそうなので、先生のご意見を聞かせていただけると幸いです。よろしくお願い申し上げます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1b(10mm), pN0, luminalA
十分な早期です。
回答
「この結果から私の場合はLuminalAと判断すれば良いのでしょうか」
⇒その通りです。
「主治医に勧められたらどうすればいいか判断に迷ってしまいそうなので、先生のご意見を聞かせていただけると幸いです」
⇒抗がん剤は不要です。
術後補助療法としてホルモン療法による再発予防効果は10.6%ありますが、化学療法による上乗せ効果は「僅か2.2%」しかありません。
「術後補助療法も開始が遅れることになりました」
⇒早期なので、慌てる必要はありません。
ただし、ホルモン療法は「左の術後」として「右の手術前に開始」しても何ら問題はありません。
質問者様から 【感想2】
田澤先生 お忙しい中、早速回答をいただき本当にありがとうございます。
グレードとKi-67数値についてのタイトルで抗がん剤治療の相談させていただいた者です。
ネットで調べているとグレード3が悪性と書かれているので、ホルモン療法だけでは不十分なのか心配でした。
でも先生のご意見を聞かせていただき、抗がん剤治療は気休め程度なので、そのために副作用で苦しむ期間を過ごすのは私には重いと思いました。
人それぞれ、わずかでも効果があるなら上乗せする方向で頑張る考え方もあるでしょうが、使わなくてもいい選択肢があるなら私はそちらを選ぶことにします。
こうして疑問や不安に的確に回答してくださり、本当に感謝しております。
どうぞ先生ご自身も体調を崩されませんようどうぞご自愛ください。
ありがとうございました。