Site Overlay

血性乳頭分泌と急にできたしこり

[管理番号:5840]
性別:女性
年齢:40歳
いつもこちらのサイトを拝見しております。
ここ数ヶ月、乳腺のトラブルで頭を悩ませておりまして、ご相談をさせていただきます。
長文をお許しください。
未婚、妊娠・出産の経験はありません。
2年ほど前から、年に1回のマンモグラフィと、半年に1回のエコーを
定期検診として乳腺外来で受けており、今まで異常所見はありませんでした。
今年の9月半ば、直近の定期検診から2ヶ月後、何となく右胸を触った時に乳頭の1箇所から黄透明の分泌液が出てきました。
片胸単孔性の分泌ということで、10月初旬に乳腺外来で診察を受けたところ、マンモでは異常なし。
エコーでは、乳管拡張が見られるが、しこり等はないとのことでした。
乳管造影もしてほしいとお願いしました。
はっきりと白く丸いものが写っていましたが、医師曰く「これは気にしなくてよい」ということだったので、それについては詳しく聞きませんでした(嚢胞でしょうか?)。
明らかな欠損部分は無いようでしたが、「ここが怪しいといえば、怪しいのかなぁ…」とも困惑した様子で言っておられました(どこの部分を言っているのかは、分かりませんでした)。
分泌液の細胞診をし、クラス2ということで、ひとまず様子をみることになりました。
10月末、分泌液に血が混じるようになり、11月に再び受診。
乳管は拡張しているが、エコーではしこり等はやはり見つからず。
再び分泌液の細胞診をし、結果はクラス2でした。
経過観察になったため、この時点でメディカルプラザ市川駅の予約をさせていただきました。
3月初めの予約となりましたが、「浮きが沈むのを待つ」期間だと思い、様子を見ることにしました。
その後も、つねに乳頭には分泌液が固まった、赤黒いものがポツンとついている時期が続いていたのですが、11月下旬頃からは、乳房を軽く圧迫しても茶色い分泌液が出るようになり、朝起きると下着に茶色いしみがついていること度々がありました(大きい時で一円玉サイズのしみ)。
分泌の量は、生理サイクルで変動しているようにも思えましたが、全体的には増えてきており、また、しこりのような、部分的に硬く張っているものが触れるようになったため、先日別の乳腺外来を受診しました。
2軒目の病院での診察は、以下のような内容でした。
・固さが色分けして表示されるエコー検査で5~6mmのしこりと、それとは別に乳頭の真下辺りにもイボのようなものがある。
おそらくどちらも乳頭腫だろう。
・乳頭分泌液のCEA測定結果は100ngで正常範囲。
・造影剤入りCT検査では、その2ヶ所以外は何も無く、マンモでは特に所見なし。
・2.5cmのしこりがあり、液体が貯まっている。
針を刺して細胞診を行
って、その結果次第で別の検査も行う(現在細胞診の結果待ち)。
・良性の乳頭腫であっても、分泌量も多いので、腺葉区域切除手術をした方がよい(私もそう望んでいます)。
エコーの時には、しこりは5~6mmと言っていたのに、診察の最後には2.5cmあるとも言われて、動揺しています。
医師に色々と質問をしようとしても、終始遮られてしまい、正直言って状況がよく分かっていません。
ここからが、先生への質問です。
①断片的な情報で恐縮ですが、状況からして、田澤先生でしたらどのように診断されますか?
こんな短期間で癌によるしこりが大きくなるとも思えないので、嚢胞内腫瘍でしょうか?
②嚢胞内腫瘍だとすれば、細胞診の結果次第で行われる次の検査として針生検は行わない方がよいでしょうか?
良性であれ悪性であれ手術をするのであれば、針生検は不要なのではないでしょうか。
③2軒目の病院では乳管造影をしてもらえない可能性が高いです。
そのことによって、手術の精度に影響はありますでしょうか?
④できれば、田澤先生に診ていただきたいと思っています。
3月の診察まで待っていたら、病状は悪化してしまうでしょうか?
定期的に検診も受けていましたし、悪性のものだとしても、早期発見のはず…と自分に言い聞かせておりますが、毎日不安でいっぱいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えなくてはいけません。
乳頭分泌でMRIを撮影するのは判断の誤りの素ですが、CTは(その被爆からして)「やってはいけない」ものだと(私は)認識します。
と言う事で…
このケース(乳頭分泌)で参考となるのは「初回受診した病院のUS所見」となります。
「乳管拡張が見られるが、しこり等はない」
この所見を参考にすべきです。
つまり、「エコーで見えるようなシコリはない=CTで造影されてシコリ様に見えたものは(エコーで見えた拡張乳管そのもの)」だということです。
♯造影されるということは(その拡張乳管が)「乳管内病変により拡張している所見」という可能性はありますが、(あくまでも)「可能性」どまりなのです。
「①断片的な情報で恐縮ですが、状況からして、田澤先生でしたらどのように診断されますか?」
⇒単孔性分泌なので「乳管内病変」の可能性はある。
 (エコーでシコリが見えないので)「乳管内病変だとしても、(範囲は広い可能性はありますが)病変としては大きなものではない=緊急性の有る状況ではない」
「こんな短期間で癌によるしこりが大きくなるとも思えないので、嚢胞内腫瘍でしょうか?」
⇒造影CTの過大評価だと思います(冒頭のコメントどおり)
「②嚢胞内腫瘍だとすれば、細胞診の結果次第で行われる次の検査として針生検は行わない方がよいでしょうか?良性であれ悪性であれ手術をするのであれば、針生検は不要なのではないでしょうか。」
⇒分泌があるのであれば、「乳管ごときれいに切除(つまり乳管腺葉区域切除)」が望ましいです。
「③2軒目の病院では乳管造影をしてもらえない可能性が高いです。そのことによって、手術の精度に影響はありますでしょうか?」
⇒乳管造影をしないのに、精度の高い(本物の)乳管腺葉区域切除は期待できない。ということです。
「④できれば、田澤先生に診ていただきたいと思っています。3月の診察まで待っていたら、病状は悪化してしまうでしょうか?」
⇒冒頭でコメントした通りです。
 あくまでも(私が関心があるのは)エコーで(乳管拡張のみで)シコリは見えないという状況です。(造影CTの所見は気にすべきではありません)
 
 

 

質問者様から 【質問2 血性乳頭分泌と急にできたしこり】

性別:女性
年齢:40歳
先日、右胸の単孔性異常分泌としこりの件でご相談をさせていただいた者です。
ご回答くださり、ありがとうございました。
再び先生に質問させていただきたいことがあり、失礼いたします。
12月に、二軒目の病院にてエコーで乳頭下付近に5~6mmのしこりを指摘され、穿刺吸引細胞診を受けたところ、「検体適正:正常または良性。
マクロファージを背景に、二相性を示す結合性良好な乳管上皮細胞の集塊や、異型性を示さないアポクリン化生細胞が多数認められます。
乳管内乳頭腫として矛盾しない所見です」との結果でした。
そこの医師からは、ひとまず半年後の受診でよいが、乳がんとの関連が高い病気なので、早めに手術をした方がよいといわれました。
その後の1月、乳管造影を行った、一軒目の病院での定期検診に行ってきました。
10月に行った乳管造影には何も写っていなかったけれど、エコーでは乳頭の下に5mmほどのしこりがあり、悪いものではなさそうだが、近々に乳管腺葉区域切除を受けるよう勧められました。
病変の広がりを見るため、造影MRI検査を受けたところです。
私としても、早く手術を受けたい気持ちは山々ですが、そこの病院では、拡張している部分だけを取り除き、末梢までは切除しないと聞いて、それで大丈夫なのか?と疑問に思っております。
そこで、先生への質問です。
1. エコーや乳管造影では何も写っていなかったのに、2ヶ月の間で5mmのしこりはできるのでしょうか。
それとも、しこりは分泌がある乳管と
は別のところにあって、見落とされていたのでしょうか。
2.乳首の近くに、乳管が拡張してしこりのように触れる部分があります。
それに近い側で、乳頭が乳輪に対して沈んできたように思います。
乳管が拡張していたり、良性であっても腫瘍が乳頭下にあると、このようなことは起きるのでしょうか。
3.異常分泌が始まってから5ヶ月が経ち、前回ご相談させていただいた時よりも、さらに量が増えています。
密かに乳管の中で悪いものが広がっているのではないかと心配です。
早く手術を受けてすっきりさせたいで
すが、これまでかかっていた病院の手術方法で大丈夫なのか不安です。
来月、メディカルプラザ市川で診察を受ける予定ですが、田澤先生に手術をお願いするとなると、いつ頃になりますか?今の病状でも緊急性がさほどないのであれば、確実な手術を受けた方がいいのでは、と思っています。
以上です。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「近々に乳管腺葉区域切除を受ける」「そこの病院では、拡張している部分だけを取り除き、末梢までは切除しない」
⇒それでは「正常な」乳管腺葉区域切除とは言えません。
「1. エコーや乳管造影では何も写っていなかったのに、2ヶ月の間で5mmのしこりはできるのでしょうか。それとも、しこりは分泌がある乳管とは別のところにあって、
見落とされていたのでしょうか。」

⇒「見逃されていた」というよりは・
  その「前から指摘されていた」乳管拡張が、その「しこり」のように「判断されたり、されなかったり」するだけだと思います。
  ♯急に「出現」するとは、(経験上)思えません。
「乳管が拡張していたり、良性であっても腫瘍が乳頭下にあると、このようなことは起きるのでしょうか。」
⇒乳輪部分は皮下浅い部位に乳管拡張があると、それが「ダイレクト」に見えるため、目立つだけだと思います。(乳輪部分以外は、皮下脂肪が厚いので、自覚しにくくなるのです)
「密かに乳管の中で悪いものが広がっているのではないかと心配」
⇒エコー所見からは(5mmのしこりが本物だとしても)、そんな心配をする必要は全くありません。
「来月、メディカルプラザ市川で診察を受ける予定ですが、田澤先生に手術をお願いするとなると、いつ頃になりますか?」
⇒タイミングにもよりますが…
 診察時より「2カ月以内」となる場合が多いです。
「今の病状でも緊急性がさほどないのであれば、確実な手術を受けた方がいいのでは」
⇒その通りです。
 「急がば回れ」です。
 
 

 

質問者様から 【質問3 血性乳頭分泌と急にできたしこり】

性別:女性
年齢:40歳
田澤先生
先日も迅速にご回答をくださり、ありがとうございました。
何度も申し訳ございませんが、再び質問をさせてください。
前回の受診時に受けた分泌液の細胞診と、造影MRIの結果を聞いてきました。
細胞診は今回もクラスIIでしたが、MRIでは、乳頭の先端から乳管が拡張している部分にかけて、広く造影されており、DCISあるいは乳管乳頭腫を疑うとのことでした。
医師は、悪性の方を強く疑っており、結果によっては手術の内容が大きく変わってくるので、超音波ガイド下マンモトーム生検を受けるようにと言われました。
そこで質問なのですが、
1、こちらのサイトを拝見する限り、造影MRIでは、良悪の診断はつかないのではないでしょうか?医師に、良性でも造影されるのでは?と聞きましたが、単位時間あたりの血流量が多く(?このあたりの説明はうろ覚えです)、良性ではこのような像は見られないと言われました。
乳がん特有のパターンがあり、乳管乳頭腫であっても、悪性のように見えることはないのでしょうか。
2、他の方への回答の中で、マンモトームを行うことによって乳管が傷つき、乳管造影ができなくなるかもしれない、ということが書かれていたのを拝見しました。
マンモトームを行った結果、良性だった場合にその後に正確な乳管造影や腺葉区域切除手術が受けられなくなるのであれば、やはり避けるべきなのでしょうか。
それとも早く確定診断を得るべきなのでしょうか。
受けるとしたら、恐らく結果が出る頃には、ちょうどそちらで診察を受ける予定なのですが…。
3、エコーで見た時に、乳頭下に5mm程度のしこりがありそうだということの他にも、拡張した乳管内にはっきりしないが、腫瘍のようにも見えるものがあるようでした。
このように多発するのは、乳がん特有のものでしょうか。
これまでほぼ1ヶ月に1度のペースで病院にかかってきたのに、ここへ来ていきなり悪性のものを疑われてショックを受けています。
お忙しいところ申し訳ありませんが。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「乳管乳頭腫であっても、悪性のように見えることはないのでしょうか。」
⇒あります。
 MRIは画像診断の1つにすぎず、確定診断には(当然ながら)なりませんし、「診断目的で使うべきでありません(有○の怪人とは意見が分かれますが)『今週のコラム 109回目 これは、「どちらが正しいのか?」という問題ではなく「どちらの診療を支持するのか?」患者さん自身に(その判断を)委ねます。
』をご参照のこと
「マンモトームを行った結果、良性だった場合にその後に正確な乳管造影や腺葉区域切除手術が受けられなくなるのであれば、やはり避けるべきなのでしょうか。」
⇒その通りです。
「このように多発するのは、乳がん特有のものでしょうか。」
⇒乳管内病変(乳頭腫も癌も含む)では多発することがむしろ当然です。
 それで鑑別はできません。
「これまでほぼ1ヶ月に1度のペースで病院にかかってきた」
⇒私には…
 (質問者には、失礼ならばお許しください)極めて無駄な診療にしか思えません。