[管理番号:2209]
性別:女性
年齢:52歳
田澤先生、どうかよろしくお願いいたします。
妻の件です。
マンモグラフィーで石灰化なし、エコーも異常なしで念のため造影MRIを勧められ検査を受けたところ、左乳腺EBDに13mm長のbranching
linear enhancementを指摘、second look USで病変を同定できず、RVS/Vnavi(仰向けMRIで病変を確認、ナビゲーションシステムを使いエコーで同定するという方法、日本に2カ所しかないとのこと)でエコー上病変を同定し、エコーガイド下マンモトーム生検となりました。
しかし、乳腺が硬くマンモトーム針が病変まで到達できず(お肉で言えばスジが多いというイメージでしょうか)18Gの細い針(採取時パチンと音が聞こえたとのことなのでばね式針生検針と思われます)に替え、3本の組織を採取したそうです。
3週間後にうまく採取できたのか再度うつ伏せ造影MRI検査を受けることになっておりますが、あまり自信のないご様子だったそうです。
検査結果が1週間後となっております。
質問です。
1)乳がんは構造的に肝生検のようにアプローチは簡単ではないことは想像に難くないのですが、先生のご経験上マンモトーム針が病変まで到達しないということはよくあるものなのでしょうか?
2)3週間後造影MRIをする予定ですがうまく生検が出来たかわかるものなのでしょうか?
2)多分結果が癌でなければ造影MRIで経過観察になりそうです。
しかし造影MRIでは早期から強く染まっており早期の癌の可能性があるとのことで生検をしたのだと思います。
病理のコメントや3週間後のMRIでうまく採れてない(サンプリングエラー)ように思える時には外科的生検を希望した方が良いのでしょうか?また触知出来ずエコーでしか同定できない小さな病変をうまく外科的生検出来るものなのでしょうか?
当然MRI上病変が大きくなった場合、また生検をしなくてはならないわけで、問題(アプローチ困難という)を先延ばしにするような気がします。
主治医の先生とは私自身直接お話をさせていただいておりませんが、先生は経験豊富な専門医で、今回の検査も汗だくで頑張ってくれたそうです。
誠実で尊敬できる方だと思います。
決して不信感のためこの質問を
させていただいたわけではありません。
今後の検査方針を考える上でのセカンドオピニオンをお願いしたわけです。
どうかよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「マンモグラフィーで石灰化なし、エコーも異常なしで念のため造影MRIを勧められ検査を受けた」
⇒マンモもエコーも異常無で「念の為、造影MRIを撮影」する理由が解りません。
「常識的」に考えると「マンモでFAD等、何らかの所見」があった筈です。
「しかし、乳腺が硬くマンモトーム針が病変まで到達できず18Gの細い針(採取時パチンと音が聞こえたとのことなのでばね式針生検針と思われます)に替え、3本の組織を採取」「あまり自信のないご様子」
⇒バネ式針生検もマンモトーム生検も、かなりの数行っている私の正直な感想としては、何とも「奇異に」思えます。
「硬い組織」こそ、「マンモトーム生検の方が針が入り易い」事実があります。
何故かというと、マンモトームの方が「針自体も太く、先も鋭い(刃が鋭利)」
「器具全体に重さがある」ため、『硬い組織にズブズブと入っていきます』
○例えて言えば、「薄いペラペラの刃の(小さな)カッター」と「厚く(全体に重く、ガッチリとした)カッター」で「リンゴを割るシーン」を思い浮かべてみてください。
力を伝えられる「厚くてガッチリしたカッター」の方が、硬いリンゴでも「スパッ」と切れますよね?
私の経験上、『どんなに硬い組織でも、マンモトーム(私はマンモトームエリートを使っていますが)であれば、問題無く組織を貫通』できます。
♯逆にバネ式では「硬い組織に、どうしても刃が経たない」ケースがあるので、「乳腺が硬そうで、厚みがあり、しかも乳腺の奥にある」場合には無条件で「マンモトームを選択」しています。
「日本で2台の器械」も使う人によっては、「大した意味」はないようです。
「乳がんは構造的に肝生検のようにアプローチは簡単ではないことは想像に難くないのですが、先生のご経験上マンモトーム針が病変まで到達しないということはよくあるものなのでしょうか?」
⇒(上記でコメントしたように)一度もありません。
「3週間後造影MRIをする予定ですがうまく生検が出来たかわかるものなのでしょうか?」
⇒私には、何の目的でMRIを(再度)撮影するのか理解に苦しみます。
「問題の組織に(針生検による)スカーが入っているか、見る為?」なのか。
あまり、意味の無い検査でしょう。
「病理のコメントや3週間後のMRIでうまく採れてない(サンプリングエラー)ように思える時には外科的生検を希望した方が良いのでしょうか?」
⇒私には「マンモトームで到達できない」理由がわかりません。
「マンモトームできない」のであれば、(画像上、疑われている以上)その選択の方がいいと思います。
「触知出来ずエコーでしか同定できない小さな病変をうまく外科的生検出来るものなのでしょうか?」
⇒これは問題ありません。
エコーガイドで病変上に「色素マーキング」して、(そのマーキング部分を中心に)大きめに切除すればいいのです。