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針生検と術後病理検査で結果が大きく変わることはありますか

[管理番号:6653]
性別:女性
年齢:40歳
初めてご相談させていただきます。
よろしくお願いいたします。
初期のルミナルa(硬癌)と診断され、乳房温存術、センチネルリンパ節生検を受けました。
(術前所見)
右乳癌疑い 8×8×7mm
乳管内乳頭腫疑い 12×8×11mm
※下は良性でしたがすぐ近くで繋がっているため一緒に取ったようです。
造影CT: 濃染腫瘤は指摘できず
造影MRI: 同定できず(BPE強いため、再度確認するとおそらく該当箇所の淡い濃染は確認できる。
少なくともEICなし)
腫瘍マーカー:CA15-3 7.99U/ml
病理(針生検):
CNB 右CD IDC(2a3)
免染 ER 90%~
PgR 90%~
Her2 (1)
ki67 1%
(私なりに勉強したつもりですが見当違いな項目がありましたらご容赦ください。
あとどの項目にあたるのかよく理解できていないのですが、核異型度は1とおっしゃっていました。)
典型的なルミナルa と聞き気楽に手術を受けたのですが、センチネルリンパ節生検で転移が見つかりました(1/2)。
2.1mmで、追加切除はせず放射線治療を行うようです。
術後に先生が、この癌の大きさでの転移はあまりない、病理検査の結果を慎重に見なければ、とおっしゃったのと、術後は放射線+ホルモン治療とはっきりおっしゃっていたのが、突然組織検査の結果を見て方針を決めます、と曖昧になったことで一気に不安が増し、夜も寝られなくなってしまいました。
癌からセンチネルリンパ節までははっきりと染色?されており、たまたまがん細胞が流れていったのかな、と楽観的に考えたいのですが、ki67の値は術後の検査で大きく変わり得る、ルミナルa からルミナルbに診断が変わることも珍しくない、との情報を得てしまい、とても動揺しています。
増殖能が低いはずで、メインの癌が8mmなのにリンパ節で2mmもの大きさになっているということがとても気持ちが悪く、実は悪性度の高い癌なのではととても毎日が苦しいです。
田澤先生ならどのような可能性をお考えになりますか?
本当に追加切除は必要ないのでしょうか。
大きく診断が変わり、追加切除や抗がん剤治療が加わる可能性はあるのでしょうか。
隣のリンパ節は大丈夫なんでしょうか、と主治医に聞いたところ、大丈夫とは言い切れないが私は(癌細胞は)ないと思っている、との答えも主治医の態度からどこまで信じて良いのかわかりません。
一所懸命勉強中ですが、田澤先生のQ&Aもまだ読みきれてはおれません。
過去に同じような質問がございましたら本当に申し訳ございません。
拙い文章で恐縮ですが何卒お考えをお聞かせください。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
メール内容を読みました。
まず重要なことは「主治医の感想」などはどうでもよく、あくまでも「事実だけを冷静に判断する」ことです。
「2.1mmで、追加切除はせず放射線治療を行う」
→「センチネルリンパ節生検の取り扱い」については、ちょうど次回の「今週のコラム(142回目)」に取り上げる予定なので、後日ご確認ください。
 「微小転移(2mm以下)では郭清省略」強く推奨①
 「肉眼的転移(2mm≧)でも2個以内、かつ条件を満たす場合は郭清省略可能」弱く推奨②
 ☆現在のガイドラインでは上記となってます。
  本来は「術前(事前)に、あなたの場合にはこうします」という取り決め(説明)がなされているべきですが、どうだったのでしょうか?
  (事前の取り決めが曖昧だったとして)担当医は②を行おうとしているようですが、この場合には「2個以内が条件」であることに注意が必要です。(2個以内であることを証明するには「2個調べて1個のみ」もしくは「3個調べて2個のみ」などが厳密には必要となります)
  その点が、質問者のケースでは②にも(厳密には)該当しない(2個以内であることが確認されていない)ことをどう考えるか?となります。
「術後に先生が、この癌の大きさでの転移はあまりない、病理検査の結果を慎重に見なければ」
→まるで「小さい癌でリンパ節転移があったことに重大な意味(特別、悪性度が高い)」などを匂わせているようですが…
 全く無意味!
 根拠のないことに悩む必要はありません。
「田澤先生ならどのような可能性をお考えになりますか?」 
→たまたま「近かったから」とか、偶然「リンパ管の中に入った」だけの話で、全ては確率論。 「深読み」は止めましょう。
「ルミナルa からルミナルbに診断が変わることも珍しくない、との情報を得てしまい、とても動揺」
「大きく診断が変わり、追加切除や抗がん剤治療が加わる可能性はあるのでしょうか。」

→あくまでも可能性。
 術前に1%であれば、「ほぼ間違いなく」術後の評価でもルミナールAでしょう。
(根拠のない不安は体に毒です)
「メインの癌が8mmなのにリンパ節で2mmもの大きさになっているということがとても気持ちが悪く、実は悪性度の高い癌なのでは」
→全く、無意味。
 ご心配なく。
「本当に追加切除は必要ないのでしょうか。」
「隣のリンパ節は大丈夫なんでしょうか、と主治医に聞いたところ、大丈夫とは言い切れないが私は(癌細胞は)ないと思っている、との答え」

→もしも(主治医自身が不安なら)術中に最初から「追加郭清すべきだった」のでは?
 解っていて「郭清省略」したのなら、責任をもってほしいものです。(最低限、主治医自ら3か月に1回腋窩エコーしてもらえばいいのです)