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経過観察の頻度について

[管理番号:5539]
性別:女性
年齢:44歳
 
初めてご相談いたします。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 
44歳女性、閉経前です。
5ヶ月前にしこりを自覚し、細胞診、組織診、外科生検を経て乳がんと診断されました。
1ヶ月前に左乳房を全摘して、以下の病理結果が出ました。
今後の治療と経過観察についてご意見を賜りたく、お願いいたします。
 
組織型:管状がん
浸潤部:0.7×0.5cm、0.2×0.2cm 合計2ヶ所
非浸潤部:2.4×1.5cm、4.7×2.2cm
センチネルリンパ節転移なし0/1
核異型度1
組織異型度1
リンパ管、脈管侵襲なし
Ki67 12%
ホルモン感受性あり
her2なし
断端陰性
 
主治医によると、今後の治療はタモキシフェンを5年(10年は不要でしょう、とのこと)。
経過観察は、採血、エコー、マンモグラフィを一年に一度だけ。
自覚症状があれば受診してください、とのことです。
 
管状がんは比較的おとなしいと、こちらのサイトで勉強させていただいておりますが、質問は、
【ホルモン治療はタモキシフェン5年で十分でしょうか?先生が診断されるとしたら、どのような治療になりますか?】
非浸潤部が大きいのと、センチネルリンパ節を1つしか調べていない点が心配です。
母も伯母も乳がん経験者なので遺伝も気になります。
 
【本当に経過観察は一年に一度で十分でしょうか?先生はどのくらいの頻度が適当と思われますか?】
特に対側のエコーだけでも念入りにしたいと思ってしまいます。
 
【一年に一度以上の経過観察が必要な場合、経過観察だけを江戸川病院で先生にみて頂くことはできますでしょうか?その場合は、何ヶ月に一度くらいの受診になりますか?】
大変お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 
末筆ながらこのような相談の場を設けてくださり感謝いたします。
くれぐれもお身体ご自愛くださいませ。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
管状癌組織型をほぼ気にしない私でさえ、これは予後良好と言い切ります。
「管状癌で7mm」で全摘していれば、「非浸潤癌で全摘」=「根治」に限り無く近いと思います。
もしも(自分の患者さんであり)「ホルモン療法もしたくない」と言われれば、(迷うことなく)「あー。いいですよ」と二つ返事です。
 
センチネルリンパ節生検は「正しい精度」で行われれば「1個であるべき」です。
大病院(特に大学病院)で「複数個取っている」のは(多くの未熟な医師達の手術があるので)「1個では精度が担保できない(上手くセンチネルリンパ節を探せずに、誤ったリンパ節をセンチネルリンパ節としてしまう可能性が高い)」からなのです。
「沢山取る」ことは(本来のセンチネルリンパ節生検の目的である)「腋窩郭清(によるリンパ管損傷)の回避」と、完全に矛盾します。(センチネルリンパ節といいながら、10個も取ったら腋窩郭清と変わらないということです)
 
「【ホルモン治療はタモキシフェン5年で十分でしょうか?」
⇒その通り。
 
「非浸潤部が大きい」
⇒全く無関係です。(全摘しているのだから、非浸潤癌の拡がりなど何の意味もありません)
 
「センチネルリンパ節を1つしか調べていない点が心配」
⇒本来の、正しいセンチネルリンパ節は1個なのです。(7mmでそもそも転移を心配する必要は皆無)
 
「母も伯母も乳がん経験者なので遺伝も気になります。」
⇒遺伝性乳癌にはとても思えません。(組織型やサブタイプなど)
 そもそも、(これだけ乳癌が増えているので)「家族や親せきに乳癌が全くいない」方が珍しい時代なのでは? と最近は感じています。
 
「【本当に経過観察は一年に一度で十分でしょうか?先生はどのくらいの頻度が適当と思われますか?】」
⇒冒頭でコメントしたように…
 「非浸潤癌で全摘=根治」と同等という観点からすると、それでも十分と思います。
 
「特に対側のエコーだけでも念入りにしたいと思ってしまいます。」
⇒ホルモン療法で3カ月に1回通院しているなら、自然と「3カ月に1回」診察エコーするものですが…
 
「【一年に一度以上の経過観察が必要な場合」
⇒上記コメント通り、必要ではありません。
 
「経過観察だけを江戸川病院で先生にみて頂くことはできますでしょうか?その場合は、何ヶ月に一度くらいの受診になりますか?】」
⇒このようなケースは実は、結構多いです。
 ただ、「江戸川病院」は混んでいるので、殆どが「メディカルプラザ市川駅」です。
 
 「半年で十分」です。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

タモキシフェンと子宮内膜腫大について
性別:女性
年齢:45歳
病名:乳癌、子宮内膜腫大
症状:子宮内膜 一部核の腫大

2年前に術後のホルモン治療について相談させて頂いた者です。
その節はありがとうございました。

2年間大きな副作用もなくタモキシフェン20mgのみを服用しておりましたが、この度、婦人科で子宮内膜細胞診をしたところ「一部核の腫大を認めますがタモキシフェンによる変化を推定します。明らかな悪性細胞は認められません」とコメントされました。

半年後に再検査が必要とのことです。

タモキシフェン服用後間もなくから不正出血が月に2,3度あり、出血は2,3日続きますが、婦人科医師からは出血が1,2週間止まらなければ受診してくださいと言われています。

生理はまだあります。

他の方への先生のコメントから、タモキシフェンは子宮がんのリスクより乳がん抑制効果のほうが高いこと、ただし子宮内膜の異常があったらタモキシフェン服用休止して回復したら服用再開も可能であることを学びましたが、私の場合リスクと効果のバランスをどのように取れば良いのか、具体的に教えて頂きたくお願いいたします。

【このままタモキシフェンを服用して大丈夫でしょうか?】
次回の乳腺外科の診察は2ヶ月後ですが、それまで服用してよいか、すぐに服用中止するべきか。

次回の乳腺外科診察時にタモキシフェン休止を依頼するべきか。

【子宮内膜がどのような状況になったらタモキシフェン服用休止あるいは治療法変更すべきでしょうか?】
内膜が何ミリかなどは聞いていませんが、確認すべきでしょうか。
また、服用休止の基準のような目安はあるでしょうか。

腫大、肥大、ポリープ、筋腫の違いがよく理解できていません(これは婦人科で確認すべきですね。申し訳ありません)

【治療法をタモキシフェンから変更するとしたら、先生はどのような治療法、薬が有効だと思われますか?】
生理は定期的にありますが、生理を止める薬は有効でしょうか。

【次回の婦人科検査は半年後で大丈夫でしょうか?】
また、不正出血が1週間以上続いたら受診というのは遅すぎないでしょうか。

術後の生活がようやく落ち着いてきたところの新たな心配で、精神的に参っております。
お忙しいとは存じますが、先生のご意見を賜りたく何卒お願いいたします。

なお術後の病理結果は以下の通りです。

どうぞよろしくお願いいたします。

左胸全摘
組織型:管状がん
浸潤部:0.7×0.5cm、0.2×0.2cm 合計2ヶ所
非浸潤部:2.4×1.5cm、4.7×2.2cm
センチネルリンパ節転移なし0/1
核異型度1
組織異型度1
リンパ管、脈管侵襲なし
Ki67 12%
ホルモン感受性あり
her2なし
断端陰性
以上です。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。

質問者は、大きく勘違いされているようです。
子宮体癌の診断については「婦人科」が行うものであり、それが「どのくらいのリスクで、どのくらいのスパンの経過観察が必要なのか?」は婦人科の判断なのです。
(その原因がタモキシフェンにあってもなくても)

「次回の乳腺外科の診察は2ヶ月後ですが、それまで服用してよいか、すぐに服用中止するべきか。」
→婦人科で「子宮体癌のリスクがあるから、止めてください」と言われていないわけですよね?
 それなら、「医学的に」止める理由はありません。

 ★ただ、その出血自体が(癌のリスクとは別に)質問者本人にとって「嫌な事=止めたい」のであれば、リュープリンを併用することです。(緊急性はないのだからタモキシフェンをすぐに止める理由はないですね)

「【子宮内膜がどのような状況になったらタモキシフェン服用休止あるいは治療法変更すべきでしょうか?】」
→それは婦人科医に聞きましょう。

 (婦人科医が)現時点で子宮体癌のリスクが無いとの判断であれば継続可能です。
(そのための経過観察なのです)

「【次回の婦人科検査は半年後で大丈夫でしょうか?】また、不正出血が1週間以上続いたら受診というのは遅すぎないでしょうか。」
→それを(乳腺外科医である)私に聞きますか?

 専門家である「婦人科医」の判断に異を唱える理由がありません。