[管理番号:859]
性別:女性
年齢:51才
初めて質問させていただきます。海外在住51才、出産、妊娠の経験はありません。1年ほど前より生理がなくなく、こちらの婦人科の医師によると、そろそろ閉経と判断するとのことでした。
そして、毎年受けている人間ドックの乳がん検診(マンモグラムと超音波)で、BI-RADSと判定されましたが、今回その判断をした医師とのフォローアップは12月初旬と言われました。
病院から検診結果についての説明は何もありませんでした。
昨年の同様の検診では、BI-RADS2でした。以下のような結果報告書をもらいましたが、日本の乳がん経験者の友人たちから、半年を待たずに日本での細胞診を進められています。
こちらの医療は、欧米や日本に留学した医師の方も多いですが、日本のようにネットなどで公開されている情報もほとんどなく、どこで、どなたに診てもらうのがよいのかわからず、たいへん不安です。
日本での精密検査も考えています。
レポートは以下のような内容でした。何か、アドバイスをいただけないでしょうか。
実家は横浜ですが、こちらの大学で教員をしているので、学期中(今学期は11月末まで)週1日は出勤しなければな<ぁw)閧ワ :文字化け>せん。どうぞよろしくおねがいいたします。
Mammographic findings;
Breast composition: Heterogeneous moderately dense,which could obscure detection of small masses. Few scattered benign round microcalcifications are seen in both breasts.
No detectable mass, architectual distortion or maglinant microcalcification. Intact nipple and skin in depicted. No axillary adenopathiy is found.
Sonographic findings:
Rt. breast; A small oval shaped low echopic lesion at peripheral 9-10HR size about 2x8x5 mm.
Lt. breast; No mass is seen.
IMPRESSION: Unchanged heterogeneous moderately dense & few scattered benign microcalcifications both brease.
**Recently seen a small oval shaped low echopic lesion at peripheral Rt.9-10HR; probably benign(could be fat lobule or hypoechopic cyst); advise follow up.
BI-RADS3 ; Probably benign findings; less than 2% probably of malignancy. Suggest next 6 months U/S follow up and annual mammogram if unchanged breast self-exam., monthly.
これに加えて、4年前より、CEAが基準値を超えている(7.8、7.15、6.95)という指摘をうけていましたが、今年は、8.95でしたが、消火器系統の精密検査では異常がありませんでした。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
海外からのメールですね。
やはり、海外在住の方は「地元の医療水準」について不安があると思います。
回答
「Rt. breast; A small oval shaped low echopic lesion at peripheral 9-10HR size about 2x8x5 mm」
「probably benign(could be fat lobule or hypoechopic cyst); advise follow up」
「Probably benign findings; less than 2% probably of malignancy. Suggest next 6 months U/S follow up」
⇒マンモでは異常所見は無いようですが(両側のび慢性石灰化はありますが、大丈夫です)
超音波で右乳腺の9時~10時方向(外側ほぼ真横~やや上)に「2x8x5mmの卵円型の低エコー所見」があるとのことです。
カテゴリー3ではあるが、おそらく良性(脂肪か濃縮嚢胞の可能性が高い)であり、「悪性の可能性は2%以下」であり6ヵ月後の「超音波によるフォローアップ」が勧められています。
⇒記載内容から判断するに、「フォローアップでも良い(6ヵ月で大きな問題はない)」所見には思います。
但し(1年前にはなかった新たな所見であることを考慮すると)細胞診を行い確認した方が「より安心」ではあります。
○今、8月ですが、「11月の学期が終了してから」日本で細胞診しても「何ら(時間的には)問題ありません」
質問者様から 【質問2】
早々のお返事どうもありがとうございました。お返事はすぐに読んでとても落ち着いたのですが、こちらでテロ事件が起こり、勤務先に至近だったため、対応に追われ、遅れてしまいました。
さっそくですが、こちらでの検査結果BI-RADS3へのコメントをどうもありがとうございました。おかげさまで、たいへん落ち着き、次のことを考える余裕が生まれました。そこで、日本での検査、治療について、教えていただけませんでしょうか。わたしの書き方が悪かったのですが、今学期の終了を待たず、日本で検査だけをまず受けてみようかと思っています。乳がんの経験者の友人たちから、その後治療が必要になった場合を考えると、ひとりで過ごすより、実家近辺での病院を探した方がよいとアドバイスをもらったのですが、検査、精密検査とその後の治療先は同じであるべきなのでしょうか。それとも、同じである必要はないのでしょうか。ご多忙と思われますが、ほかに聞けるあてもなく、どうぞよろしくおねがいいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
回答
「日本での検査、治療について、教えていただけませんでしょうか。」
⇒検査は、「細胞診もしくは針生検」となります。
治療は「乳癌だった場合」に行う事になりますが、
基本は以下の3点です。
•手術(腫瘍からは十分距離を離して部分切除(温存術)もしくは乳腺の全摘出)
•放射線(温存手術を選択した場合には、原則全例で放射線照射を行います)
•薬物療法(ホルモン療法と抗がん剤と分子標的薬があります。其々の使い分けは(腫瘍の進行度ではなく)「腫瘍の性質」により行います。
更にサブタイプとは…
組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
エストロゲンレセプターの発現(ER)
プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
⇒これらの組み合わせで
●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
♯luminalA(Ki67低値)ではホルモン療法単独を、luminalB(Ki67高値)には(ホルモン療法に加え)化学療法も行う事が多い
● HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常の抗癌剤の組み合わせを行う
●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行う
●トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。
「検査、精密検査とその後の治療先は同じであるべきなのでしょうか。それとも、同じである必要はないのでしょうか」
⇒同じである必要はありません。
「診断」と「手術」と「術後治療及び、経過観察」は全て別々の病院でもOKです。