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化学療法をした方が良いのか。その場合の上乗せはどのくらいなのか。

[管理番号:7851]
性別:女性
年齢:32歳
病名:乳癌 ルミナールA
症状:

田澤先生、初めまして。

ネットで調べているうちにここに辿り着き、色々学ばさせて頂いております。

32歳女性、未婚、ルミナールAの乳癌になってしまいました。

部分切除を経て、化学療法はなくして放射線治療中です。

詳しい病理検査の結果は以下の通りです。

☆腫瘍の大きさ(腫瘍径) 2.1センチ×1.8センチ
☆グレード1(2+2+1=5)
☆エストロゲン受容体 
(+++) PS5+IS3=TS8
☆プロゲステロン受容体
(++) PS3+IS2=TS5
☆Ki-67 平均15%(10~20%まで見られる)
☆腋窩リンパ節転移 1/4(0.5ミリのミクロ転移が1つ)
☆脈管侵襲(リンパ管侵襲・静脈侵襲) ナシ
☆断端面(組織断面) ギリギリ陰性
★原発巣から2センチ離れたところに娘結節あり(4×3ミリ)

①田澤先生の過去の履歴から、Ki-67が
20%以下は化学療法を考慮しなくて良いと認識しております。

既に放射線治療は始まっております。

ただ、年齢が若い事と、腋窩リンパ節への転移があること、そして想定してなかった娘結節の出現に、懸念しております。

自分で再発のリスク(数字)を確かめたくてアジュバント・オンラインを調べてみたのですが、何故か?発見出来ませんでした。

もう遅いけど、私の場合の化学療法上乗せ効果は、具体的に数字にするといくつくらいなのか教えて下さい。

放射線治療のみ・放射線治療+ホルモン治療・放射線治療+化学療法+ホルモン治療全て、の場合のそれぞれの上乗せ効果(または再発率)を教えて頂けると有り難いです。

また、田澤先生は私の場合も化学療法は必要ないとお考えでしょうか?
オンコタイプも検討しておりますが、田澤先生の意見も頂けると力強いです。

②ペットCTのときも、MRIのときも、娘結節は発見されず、病理検査の結果発見されて、正直落ち込んでおります。

ペットCTは5ミリから発見されると書いてあるので、5ミリ以下だから見つからなかったのでしょうが、だとすると、手術で取りそこねた娘結節が他にもあるのではないか、再手術が必要なのではないかと不安です。

病院では、ペットCTのときは原発巣がかなりはっきりクッキリ光ってたので、娘結節が吸収された?引き込まれた?みたいな感じで言われましたが、それにしては2センチの距離は離れすぎているようにも見受けられます。

私の場合、他の娘結節は原発巣から3センチや4センチ離れて現れる可能性もあると思われますか?
想定してなかった娘結節のせいで断端面がギリギリ陰性(取りきっているか分からない)らしくて、再手術をしない代わりに化学療法をするべきでしょうか?

普通のルミナールAとは違い、娘結節があるので、今更ながら化学療法をするべきだったかと悩んでおります。

長々と書いてしまいましたが、アドバイス宜しくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「もう遅いけど、私の場合の化学療法上乗せ効果は、具体的に数字にするといくつくらいなのか教えて下さい。」
⇒ルミナールAと仮定すれば「上乗せなし」となりますが…

 あくまでもKi67は「目安」なので、本当に確実なのはOncotypeDXすることです。

「放射線治療のみ・放射線治療+ホルモン治療・放射線治療+化学療法+ホルモン治療全て、の場合のそれぞれの上乗せ効果(または再発率)を教えて」
⇒時々、この手の質問をする方がいらっしゃいますが…

 ○再発は「局所再発(温存乳房内再発を含む)」と「全身遠隔転移再発」に明確に分けてください。

  放射線は前者を下げるために行っているものであり、後者とは無関係です。

「田澤先生は私の場合も化学療法は必要ないとお考えでしょうか?」
⇒その通り。

「②ペットCTのとき」
⇒32歳の早期乳癌でPET!!(望んでいるかは別として「妊娠出産可能年齢」は考慮して行うべきと思います)

「私の場合、他の娘結節は原発巣から3センチや4センチ離れて現れる可能性もあると思われますか?」
⇒全く根拠がありません。

「再手術をしない代わりに化学療法をするべきでしょうか?」
⇒「局所」が心配なら「局所」で勝負するべきであり、「局所(手術)の借りを全身(抗がん剤)で返す」という発想は誤りです。(そもそも抗がん剤の効果も期待できないとは思いますが…)

「普通のルミナールAとは違い、娘結節があるので、今更ながら化学療法をするべきだったかと悩んでおります。」
⇒「全く」その発想についていけません。

 局所と全身は別物です。それを「ごちゃまぜにする」こと自体全くナンセンス!

○ちなみに…
乳癌が乳管内から生じる以上、「乳管内進展=娘結節」があることは想定内です。
(温存手術は、それを想定して行われるべきなのです)『今週のコラム 204回目 温存手術後の乳房内再発は20%(!)~5%まで幅があると思います。これは手術のやり方なのです。』をご一読ください。