[管理番号:880]
性別:女性
年齢:51歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
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田澤先生、いつも的確なご回答をいただきまして心から感謝しております。
先日、手術後の病理の結果がでました。
①小葉がん9×6×5mm大 ER95% PgR95% Ki67 2.5%(14/556) Grade1(1-2-1)
腫瘍浸潤は乳腺間質から周囲脂肪織まで達しています。脈管侵襲は認めません。
②小葉がん6mm 腺内にとどまります切除断端に露出を認めません。Grade2(3-1-1)
③小葉がん6×6×5mm大 ER90% PGR Negative Ki67 0%(0/89) Grade2(3-1-1)
索状ないし線状配列~単個でばらばらと乳腺間質から周囲脂肪織へ浸潤増殖しています。乳管を取り巻く像も見られます。脈管侵襲は認められません。
リンパ節転移はセンチネルリンパ節に1個でした(全摘でリンパ節はレベルⅠ、Ⅱまで郭清しました)。
当初、術前の病理結果では①は乳管がんとの説明でしたが、術後の病理でそれが特殊型である、管状がんと言われ、1週間後にやっぱり小葉がんというように結果が何度も変わりました。また、手術後、新たに乳頭近くに③がみつかりました。
それから、病理の報告書の最初に『腫瘤浸潤巣は複数みられ、その間にも管内病変があり、真の個数を同定するのは困難ですが、おおむね以下の3箇所と判断します。』という記載がありました。また①と②との間および②と③の間に管内病変を認めますという記述もありました。こちらは、私が前回、田澤先生への質問の中で、(MRIの画像上で)『乳頭に向かって進展する7cmの拡がり(小さい点々が乳頭4mmまで伸びている』という部分にあたると思います。
このような病状で、抗がん剤や放射線治療など今後の治療方針はどうすればいい
か、先生のお考えをお聞かせいただきたく思います。
手術の直後はリンパ節転移があったことから抗がん剤も覚悟していましたが、3週間後の病理の結果で主治医はホルモン療法のみでいいいとの考えでした。
kiの数値やホルモンの感受性などからおとなしいがんと思いますが、リンパ節転移1個というのが気がかりで、再発転移だけは避けたいので抗がん剤をどうするか悩んでいます。また放射線についても少しでも無再発率が高くなるならやりたいと思っています。ただ副作用とそのベネフィットを考えて、抗がん剤や放射線の上乗せ効果がほとんどないのならやらなくてよかったと思う気持ちもあります。
先生のご経験の中で、私のような病状の患者さんで抗がん剤をしなかった割合はどれくらいか、おおよその数値だけでも教えてください。なかなかその境界がわかりません。抗がん剤によってあまり効果の上乗せがないと思われるがんで、抗がん剤をしなくて再発したとしたら、抗がん剤をしなかったために再発したというよりはそれはもともと抗がん剤をしていても再発転移していた群になるということでしょうか?例えばステージⅡでホルモン療法が効くがんの場合、抗がん剤をするかしないかの境界はkiやGradeだと思いますが、それが明らかに低い場合はリンパ節転移があっても抗がん剤をしないという選択をする方は多いのですか?
補足として、術前の病理結果でGrade1から術後病理結果ではGrade2に変わっています。これは、小葉がんが核異形度が3になるので、3-1-1で(核分裂が少なくおとなしいがんであるが)どうしても高くなるのは仕方ないというような説明でした。この意味が今一つ理解できておりません。どういう解釈をすればいいでしょうか?
さらにわからないのは、おとなしいがんでもリンパ節転移していたというのは時間が経っていたからでしょうか?リンパ節転移は直接遠隔転移と関係しないと理解しておりますが、統計的にリスクが高いとされているのは全身にみえないがんがいっている可能性が高いからでしょうか。それでもホルモン受容体をもつおとなしいがんならホルモン療法だけで全身のがんが死滅させられるという考えから、リンパ節転移があっても抗がん剤をしない場合があるという認識はただしいですか?がんの大きさやKi,Gradeなどいろいろな要素の組み合わせで考えているうちにわからなくなります。
この病理の結果から、私はホルモン治療のみで無再発率はどれくらいなのでしょうか?私の場合、化学療法の上乗せ効果はどれくらいになるでしょうか?
また、主治医は抗がん剤をするとしたら、UFTを選択肢として考えてくださっています。こちらに関しては6~7年くらい前にがん関連のネットの掲示板などでよく耳にしていた記憶がありますが、最近も使用されている薬剤なのでしょうか?
経口抗がん剤で副作用がアンスラサイクリンなどより少ないイメージですが、UFTのことがあまりよくわかりません。
一日でも早く治療を始めたいという思いが強いですが、迷いがあるとなかなか一歩を踏み出せません。どうかご回答をいただきますようよろしくお願い申し上げます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1b(9mm), pN1, luminal A(Ki67=2.5%)
回答
「抗がん剤や放射線治療など今後の治療方針はどうすればいいか」
⇒抗がん剤は不要です。
私が再三引用するようにSt.Gallen 2015では「luminal Aに化学療法を適応するにはリンパ節転移4個以上」です。
さらに、Ki67=2.5%では「化学療法は殆ど無意味」だと推測しますし、pT1b(9mm)からも全く不要と私は判断します。
放射線照射も私なら選択しません。
理由としては、pT1b, Ki67=2.5%という大人しさからは「胸壁再発」はとても考えられません
更に、1個のリンパ節転移ですが、「再建乳房にわざわざ照射する程のリスクとはならない」と考えます。
「私のような病状の患者さんで抗がん剤をしなかった割合はどれくらいか、おおよその数値だけでも教えてください」
⇒少なくとも、この5年間では100%です。
その昔「リンパ節転移が1個でもあれば化学療法を考慮すべき」という時代には(勿論Ki67などもありませんでした)50%位には勧めていたと思います。
但しpT1b=9mmやNG1から(その時代でさえ)「患者さんの希望を確認しながら」だったとは思います。
「抗がん剤をしなくて再発したとしたら、抗がん剤をしなかったために再発したというよりはそれはもともと抗がん剤をしていても再発転移していた群になるということでしょうか?」
⇒私も同意見です。
「例えばステージⅡでホルモン療法が効くがんの場合、抗がん剤をするかしないかの境界はkiやGradeだと思いますが、それが明らかに低い場合はリンパ節転移があっても抗がん剤をしないという選択をする方は多いのですか?」
⇒ステージⅡでしかも「リンパ節転移あり」となると①pT1, pN1(2A), ②pT2, pN1(2B)となります。
「Kiやgradeが明らかに低い」とは「luminal A」となります。
つまり整理すると「luminal A」で上記①②で化学療法を選択するか?となります。
どちらも「リンパ節転移が1~3個」となるのでSt.Gallen 2015から「化学療法は不要」と私は判断しています。
○質問者の意図が「私が化学療法を勧めなくても、自らの意思で化学療法を希望するか?」だとすれば、「それも殆どありません」となります。
「小葉がんが核異形度が3になるので、3-1-1で(核分裂が少なくおとなしいがんであるが)どうしても高くなるのは仕方ないというような説明」
⇒核グレードが「核異型度の点数」+「核分裂の点数」なので「分裂が少ない=大人しい」割りに「核グレードとして2となってしまう」事をいっていると思います。
「おとなしいがんでもリンパ節転移していたというのは時間が経っていたからでしょうか?」
⇒こういうものを解釈しようとすると、「推測の域をえない」ことであることをご了承いただくとして…
大人しいから「9mmの大きさ」となるまでに「浸潤癌として長期間、存在していた」となると「たまたまリンパ管に侵入する確率も高くなる」という解釈をしました。
「統計的にリスクが高いとされているのは全身にみえないがんがいっている可能性が高いからでしょうか」
⇒「全身に見えない癌がいっている可能性」と言う表現は「誤解を生み易い」ので私は好きではありません。
「癌細胞がリンパ管に入った」と言う事実が(血管やリンパ管は同じようなところに存在しているので)「癌細胞が血管に入った可能性も高くなる」という解釈をします。
♯実際は「質問者の意味しているところ」と全く同じ考え方です。
「それでもホルモン受容体をもつおとなしいがんならホルモン療法だけで全身のがんが死滅させられるという考えから、リンパ節転移があっても抗がん剤をしない場合があるという認識はただしいですか?」
⇒質問者の言わんとしている事は解ります。
大凡、私も同意見ですが、敢えて細かくいうと
同じように「リンパ節転移がある」としても「大人しいタイプ」と「増殖の早いタイプ」では、そもそも「再発リスクが異なり」ます。
更に、「大人しい」タイプでは「ホルモン療法による効果が大きい」ので「化学療法による上乗せは、(増殖の早いタイプに比べ)かなり圧縮されて小さくなる」のです。
結果として「抗がん剤をしない」理由は、「抗がん剤による上乗せ効果が小さいから」ということになるのです。
「私はホルモン治療のみで無再発率はどれくらいなのでしょうか?」
⇒16.3%です。
「化学療法の上乗せ効果はどれくらいになるでしょうか?」
⇒3.4%です。
「UFT」「最近も使用されている薬剤なのでしょうか?」
⇒殆ど使われていません。
標準治療ではありません。(術後療法の適応は通っていますが…)
更に、今主流である「アンスラサイクリン」や「タキサン」の前時代である「CMF」との比較で「非劣勢を証明できなかった(CMFより劣っているという事)」という過去もあります。
あくまでも「化学療法の適応ながら、何らかの事情で点滴治療ができない」症例限定という立ち位置です。
○化学療法の上乗せが3.4%という中で「UFTを行う意味」は殆ど無いと思います。
質問者様から 【質問2】
田澤先生、いつもありがとうございます。
このサイトで乳がんについての知識が深まりました。またリンパ節転移など概念が理
解しにくい事柄について、ここまで詳しく解説してくださる先生は田澤先生しかおら
れないと思います。医療従事者ではない患者の知りたい思いに徹底的に付き合い、見
事に疑問に答えてくださる先生の姿勢にいつも感銘を受けております。
手術から2か月近くが経過しました。今は、3週間前から始めたホルモン治療の副作
用のせいなのかもしれませんが、再発への恐怖が強くて夜はあまりよく眠れていませ
ん。
サブタイプ(ルミナールA) から抗がん剤が効かないということは頭では理解できて
いますが、実際自分のからだにもしがん細胞が残っていたら抗がん剤で小さいうちに
強力に叩いてしまいたいという思いがあります。
前回田澤先生に質問申し上げた後、術後の病理結果が一部修正されました。
その内容は以下のようなものです。
私は片側乳房に3つの腫瘤とセンチネルリンパ節に一個転移がありましたが、
①小葉がん9×6×5mm ER95% PgR95% Ki67 2.5% Grade1(3-1-1)
②小葉がん6mm ER95% PgR10% Grade1(3-1-1)腺内にとどまります
③小葉がん6×6×5mm ER95% PgR 0% Ki67 0% Grade1(3-1-1)
当初tubular ca として報告されていた①はILC with multiple invasive foci
だったというのは前回の質問にも記述しました。
今回、病理結果報告書の追加記載として、
『迅速診断にて2mmを超える転移を認めました(1/1)が、Level-Ⅰ、Ⅱリンパ節に
転移は認めません(0/14)。
3つの浸潤巣すべてを合計すると、ER(>95%),PgR(50%)でKi3%未満です』
また、今回の病理結果で前回と違うところは、①のGradeの内容と②③のGrade2→
Grade1です。
核異形度1と核分裂数1は前回と変わらず、小葉がんのため管腔形成度?が3になっ
て、トータル5でSBR分類?は①~③のすべてがGrade1となりました 。
他には3つの腫瘍のホルモン感受性の割合が合計された数値が明示され、また、③の
ERの数値の変更(90%→95%)、②のPgR 10% の情報が追加されました。
【質問】
前回の質問でホルモン治療のみで無再発率が16.3%というご回答をいただきました
が、それはGrade1で計算されたものでしょうか?
上記の内容に修正されても無再発率は変わりませんか?
病理報告書には、①と③についてそれぞれ『腫瘍浸潤は乳腺間質から周囲脂肪組織ま
で達しています。』、『索上ないし線状配列~単個でぱらぱらと乳腺間質から周囲脂
肪組織へ浸潤性増殖しています。乳管を輪状に取り巻く像も見られます』というコメ
ントありましたが、皮膚までは浸潤していないということかなと思うのですが、どう
いった状態なのかご説明いただけたら助かります。脂肪組織に浸潤というのはかなり
進行している状態しょうか(血行性転移という観点で)?
①③共に『脈管侵襲は認めません』(英語では『Lymph-vascular invasion:Not
identified』)と記載されているのですが、私のようにリンパ節転移があってly(-)
やv(-)という状態をどのように解釈すればよろしいでしょうか?
リンパ節転移があったこと自体がリンパ管に侵入しているということだと思うのです
が、手術で切除した部分になければそれなりに軽度だったと考えてもいいのでしょう
か。
逆にリンパ節転移がなくてly(+)やv(+)のときもあるかと思いますが、前述の場合
とのリスクの差がなかなか理解できておりません。
PgRについて、腫瘤によって0%~95%と幅がありますが、センチネルリンパに
転移していたものがどういう性質だったかはわからないそうです。
①~③のうちどれが転移したと推測されますか?
腫瘍位置は、①が外側上部、②が外側中心寄りの上部、③は乳頭近くでした。
PgRの値が低いとホルモン療法の効き方に影響はないのでしょうか。
再発したときに効く薬剤が少なるなどの何か問題はありますでしょうか?
また、この病理結果のようにPgRの数値を合計して平均して考えてもいいのでしょ
うか?
リンパ節転移が血行性転移とは別のものであり再発の予測因子として重要であると理
解しておりますが(先生のご回答の中の、リンパ節転移4個の場合には(確率的に)血
行性転移が将来起こるリスクが高いと解っているという記述で知識を得ました)、リ
ンパ節転移1個と4個の再発リスクの違いと、リンパ節転移ありかなしかの再発リス
クの違いをかんがえたときに、やはりリンパ節転移があるかないかの違いの方が大き
いように感じます。リンパ節転移1個でもかなりショックを受けました。
ルミナールタイプでは、リンパ節転移がなくても、(がん細胞が血管に入ったかもし
れないから念のため?)予防的に術後補助療法としてホルモン療法を行うのだと思い
ます。
さらにリンパ節転移陽性でルミナールBならここに化学療法の追加が検討されるので
すが、ルミナールAの中間リスクの場合はホルモン療法だけというのがやはりとても
怖いです。
ルミナールAでリンパ節転移なしの場合なら血行性転移はほとんどなく再発率が低い
のは当然のことながら、リンパ節転移が1~3個の場合もそれと同じ治療で大丈夫な
のか、というのが不安です。
ガイドラインで1~3個の場合は4個以上より再発リスクが低いとされているのは、
血行性転移している可能性が低いからということなのか、それとも血行性転移をして
いたとしても、血管に侵入したがん細胞の数(量)が少ないと考えられるためホルモン
療法のみで抑えられるからなのでしょうか。
リンパ節転移の有無に関わらず、いくらかの人はすでに血行性転移をしている可能性
(血管にがん細胞が入っているけれど)はあるけれど、リンパ節転移の数が多いほど、
がん細胞の量が多い(→再発リスクが高い)という考えはおかしいですか?
もし量の問題なら、微小転移に対してがんの増殖率や悪性度によって薬物療法が変わ
るというのも納得できるのですが。。。
ルミナールBでは化学療法の追加が検討されるのは増殖率が高いからという理由だと
思いますが、血行性転移がなければ念のためということになるし、もし血行性転移が
あれば抗がん剤で対応できます。
しかしルミナールAですでに微小転移していた場合にホルモン剤単独で効くのかどう
かがどうしても心配でたまりません。
増殖率より既に見えない大きさのがん細胞があるかないかが再発の分かれ道なのでは
ないかと考えてしまいます。
増殖率はがん細胞の増えるスピードのことだと思いますが、スピードが遅いタイプの
がんでもがん細胞が残っていれば再発するのでは?と思うからです。
抗がん剤はがん細胞を殺すというイメージがあるのですが、アロマターゼ阻害剤など
ホルモン療法は増やさないというイメージです。
それでも悪性度が低く増殖率が遅ければ、ホルモン療法単独で微小転移が増える前に
抑えて追いつくということでしょうか。
ルミナールAで再発した人の病状と治療の実態がわからないので不安なのかもしれま
せん。
田澤先生のご経験の中で、実際の医療の現場においてルミナールAでリンパ節転移1
~3個の患者が抗がん剤なしで10年後くらいに再発したというのは稀であると実感
されていますか?
私の場合、小葉がん、ルミナールAで浸潤径が小さいのにリンパ節転移があったこ
と、PgR0%というのが心配の材料です。
抗がん剤の選択肢もまだ捨てきれず、現在オンコタイプの申し込みをしています。上
乗せ効果がいくらかあるなら検討するかもしれません。
3週間前からホルモン療法を開始ししています。
もしこれに化学療法を追加するなら、CMFでもTC療法でも併用することは可能で
しょうか?
以上、この3週間ずっと考え続けていることを文面にしてみました。まとまりのない
内容で申し訳ありません。どうかご回答をよろしくお願い申し上げます。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
病理結果が修正されたのですね。
乳腺の解剖をお話しますと、
①まず表面に「皮膚」がありますね。
②その下に「皮下脂肪」があります。
③更に、その下に「乳腺」があります。
④乳腺の「裏側」には、やはり「脂肪(乳腺後脂肪組織といいます)」があり、
⑤その裏に「大胸筋」があります。
乳癌は「乳腺」にできます。
つまり、③が始まりです。この③に留まっている状態を乳腺mammary
gland(glandの頭文字をとって『g』と表現します。
そこから浸潤すると②の層に到達します。この状態を脂肪層fatの頭文字をとっ
て『f』と表現します。
更に表面の方へ浸潤していくと①の層、皮膚skinの頭文字を取って『s』と表現
します。
逆に、裏側への浸潤が起こると⑤の層、pectralis muscle胸筋の頭文字をとって
『p』と表現します。
回答
「前回の質問でホルモン治療のみで無再発率が16.3%というご回答をいただきました
が、それはGrade1で計算されたものでしょうか?」
⇒その通りです。
「上記の内容に修正されても無再発率は変わりませんか?」
⇒変わりません。
『腫瘍浸潤は乳腺間質から周囲脂肪組織まで達しています。』、
⇒腫瘍が上記『g』を超えて『f』の状態です。
殆どの「浸潤癌」は『f』なのです。
『索上ないし線状配列~単個でぱらぱらと乳腺間質から周囲脂肪組織へ浸潤性増殖し
ています。乳管を輪状に取り巻く像も見られます』
⇒癌細胞は「互いの細胞同士の接着性が低い」ために、このように「細胞の小集団」
を作って、「s」へ浸潤していくのです。
全く普通の状況と言えます。
「皮膚までは浸潤していないということかなと思うのですが、どういった状態なのか
ご説明いただけたら助かります」
⇒冒頭に示した通りです。皮膚(s)には達していません。
「脂肪組織に浸潤というのはかなり進行している状態しょうか(血行性転移という観
点で)?」
⇒浸潤癌であれば、ほとんどが「f」となります。
全く「普通」です。
「私のようにリンパ節転移があってly(-)やv(-)という状態をどのように解釈」
⇒lyやvは「顕微鏡でみた切片で脈管へ癌細胞が入り込む姿が観察されるか」を示し
ています。
解釈としては「多くの脈管には入っていない」ようだが、「数少ない確率でリンパ
管へ入り込んだ癌細胞が、たまたまリンパ節に到達し生着した」となります。
「リンパ節転移があったこと自体がリンパ管に侵入しているということだと思うので
すが、手術で切除した部分になければそれなりに軽度だったと考えてもいいのでしょ
うか」
⇒「リンパ管に入り込んでいる数は(確率的に)少ない」と思われます。
その意味では「偶然、リンパ節に到達」したというイメージです。
「逆にリンパ節転移がなくてly(+)やv(+)のときもあるかと思いますが、前述の場
合とのリスクの差がなかなか理解できておりません」
⇒理論的にはいいところを衝いているいるようです。
単に、「リンパ節転移個数」は(明確に数えられるため)客観的な指標となりうる
のに対し、「脈管侵襲」は「病理医(個人の)印象」となってしまい(客観性を欠い
てしまう)予後因子として評価しにくいのです。
「①~③のうちどれが転移したと推測されますか?」
⇒①か③だとは思いますが、それ以上「推測するのは不可能」です。
「PgRの値が低いとホルモン療法の効き方に影響はないのでしょうか」
⇒関係無いですね。
そもそも「染色性」の問題もあります。
「再発したときに効く薬剤が少なるなどの何か問題はありますでしょうか?」
⇒全くありません。
「この病理結果のようにPgRの数値を合計して平均して考えてもいいのでしょう
か?」
⇒あまり意味はありません。
最大病変(この場合には①)でいいのです。
「ガイドラインで1~3個の場合は4個以上より再発リスクが低いとされているの
は、血行性転移している可能性が低いからということなのか、それとも血行性転移を
していたとしても、血管に侵入したがん細胞の数(量)が少ないと考えられるためホル
モン療法のみで抑えられるからなのでしょうか。」
⇒これは単純に「リンパ節転移1~3個」と「リンパ節転移4個以上」で再発率を比較
したデータで「再発ファクター」として差があるという統計学的結果からです。
「リンパ節転移の有無に関わらず、いくらかの人はすでに血行性転移をしている可能
性(血管にがん細胞が入っているけれど)はあるけれど、リンパ節転移の数が多いほ
ど、がん細胞の量が多い(→再発リスクが高い)という考えはおかしいですか?
もし量の問題なら、微小転移に対してがんの増殖率や悪性度によって薬物療法が変わ
るというのも納得できるのですが」
⇒そういう理論的な構築ではありません。
予後因子というのは「統計学的解析での」有意な因子なのです。
「田澤先生のご経験の中で、実際の医療の現場においてルミナールAでリンパ節転移
1~3個の患者が抗がん剤なしで10年後くらいに再発したというのは稀であると実
感されていますか?」
⇒稀です。
実際に、そのような治療をして「予後良好」だと解っているから、そのような治療
が推奨されるに至っているのです。
理論構築だけで「治療法は定まっている」訳ではありません。
「もしこれに化学療法を追加するなら、CMFでもTC療法でも併用することは可能
でしょうか?」
⇒可能です。
質問者様から 【質問3】
田澤先生にはがん確定前から岐路に立つたびにご相談申し上げ、いつも的確なお答えをいただけたことを本当に感謝しております。オンコタイプの結果はまだでておりません。そのため抗がん剤の件はまだ保留中です。
今日で皮下全摘手術から2か月半が経過しました。今後の治療についてはまだ迷っていたり、治療内容の本質でわからないことがあります。本日は放射線治療についてお伺いします。よろしくお願い申し上げます。
これまでの経過です。右乳房に腫瘤が3個(浸潤最大径0.9cm)すべて小葉がん(それぞれの小葉がん浸潤巣間にはin situ成分が広範にみられるため、多発かすべてが連続かの鑑別は困難)、ルミナールAタイプ(Ki3%以下、Grade1)、センチネルリンパ節に1個転移があったため腋窩リンパ節郭清(Level1とLevel2)をしています。
全摘手術から半年後に自家組織で再建する予定だったため、同時にティッシュエキスパンダーを挿入しました。ところが術後リンパ節転移があるとわかり、私にとっては再建より治療をどうするかということの方が最優先となり、リンパ節転移1~3個の放射線治療は推奨度Bとのことでかなり悩みましたが、できることはやっておきたいという思いから先日ティッシュエキスパンダーを抜去して、放射線治療を受けることに決めました。照射回数は25回、治療は1週間後からの予定です。
そこで質問です。
乳房切除術後の照射について、リンパ節転移陽性の場合は領域リンパ節及び胸壁再発予防が目的とのことですが、領域リンパ節とは具体的にはどの位置になりますか?
私はLevel1~Level2のリンパ節郭清をしているため、その部分にはリンパ節はないのでその先の鎖骨部分ということでしょうか?
そうであるなら、腋窩は照射しなくていいですか?
この前放射線科の診察で照射範囲をお聞きしたところ、先生が少し考えて腋窩にも照射すると答えました。リンパ浮腫が心配なため腋窩に照射しなくていいのならその方がいいと思いますが、通常はどうなのでしょうか。照射しないように設定しても腋窩に少しかかってしまうという意味だったのかもしれません。照射しないでほしいということは可能でしょうか?
また、胸壁とは何か具体的な名称はありますか?胸骨も含めて、大胸筋や前鋸筋と同一の部位になりますか?胸壁に予防的に照射したにも拘らず、照射した部分に再発してしまうことはありますか?
今回放射線で胸壁再発予防をしても再発したときには、同じところにもう照射できないと思いますが、その場合の治療として手術の可能性は残されていますか?
さらに、乳がん以外の病気の治療のときに、右乳房の領域リンパ節及び胸壁という照射野がその別の病気の照射範囲と重なるという理由で照射できないという事態はあり得ますか?
もしあればどういう病気が考えられますか?
それから、放射線照射することで皮膚の再発予防にもつながりますか?Q&Aの何人かの方が針生検のあとを気にされていましたが、私自身、針生検後の痕と腫瘤の直上の皮膚が残っていることが気がかりです。
放射線適応の判断材料は浸潤径とリンパ節転移(個数)であると理解しています。
そうであるなら浸潤径の大きさは胸壁の再発に影響があるように思いますが、リンパ節転移と胸壁再発は直接の因果関係はないように思いますし、逆に浸潤径が大きくてもリンパ節転移がなければ領域リンパへの照射は必要ないように思うのですが、同じ乳房切除術後の照射でもそれぞれの病状に応じて照射野が変わることはあるのですか?
同時に、リンパ節郭清しているのにその先の鎖骨に放射線をあてるのはどういう効果をねらっているのかも少しわかりづらいです。鎖骨に見えないがん細胞があっても放射線で根絶させられるという意味でしょうか?
最後に、放射線治療は局所の再発予防だけではなく、全生存率を改善させるということがきちんと理解できていません。全身の再発転移を予防する効果があるという意味かと思うのですが、局所の再発予防がそこに結びつく段階がわからないので教えていただけたら嬉しいです。統計的にもかなり有効性が認められてきているのでしょうか?放射線治療することで全身の再発予防効果があるなら、通院が大変でも乗り越えられそうです。
放射線治療をすると決めたのにそれに対する理解が不足していて情けないです。理解が深まればもっと目的をもって治療に専念できる気がします。たくさん質問をしてしまい申し訳ありません。よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
一通りメールは拝見しましたが、非常に理論的に捉えている様で感心しています(偉そうに聞こえたら済みません)
今回の「乳房切除術後の放射線照射」に関しては(医学全般に概して、そうなのですが)多分に「経験則」や(機序は必ずしも不明ながら)「統計的有意差」などで推奨されることが多いのです。
以下に基本的な事項について、まず記載します。
乳房切除後の放射線照射野について
・胸壁 推奨度A:これは再発部位として(統計的に)最も多い部位だからです。
・鎖骨上リンパ節 推奨度B:胸壁に次いで多いからです。
・胸骨傍リンパ節 推奨度C1:実際の「胸骨傍リンパ節転移は少ない」からです。
◎腋窩に関しては『腋窩郭清後の腋窩照射は勧められない』これは「患肢浮腫など有害事象が高まる」だけで、「再発低減効果が無い」からです。
(ついでに)腋窩照射の適応について
・微小転移では腋窩照射は勧められない 推奨度C2
・肉眼的転移があり(腋窩照射を追加していない場合) 郭清していないリンパ節にリスクが有る場合という条件つきで 推奨度B
・腋窩郭清後には勧められない(上記)
★つまり「腋窩照射の適応」は極めて限られており、『肉眼的転移があり、なおかつリスクがあるのに、郭清をしていない場合』だけなのです。
回答
「領域リンパ節とは具体的にはどの位置になりますか?」
⇒胸壁(推奨度A)+鎖骨上(推奨度B)です。
胸骨傍は「画像所見で疑われない限りは」不要です。
「私はLevel1~Level2のリンパ節郭清をしているため、その部分にはリンパ節はないのでその先の鎖骨部分ということでしょうか?」
⇒胸壁及び、鎖骨上リンパ節領域です。
腋窩郭清後の「腋窩照射」は推奨されません(冒頭にコメントした通り、効果が無いのに有害事象が多いため)
「腋窩は照射しなくていいですか?」
⇒不要ですし、有害事象(患肢浮腫)の面からは「照射野とするべきではありません」
「リンパ浮腫が心配なため腋窩に照射しなくていいのならその方がいいと思いますが、通常はどうなのでしょうか」
⇒上記コメント通り、「腋窩は照射野とするべき」ではありません。
「照射しないでほしいということは可能でしょうか?」
⇒担当医に相談すれば可能だと思います。
「胸壁とは何か具体的な名称はありますか?胸骨も含めて、大胸筋や前鋸筋と同一の部位になりますか?」
⇒皮膚及び、筋肉(主に大胸筋及び前鋸筋)となります。
「胸壁に予防的に照射したにも拘らず、照射した部分に再発してしまうことはありますか?」
⇒私の経験では「胸壁再発は極めて少ない」のですが、文献的には(未照射)14%→(照射することにより)3%となります。
「同じところにもう照射できないと思いますが、その場合の治療として手術の可能性は残されていますか?」
⇒(残されているというか)基本は手術です。
局所再発には「手術が大原則」です。その上で(未照射なら)照射を追加します。
「乳がん以外の病気の治療のときに、右乳房の領域リンパ節及び胸壁という照射野がその別の病気の照射範囲と重なるという理由で照射できないという事態はあり得ますか?」
⇒確率的には、そのような病気に罹患することを心配する必要は全くありません。
「放射線照射することで皮膚の再発予防にもつながりますか?」
⇒そもそも「胸壁照射のターゲット」は「皮膚及び筋肉」です。
「放射線適応の判断材料は浸潤径とリンパ節転移(個数)であると理解しています」
⇒ガイドライン上では「リンパ節転移個数」しか載っていませんが、St.Gallenからは「腫瘍径5cm以上」も適応と考えられます。
「同じ乳房切除術後の照射でもそれぞれの病状に応じて照射野が変わることはあるのですか?」
⇒特に変わりはありません。
(質問者のように)理論的に考えれば、状況に応じて細かく「照射野が変わりそうなもの」ですが、実際の推奨は「エビデンス」からきているのです。
エビデンスは「臨床試験の結果」に直結するものであり、
これらのエビデンスは以下の臨床試験の結果の組み合わせから生まれたものと考えてください。
「乳房切除後の放射線照射により生存率は向上 (リンパ節1~3個なら 数パーセント、4個以上なら十数パーセント)」
「乳房切除後の非照射での再発部位は胸壁>鎖骨上である」
これらの結果、『乳房切除術後に照射の適応があれば、かけるべき部位としては胸壁及び鎖骨上が推奨される』となるのです。
「リンパ節郭清しているのにその先の鎖骨に放射線をあてるのはどういう効果をねらっているのかも少しわかりづらいです。鎖骨に見えないがん細胞があっても放射線で根絶させられるという意味でしょうか?」
⇒理屈では、そのような理由となるでしょう。
実際には(質問者のようにセンチネルリンパ節にのみ転移があり、追加郭清したその先のリンパ節に転移がなかった」群だけで臨床試験を組めば「鎖骨上に照射しても無意味」という結果がでるかもしれません。
しかし、そのような「細かい臨床試験の結果が無い」以上、
ザックリと「リンパ節転移1-3個では、術後照射により生存率が数パーセント向上する」群に当てはめて考えるのです。
「放射線治療は局所の再発予防だけではなく、全生存率を改善させるということがきちんと理解できていません」
⇒「統計的にもかなり有効性が認められてきている」のです。
理屈として、どうして?という前に現実として統計学的に有意差を持って「リンパ節転移1-3個」ならば数パーセント(10パーセント近く)の上乗せ効果「4個以上なら」10パーセント以上の上乗せ効果が証明されているのです。
但し、このような臨床試験は「全身療法の発展」からはどうしても遅れてくるので、「現時点での全身療法をきっちりやった場合」にそれ程迄の効果があるのか検証が必要ではあります。(特に1-3個の場合)
4個以上では、「十分な上乗せ」はありそうです。
★「局所治療である筈の放射線療法」が何故(全身治療と関連する筈の)「生存率向上に結び付くのか?」
これは当然の疑問だと思います。
「統計学的有意差がでている」ことが大事です。
それ以上は「想像に過ぎない」わけですが、私の経験から説明をしようと試みれば、
・リンパ節転移から「節外浸潤」⇒(周囲間質の微細血管に入り込み)「血行性転移⇒全身へ」
⇒(周辺の骨への)「直接浸潤⇒全身へ」
・胸壁再発から「皮膚転移」⇒全身へ
◎ただ、乳房切除後の「局所再発」は非常に少ないのです。
「できるだけの治療はしておきたい」という気持ちは解りましたが、「過度な心配をするのは不要」です。
質問者様から 【質問4】
丁寧なご回答をありがとうございます。
アクセス集中でQ&Aが閉鎖している間、先生のご回答がきているか何度もブログを
のぞいてしまいました。再開されたことがわかった瞬間、心から嬉しかったです。先
日ご相談申し上げた放射線の件ですが、Q&Aの閉鎖中先生のご回答をお待ちしてい
る間に、放射線科の治療計画のCTの日がきてしまい、そのときやはり担当医は腋窩
にも照射すると言っていたので、不安に思いながら帰ってきました。
今日、田澤先生からのご回答を読み、やはり腋窩に照射しない方がいいことに納得し
ました。しかし明日から放射線治療が始まってしまいます。間に合うかわかりません
が、治療の前にもう一度担当医に相談してみたいと思います。
たくさんの質問にひとつひとつ丁寧にお答えいただけたこと、通常はあいまいにされ
てしまう面倒な問いかけにも知識を持ってお答えいただけたこと、お忙しい時間の中
で患者に向き合っておられる姿勢にふれるたびに、田澤先生の医師としてのご経験や
人柄への信頼が深まります。ありがとうございました。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
今回の「質問者の件」でも、そうですが、乳腺外科医側からは「術後照射は、放射線
科医にお任せ」となりがちです。
すると、放射線科医は(手術がどのように行われ、乳癌学会での推奨などは必ずしも
考慮されず)「自分の感覚」で治療の「匙加減」が決まります。
するとどうしても「腋窩転移陽性」であれば、(放射線科医として)「できるだけの
ことはしたい」という方向に流れがちとなります。
本来は、「乳腺外科医と放射線科医の間で、あくまでも乳腺外科医が主導として」決
定されるべきものと思います。
「治療の前にもう一度担当医に相談してみたいと思います」
⇒是非、そうしてください。
そもそも「センチネルリンパ節1個に対してレベル2までの郭清」が過剰治療と
なっている状態だと思いますので、『将来的な腋窩浮腫のリスクを極力減らしたい』
という思いを伝えることが重要です。
質問者様から 【質問5】
田澤先生、いつもありがとうございます。
先生にご相談申し上げた次の日が放射線治療初日だったので、治療前の診察でもう一
度、腋窩に放射線を照射するのかと尋ねてみました。そのとき診察したのは乳腺専門
の放射線医ではなかったため、計画治療のファイルを開けて少し考えながら、「う~
ん、脇の下にもあてますね。」と言われ、リンパ浮腫が心配なので腋窩に照射しない
ようにしてもらいたいと話すと、腋窩に照射するか放射線をやめるかのどちらかだと
言われました。放射線治療は私の中で決めていたことなので追い込まれた気持ちで不
安なまま放射線の位置決めのところ(CT?)へ行きました。そこで技師の人が位置合わ
せをして別の部屋でいよいよ放射線治療を始めるというときに再度技師の方に、通常
全摘でリンパ節転移のある人はどこに放射線をあてるんですか?と聞いてみました。
そのとき私がリンパ浮腫の心配や照射位置のことで不安をもっていることに気付いた
技師さんが一旦治療を止めて、もう一度放射線医のところに聞きに行ってくださいま
した。しかし、それが先ほどの乳腺専門ではない放射線の先生でしたので同じ説明を
されたため納得がいかず、その日は結局治療を受けずに帰ることにしました。そして
次の日、担当の放射線の先生(乳腺専門)にお話しを伺うことができました。腋窩には
わざわざあてるのではなく、どうしてもかかってしまうとのことでした。ねらうのは
胸壁と鎖骨上リンパ節とはっきりおっしゃったのでやっと納得することができて、そ
の後放射線治療を再開することにしました。
これまでエキスパンダーの抜去手術や治療の選択に時間がかかったために放射線治療
開始が手術から3ケ月近くかかってしまいました。今更ですが、この空いた期間が問
題になるのか、効果は減ってしまうのかではないかと思うことがあります。いかがで
しょうか?
また、放射線の期間について、開始したのが金曜日で終了が月曜日のため通常より土
日の回数が多くなったり、期間中祝日が2回あり最大3連休になり治療はお休みになり
ますが、どちらの施設でも普通のことでしょうか?
さらに、今後オンコタイプの結果を一つの判断材料として化学療法をするかもしれま
せん。そうなるとガイドラインとは違う順番になってしまいます。放射線のあとに抗
がん剤をするという順番がベストではないとしても、これによって何か不都合は生じ
ないでしょうか?
放射線治療は自分ですすんで始めたことですが、上記のようなことがまだくすぶって
います。いつも強い希望とともに迷いも多いです。
放射線治療の前にもやもやとしたまま治療を受けるのではなく、田澤先生が、治療の
前にもう一度担当医に相談することについて是非そうしてくださいと言ってくださっ
たことが大きな励みとなり私の行動を後押ししていただました。今は少しずつ治療が
できていることへの安堵感と生活の落ち着きを取り戻しつつあります。
知識がないために不安になった日々をいつも田澤先生が明確なお答えで支えてくださ
いました。自分だけではとてもここまでこれなかったと感謝の気持ちでいっぱいです。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「放射線照射」ですね。
回答
「放射線治療開始が手術から3ケ月近くかかってしまいました。今更ですが、この空
いた期間が問題になるのか、効果は減ってしまうのかではないかと思うことがありま
す。いかがでしょうか?」
⇒全く問題ありません。」
「術後5カ月以内に開始すべき」となっています。
「放射線の期間について、開始したのが金曜日で終了が月曜日のため通常より土日の
回数が多くなったり、期間中祝日が2回あり最大3連休になり治療はお休みになります
が、どちらの施設でも普通のことでしょうか?」
⇒どこでも一緒です。
「年末年始」や「ゴールデンウィーク」を跨ぐ人もいるのです。
「放射線のあとに抗がん剤をするという順番がベストではないとしても、これによっ
て何か不都合は生じないでしょうか?」
⇒実際には「不都合」はありません。
ただ、術後療法としては「化学療法が放射線療法より優先する」という理屈からき
ているだけであり、「証明されている訳では」ありません。