乳がん|乳がんプラザ

[管理番号:6463]
性別:女性
年齢:54歳
田澤先生。
いつも拝読し勉強させていただいております。
ありがとうございます。
私は最近海外(先進国ではない)にて右胸温存手術を受けた、54歳の者です。
先生に術後療法、特に抗がん剤適用の要否についてお尋ねしたく、質問させてください。
経過を説明いたします。
4月(下旬)日に民間のラボラトリーにて、乳腺専門放射線技師のエコーにより右乳房10時の位置に5×4×4ミリの、縦長、上部2か所に角あり、豊富な血流がみられる腫瘍が発見され、カテゴリー4bと診断。
その後同所、同技師によりエコー下組織診(カチッ
カチッと音のするもので、10回以上組織採取)を受け、乳がんと診断されました。
そのため、同じ標本を用いて後日免疫機能検査をし、結果は以下のとおりです。
(スペイン語の文章で説明が書かれているので、専門語が多く難しいですが、できるだけ簡潔に必要だと思われる個所を翻訳して書きます。
分かりにくい文章で申し訳ありません。)
<病理診断>
病理組織標本:大きさ 全体で1.0×0.8×0.2センチ
分析した標本組織の5%に、乳房柔組織に湿潤する新生物(腫瘍)形成細胞を認めた。
脈管侵襲、微小石灰化、上皮内(in situ)コンポーネントは見られない。
病変の別の域に、分泌を伴う嚢胞状で、細胞質に発砲性物質を伴った豊富なマクロファージとdecapitationによる分泌のあるダクトを認める。
乳房湿潤癌 (顕微鏡的病巣) 分析した組織の5%
(「乳管がん」「小葉がん」などの記述はなし。)
核グレード2(2+2+2)
脈管侵襲なし
微小石灰化なし
<免疫機能>
ER(陽性 80% 強度+++)
PgR(陽性 10% 強度+++)
Her2 Neu(陰性)
Ki-67%(陽性 5% 強度++)
その後、5月(下旬)日に国立保険病院で右乳房温存手術、センチネルリンパ節生検なし、
レベル2までの腋窩リンパ節郭清を受けました。
1週間後の腫瘍外科医の外来診察の
際、術後検体の病理結果を受け取ったのですが、結果は下記のとおりです。
(こちらも同じくスペイン語の文章による説明なので必要だと思われる個所のみ、翻訳します。)
<病理診断>
病理組織標本:乳腺1/4切除された乳房(11×10 センチ)、その表面にある皮膚
(3×1.5センチ)、同側切除腋窩リンパ節(13個)
乳腺は、新生物(腫瘍)形成の残留は見られない。
皮膚は、変質なし。
腋窩リンパ節(レベルⅡ)13個中13個に腫瘍病変は見られない。
腫瘍外科診察の2日後の5月(下旬)日、これらの病理検査の結果をもとに術後療法を決定すべく腫瘍内科医の外来で診察を受けて来たのですが、医師の診断は、放射線療法、ホルモン療法および化学療法とのことでした。
私は、エコーの所見から腫瘍がかなり小さいものであること、PgR値は10%と低値であるもののER値は80%と高く、またKi-67値が5%とかなり低いので、ルミナールA様で、抗がん剤はあまり効かず必要ないのではないかと質問したところ、抗がん剤が適用となるのは温存したからで、全摘であれば必要なかったと言われました。
また、私がその後も何度か質問を繰り返したので、医師に「次回(約20日後)の診察時に血液検査(腫瘍マーカーCEA, CA153含む)とレントゲン検査の結果を持ってくるように。
そこでもし、腫瘍マーカーの値が基準値より少しでも高ければ抗がん剤治療を適用する」と言われました。
ここから質問です。
術後検体にガン細胞が見つからなかったために、腫瘍径がわからなくなってしまったのですが、ステージはどうなりますか。
組織診前の2方向からとった実物大マンモの画像
には微小石灰化が見られ、腫瘍外科医師(執刀医)が手術の前に2センチ大と4センチ大の丸を描いているのですが(MRIはしていません)、これが腫瘍径と考えられますか。
もしそうなら、田澤先生も化学療法は必要だとお考えになりますか。
全摘か温存かは化学療法の要否の決定には関係ないと思うのですが、どうでしょうか。
また、今の時点での腫瘍マーカーの値は、抗がん剤適用の要否を決定するものなのでしょうか。
また、腫瘍マーカーの値は、何か他の原因で上がったりしませんか。
小葉ガン、乳管ガンのどちらなのかわからないのですが、予後・生存率に違いが出てきますか。
最後に医師に「世界中どこへ行っても同じことを言われるよ。」と言われました。
そうなのでしょうか。
もし、抗がん剤治療が必要でないのなら、できるだけ避けられればと思っています。
以上、お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
それにしても、この病変で(センチネルリンパ節生検せずに)腋窩郭清されるとは!
さすがに日本では考えられないことですが、(国によっては)仕方がないことなのでしょう。(質問者には気の毒ですが)
私が見る限り、質問者のケースでは(浸潤径の記載がないものの)「術前画像所見で病変自体が小さい+術前組織診のみで病変が取り切れていた」ことを考えると、(私であれば)「術後無治療(放射線もホルモン療法も不要)」とするケースです。
「私は、エコーの所見から腫瘍がかなり小さいものであること」
⇒その判断でいいと思います。
 (抗癌剤がどうこうではなく)放射線も不要としてもいいケースと判断します。
「Ki-67値が5%とかなり低いので、ルミナールA様で、抗がん剤はあまり効かず必要ない」
⇒まさにその通りです。100%正しい理解です。
「抗がん剤が適用となるのは温存したからで、全摘であれば必要なかったと言われました。」
⇒???
 ありえない!
 「お国柄」だけでは済まされない「誤った理解」です。
 質問者のケースで抗癌剤適応とすることは「日本を含め欧米ではありえない」ことです。
「腫瘍マーカーの値が基準値より少しでも高ければ」
「また、今の時点での腫瘍マーカーの値は、抗がん剤適用の要否を決定するものなのでしょうか。」

⇒そもそも…
 腫瘍マーカーは全く無意味です。
「ステージはどうなりますか。」
⇒1期です。(微小浸潤の可能性も、かなりありますが、いずれ「浸潤癌」という判定なので1期となります。)
「これが腫瘍径と考えられますか。」
⇒違います。
 実際に、そこに癌はなかったわけですから。
「もしそうなら、田澤先生も化学療法は必要だとお考えになりますか。」
⇒そもそも腫瘍径と抗癌剤は無関係です。
「全摘か温存かは化学療法の要否の決定には関係ないと思うのですが、どうでしょうか。」
⇒正に、その通りです。
 その点にかんしては、(このQandAに頻繁に登場する)「化学療法好きの乳腺外科医」でさえも(私に)もろ手をふって賛成することは想像に難くありません。
「また、腫瘍マーカーの値は、何か他の原因で上がったりしませんか。」
⇒喫煙者に一定の割合で「高CEA血症が存在」することは解っています。
「小葉ガン、乳管ガンのどちらなのかわからないのですが、予後・生存率に違いが出てきますか。」
⇒無関係
「最後に医師に「世界中どこへ行っても同じことを言われるよ。」と言われました。」
⇒??
 アメリカンジョーク?(アメリカではないようですが)
 「温存=抗癌剤」というのは斬新すぎて(私には)ついていけません。(世界中の医師も同じ意見でしょう)
 
 

 

質問者様から 【質問2 放射線療法とホルモン療法について】

性別:女性
年齢:54歳
田澤先生。
以前、右胸温存手術を受けた海外の国立保健病院の腫瘍内科医(執刀医は別)に、温存だからという理由で抗がん剤治療の診断を下され、相談させていただいた者です。
前回の質問の際には大変迅速で明確なご回答をいただき、本当にありがとうございました。
海外におりますため一人で心細く、このサイトが私の心の拠りどころとなっています。
本当にありがとうございます。
その後、腫瘍内科医を説得できるようにと、こちらの民間の腫瘍外科医にもセカンドオピニオンを聞きに行き、ホルモン治療のみという診断を受けました。
放射線治療は数年後に別の問題を起こす可能性があるということで、それを避けるために放射線治療は避けて、ホルモン治療を行うだけでいいとのことでした。
その結果と、前回の診察で指示のあった腫瘍マーカーの血液検査の結果(CEA,CA153
共に低値)をもって、再度国立保健病院の腫瘍内科医の診察に行きました。
その結果、
渋々ですがホルモン治療のみでよいということになり、レトロゾールを6年間服用と決まり、飲み始めて3週間になります。
やっと術後の治療が始まり、これからホルモン治療を頑張っていこうと思っていたのですが、いくつか疑問点・不安な点が出てきたため、もう一度田澤先生にご相談したく、
よろしくお願いいたします。
先日、インターネットで日本乳癌学会乳癌診療のガイドラインを見ていたところ、
「乳房温存手術後に放射線治療が省略できる場合」の条件として、「もともと乳房内に再発するリスクが低い場合:高齢(70歳以上)、2cm以下のしこりでホルモン療法が有効なタイプの患者でホルモン療法を行った場合、(その他)…」とありました。
私の場合、ほぼ当て嵌まっているものの年齢は54歳のため、放射線治療を受けなくても大丈夫なのかと不安になってきました。
また、実は温存した右の乳房に組織診をしたときの針が出入りしたあと(5ミリの切開跡)がまだ残っていて、それも気になっています。
放射線治療は受けなくても、乳房再発に影響はないでしょうか。
また、ホルモン療法ではレトロゾールの一般的な副作用と言われる関節痛などはまだないものの、軽い頭痛、倦怠感があり、心配なのは脚(特に左脚)に時々ひきつったような、張ったような痛みがあり、膝の内側の血管が少しですが浮き出て来ました。
他にも小さい、痣のように見える血管がいくつかあります。
脚の痛み自体はホルモン剤の服用前から、ふくらはぎ・太ももに時々ありましたが、血管が浮き上がってきたのは服用を始めてからです。
稀だが重篤な副作用と言われる血栓症になったりしないかと、とても心配です。
前回の先生のご回答では、私のケースでは(放射線療法、ホルモン療法どちらもなしの)無治療でも大丈夫ではないかと言っていただきましたが、無治療だとあとで後悔することになるのではないかと心配で、できれば体に負担の少ないホルモン治療は続けたいと思っています。
でも、このような状態でホルモン治療を続けてもいいのか、とも思います。
やはり、ホルモン治療は必要ないのでしょうか。
その場合、放射線治療省略に問題はありませんか。
また、ホルモン治療を続けるとしたら、このまま続けても大丈夫でしょうか。
また、どのくらいの程度の副作用がでたらやめるべきなのでしょうか。
以上、お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
物事にはバランスが必要です。
治療は「やればやるほど安心」というものではありません。(それに付随する有害事象や経済的負担などにバランスしなければ、やるべきではないのです)
「放射線治療は受けなくても、乳房再発に影響はないでしょうか。」
→その通りです。
 前回、回答したように
 (以下、抜粋)
 「術前画像所見で病変自体が小さい+術前組織診のみで病変が取り切れていた」ことを考えると、(私であれば)「術後無治療(放射線もホルモン療法も不要)」とするケースです。
「無治療だとあとで後悔することになるのではないかと心配で、できれば体に負担の少ないホルモン治療は続けたい」
「やはり、ホルモン治療は必要ないのでしょうか。」
「その場合、放射線治療省略に問題はありませんか。」

→上記コメント通りです。
 「期待される効果」と全くバランスしません。(私が勧めることはありません)





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