[管理番号:4244]
性別:女性
年齢:43歳
質問者様の別の質問管理番号:5009「再建後の放射線治療とタモキシフェンについて」 |
いつも拝見させていだいております。
早速ですが、乳がんの診断から2ヶ月半で、全摘術より1ヶ月○○日です。
去年の同じ時期にエコーもマンモも検診でしており、異常なしでした。
今年の検診を前に自分でしこりを発見しました。
その時すでに2.5cmでCTとMRIでも転移見られず、生検にてホルモン受容体陽性でルミナルタイプのステージⅡaの診断で、手術を行い1ヶ月たちます。
術中のセンチネル生検にて陽性となったようで、レベルⅡまで郭清しました。
リンパ節転移が画像上見られなくても、センチネルで見つかれば郭清するとは聞いていたので、ショックではありますが仕方ないとは思っています。
ただ、先日病理結果が出たのですが、リンパ節転移が8/28(レベルⅠ6/24 レベルⅡ
2/4)
という結果で、全摘したのに放射線治療もやることになってしまいました。
信頼できる主治医で評判もよく手術もうまくやっていただきました。
なので、疑ってはいないのですが、「そんなー…」って思いが強いです。
画像上見つからない、小さな転移がたくさんあったという事はよくあるのでしょうか?
大きめに取ったので取りきれているとの事でした。
主治医には確認はしてはいませんが、先生の日頃の回答を拝見させていただくとステージⅢでしょうか?
保険会社の書類のTNM分類の記載からするとN1となっていてⅢには近くてもⅡbなのかなと思ってしまいます。
主治医からはACを3週間に1回で3か月→パクリタキセル週1回で3か月→放射線治療
→ホルモン療法10年
全てやって再発率15%と言われました。
先生もこの治療でよいと思いますか?再発率も妥当だと思いますか?
ホルモン療法も10年と気が遠くなるような話で5年ではやはりダメなのでしょうか?
1年で急に進行したことも気になり、やはりかなりのハイリスクなのかと…
また、「v(+)」ともなっていました。
血管に浸襲してるという事ですか?遠隔転移の可能性が高いという事でしょうか?
HER2は陰性でki67は20%でした。
抗がん剤をやらなければ再発率はどれくらいなのでしょうか?
また、同時再建もしていてエキスパンダーが入っています。
抗がん剤終了後1ヶ月程でシリコン入れ換えの手術をして傷が落ち着く1ヶ月後に放射線治療開始と言われています。
この2ヶ月はあいてしまって問題ないのでしょうか?
たくさん質問してしまい申し訳ないのですが、不安すぎて辛いです。
どうか、ご意見お聞かせください。
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「画像上見つからない、小さな転移がたくさんあったという事はよくあるのでしょうか?」
⇒「よくある」訳ではありませんが、そのようなことは時々はあります。
「先生の日頃の回答を拝見させていただくとステージⅢでしょうか?」
⇒「浸潤径」の記載が無いのですが…
文面から「2cm<浸潤径≦5cm」とすれば、 pT2, pN2, pStageⅢAとなります。
「先生もこの治療でよいと思いますか?」
⇒luminalAだから化学療法が本当に有効なのか?とも悩みますが…
8個のリンパ節転移だと通常は「抗ガン剤を勧めます。その場合はTCですが」
ただ、実際に私の患者さんでいらっしゃいましたが、
OncotypeDXをしたところ「(抗癌剤による)上乗せが小さい=ホルモン療法単独で十分」という結果となり、ホルモン療法単独の方もいらっしゃいます。
♯つまり、OncotypeDXでもしない限り、「luminalAでもリンパ節転移8個では化学療法を勧めざるをえない」というのが実情です。
「再発率も妥当だと思いますか?」
「抗がん剤をやらなければ再発率はどれくらいなのでしょうか?」
⇒気になるならOncotypeDXしてみましょう。(浸潤径やグレードなどの記載がないので、ここでは評価できません)
「ホルモン療法も10年と気が遠くなるような話で5年ではやはりダメなのでしょうか?」
⇒あまり先々のことは考えずに…
5年経ってから「もう10年続けるか考える」ようにしましょう。
例えるなら、「赤ちゃんが、自分の老後を心配するような話」ではないでしょうか?
「血管に浸襲してるという事ですか?遠隔転移の可能性が高いという事でしょうか?」
⇒無関係です。
たまたま見た病理の切片で「血管内に癌細胞があった」ただ、それだけです。
「2ヶ月はあいてしまって問題ないのでしょうか?」
⇒全く問題ありません。
急ぐ必要など、全くありません。
抗ガン剤と放射線の感覚は短すぎると「放射線肺臓炎のリスクが上がる」ので、2カ月の方が安全と言えるかもしれません。
質問者様から 【質問2】
以前、化学療法前という事で質問させて頂いた者です。
早速、回答いただきありがとうございました。
慌てて送信してしまい、質問させていただく身ながら大変失礼な文面だったと感じております。
申し訳ありません。
以前の質問に対し、記入し忘れた内容に対しては、
浸潤径ですが、病理報告書で浸潤径なのかわからないのですが、「肉眼的には割面にて
23×18×15mm大、白色、充実性、境界明瞭な結節性病変を認める」と記載がありました。
これは腫瘍径でしょうか?「浸潤径」と書かれているサイズが見当たりません。
グレードは2です。
浸潤性乳管癌の硬癌です。
やはり、再発率は15%よりもっと高いと思われますか?
やはり、OncotypeDXをやってみた方がいいのでしょうか?
化学療法開始してから1週間たちました。
腰の重だるさ・術側の脇の下のチクチクした感じ・閃輝暗点からの偏頭痛(健康な時からたまにありましたが化学療法1クール目終了後2回もあったので)などがあり、造影CTを行って
から3ヶ月もたっていることから、もう転移してしまってるのかといちいち気になります。
こんなに早く遠隔・局所転移があり得るものでしょうか?
申し訳ありません。
もう少し質問させてください。
実は遠方の実家で治療することにしました。
その病院ではここ2年くらいで再建術をやり始めてるようで、センチネル生検で陽性の時点で再建術は中止する方針のようです。
私は前医でエキスパンダーを入れているので、前医的にはその後放射線治療が追加になっても問題ないようですが、一般的にもシリコンに入れ替えれば、シリコン越しの放射線治療は問題ないのでしょうか?
中止するだけの事だとするとリスクがかなり高いのではないかと心配です。
リスクがあるとすれば注意すべき点はどういった点でしょうか?
先週からAC療法で治療を始めまていますが、ホルモン受容体陽性のタイプは抗がん剤が効きにくいと聞きました。
ホルモン療法を化学療法終わった後でも問題ないものなのでしょうか?
同時に行う事はないのですか?
前回、回答頂いた結果から、リンパ節転移の数からして化学療法という事になってしまうという内容から、やはり、ホルモン治療はその後で問題ないという事でしょうか?
抗がん剤やっている間に転移してしまうことはないのかと心配してしまいます。
再びのたくさんの質問で、お手数おかけします。
また、失礼がありましたら、申し訳ありません。
何卒よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「これは腫瘍径でしょうか?「浸潤径」と書かれているサイズが見当たりません。」
⇒そのようです。
「やはり、再発率は15%よりもっと高いと思われますか?やはり、OncotypeDXをやってみた方がいいのでしょうか?」
⇒OncotypeDXは「再発率をみるためではなく(それも解りますが)」あくまでも「化学療法が本当に必要か?」というために行います。
質問者はすでに化学療法を始めているわけだから、今更行っても仕方が無いとは思います。
「化学療法開始してから1週間たちました。腰の重だるさ・術側の脇の下のチクチクした感じ・閃輝暗点からの偏頭痛」
「もう転移してしまってるのかといちいち気になります。」
⇒常識的に考えましょう。
明らかに「化学療法の副作用」と考える方が自然ではありませんか??
いずれにせよ、徐々に改善することで「コレが、副作用か!」と解ってくる(安心する?)と思います。
「こんなに早く遠隔・局所転移があり得るものでしょうか?」
⇒ありません。
付け加えると「局所転移」という言葉はありません。それを言うなら「局所再発」ですが、「局所再発」とは、手術部位周辺(胸壁及びリンパ節)の再発のことであり、今回の症状とは全く無関係です。
「一般的にもシリコンに入れ替えれば、シリコン越しの放射線治療は問題ないのでしょうか?」
⇒問題ありません。
「ホルモン療法を化学療法終わった後でも問題ないものなのでしょうか?」
⇒アンスラサイクリンとは同時に行わない方がいいでしょう(併用しない方が良いというデータも眉唾ですが、ありますし副作用が重なるので)
「同時に行う事はないのですか?」
⇒ホルモン療法は急ぐ必要はありません。
ついでに言うと 「化学療法による卵巣毒性」により間接的にホルモン療法にもなります。
「ホルモン治療はその後で問題ないという事でしょうか?」
⇒上術した通りです。
「抗がん剤やっている間に転移してしまうことはないのかと心配」
⇒無駄な心配です。
抗癌剤中に再発というのは殆どありません。
質問者様から 【質問3】
以前、上記の質問でお世話になった者です。
その節は安心できるお返事を頂き、大変感謝しております。
その後、AC療法を無事に4回やり遂げる事ができ、先週からウィークリーパクリタキセルを行っております。
2回終わりました。
そこで、腫瘍マーカーと肝機能について質問がありまして、何度も申し訳ないのですが、またこちらに来させて頂きました。
AC療法開始の1月から1ヶ月おきに腫瘍マーカーをはかっています。
CA15-3が5.9→6.8→8.7
CEAが0.9→0.8→0.8
CA15-3が少しずつ上がっているのが気になります。
先生の他の方への回答で術後の数値が基準になると言うのを見たのですが、手術直後の数値
は結果をもらっていないのでありません。
最初の数値で抗がん剤初回前の数値です。
他の数値は
ALP 97→102→101→119→124→(パクリタキセル1回投与後)118
総淡白 6.5→6.3→6.1→6.4→6.4→(パクリタキセル1回投与後)6.6
アルブミン 4.2→4.2→4.0→4.3→4.2→(パクリタキセル1回投与後)4.4
AST 16→20→20→22→27→(パクリタキセル1回投与後)50
ALT 16→24→19→22→24→(パクリタキセル1回投与後)63
LDH 156→145→163→195→199→(パクリタキセル1回投与後)228
ビリルビン 0.6→0.5→0.4→0.4→0.5→(パクリタキセル1回投与後)0.5
カルシウム 8.9→8.9→8.9
→9.4→9.2→(パクリタキセル1回投与後)9.4
(あまり関係ない数値でしたら申し訳ありません)
以前のお返事に、術後その様な期間での転移は考えられない事と化学療法中の転移はありえない事を仰って頂き安心していたところですが、数値が上がってくるとやはり不安でたまらなくなってきてしまいます。
転移による上昇ではないとすれば、この時期のこの上昇は何を意味するのでしょうか?
転移ではなくても、上昇すると言うことは、AC療法は効かなかったということでしょうか?
再発する可能性が高くなるということはないのでしょうか?
併せてALPやLDHの上昇もみられているので、それも気になります。
他の数値でも注意深く見ておかなければいけないものはありますか?
また、あればどのような理由からでしょうか?
CA15-3の上昇が無ければ気にならないのですが、CA15-3の上昇があるだけで色々な数値の上昇が気になってしまいます。
今は大きな自覚症状はありません。
主治医は「再発だとしても早期にわかったからと言って、初発と違い根治ができない。
自覚症状があればそれに対し対処的に治療していくだけなので、自覚症状が無い今は検査をする
タイミングでもないし、まだ抗がん剤が残っているし、放射線治療とホルモン治療と続くのだから、今は心配しなくてもいいです。」と言われました。
やはり、そうなのでしょうか?
そして、ASTとALTがパクリタキセル1回で急に上がりました。
LDHも上がりましたがこれは
ACの最後の投与の数値で一気に上がってるので、そのタイミングも気になります。
ネオファーゲンを処方されましたが、次回、来週の採血でまた上がっていれば休薬となります。
まだ
2回目なので違う抗がん剤も考えているようです。
減量して続けるのと、思いきって違う抗がん剤にするのと、先生はどちらが良いと思います
か?投与量は120mgです。
次回の数値が下がっていて、今後、何回かできたとしても、後半
でまた肝臓の数値が高くて出来なくなってしまった時にはもう他の抗がん剤でやり直す事は
できないですよね?
だとしたら、今のうちに変えた方が良いと思いますか?
次回の数値にもよると思いますが、
減量したり、他の抗がん剤に変えたりすると、一番ベストな治療ではないような気がして、
また腫瘍マーカーが上がるのではないかと心配になります。
わかってはいるのですが、心が落ち着かなくて、先生の所へ来てしまいました。
不安なあまりたくさん質問してしまい、長々と申し訳ありませんが、何卒宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
冷静になりましょう。
○腫瘍マーカーも肝機能も(私には)全く気になりませんが…
「CA15-3が5.9→6.8→8.7」
⇒全く(1%も)気になりません。
○もともとがこの値ならば「20後半となった際には、もしかして?」と気にするのが(我々の)常識です。
「転移による上昇ではないとすれば、この時期のこの上昇は何を意味するのでしょうか?」
⇒全く上昇ではありません。
「主治医は「再発だとしても早期にわかったからと言って」
⇒この「変なコメント」が却って「質問者を(無駄に)心配させている」としたら、主治医にも罪があると言えます。
このマーカーの変動は、一言「全く問題無」と言えば済むだけです。
「2回目なので違う抗がん剤も考えているようです。」
⇒この程度の数値で「あたふた」するようでは…
担当医の「肝っ玉が小さい(男性医師なのか不明ですが…)」と言えます。
私なら、「AST 50 ALT 63」位で「ネオファーゲンを処方」することなどありえないし、気にもしません。
「減量して続けるのと、思いきって違う抗がん剤にするのと、先生はどちらが良いと思いますか?投与量は120mgです。」
⇒この程度で、そんなことを考える必要はないでしょう。
ASTやALTが、この倍(3桁)となったら、減量を考えてもいいとは思います。
「後半でまた肝臓の数値が高くて出来なくなってしまった時にはもう他の抗がん剤でやり直す事はできないですよね?」
⇒休薬すれば、必ず(肝機能は)戻ってきます。
再開すれば「weekly PTXなら」完遂できるでしょう。
「今のうちに変えた方が良いと思いますか?」
⇒余計な心配です。
★★余計な心配しすぎです。
同じ様な治療をしている患者さん達は全国に沢山いらっしゃるのです。
weeklyPTXを完遂できないことは(少なくとも当院では)殆どありません。
そういうものです。ご安心を。
♯腫瘍マーカーは「正常範囲内での増減に一喜一憂するのは止めましょう」意味が無い事は、私が経験上知っています。